トピック

確定申告スタート 「マイナポータル連携」は事前準備を忘れずに

令和5年分の確定申告が、2024年2月16日から開始します。所得税・贈与税の申告・納付は3月15日までなので、申告を行なう人は、早めに準備をしておきましょう。

今回の確定申告で大きく変わったことの一つはインボイス制度への対応。インボイス制度は'23年10月にスタートしましたが、インボイス発行事業者の登録をした個人・事業者は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、消費税の申告が必要となります。

今年の進化は「マイナポータル連携」

もうひとつ大きな強化点といえるのが、「マイナポータル連携」の強化です。会社員で、確定申告を行なう人などには、こちらの変更が重要となります。

「マイナポータル連携」は、マイナンバーカードを利用してe-Tax(国税電子申告・納税システム)で確定申告をする際、マイナポータル経由で必要な証明書のデータを取得し、申告書の項目を自動入力できるものです。2年前からスタートしており、医療費や生命保険、ふるさと納税など対応を拡大してきましたが、今年からは「給与所得の源泉徴収票」「国民年金基金掛金」「iDeCo(個人型確定拠出年金)」「小規模企業共済掛金」が自動取得の対象になっています。

確定申告の面倒事の一つである「源泉徴収票」のデータ転記の手間がなくなり、会社員の確定申告の手間は大きく減りそうです。直近2年は、源泉徴収票をスマホのカメラで読み取る(OCR)という機能が提供されていましたが、この場合、OCRの精度によるため確認の手間が発生していました。今年の源泉徴収票のマイナポータル連携は、「フルデジタル」対応といえます。デジタル庁では、この機能を「書かない確定申告」としてアピールしています。

なお、源泉徴収票の自動取得には、「マイナポータルとe-Taxのアカウントの連携」「e-Taxマイページの『本人確認/情報取得希望』の登録」などの設定が必要です。この設定の反映までに時間がかかるため、国税庁では「確定申告の数日前」までに行なうよう告知しています

また、「勤め先が税務署に申告者の給与所得の源泉徴収票を提出していない場合」、「申告者の給与所得の源泉徴収票を書面や光ディスク等により提出しており、e-Tax又は認定クラウド等で提出していない場合」などはマイナポータル連携の対象とはならないとのことです。

また、国民年金の対応も多くの人に関わる変更ポイントです。マイナポータル連携で自動取得することで、入力の手間が減るだけでなく、「書面の管理・保管が不要」となり、e-Taxで確定申告に必要なデータをすぐに送信・提出できるようになります。

ただし、前述のように源泉徴収票については企業側の対応が必要となるので、この点は注意しましょう。また、マイナポータル連携のためには、外部サイト(民間送達サービス等)との連携が必要なものがあります。例えば、ふるさと納税の「ふるさとチョイス」との連携のためには「e-私書箱」というサービスとの連携が必要で、さらにふるさと納税の寄附金受領証明書の発行にも申請後、1~3日が必要となっています。

つまり、マイナポータル連携だけで完結できず、その他の準備がいくつか発生します。一度設定してしまえば、翌年以降は設定の必要はないのですが、現状「思い立った即日に申請完了」とは行かないケースが多いと思われます。確定申告終了直前にあわてて設定しても、せっかくのマイナポータル連携を活かせない可能性もあります。必要な準備は早めにしておきましょう。

確定申告の事前準備

確定申告早めの準備を

機能の面では、パソコン・スマホでのe-Tax申告は、ICカードリーダライタが不要となっています。PCで申告書を作成する場合も、スマホのマイナポータルアプリでPC上に表示されたQRコードを読み取れば、e-Taxによる申告が行なえます。

また、国税庁による「確定申告特集ページ」では青色申告決算書・収支内訳書がスマホで作成できるようになっており、インボイスに対応した消費税の申告書作成にも対応しています。

青色申告決算書・収支内訳書がスマホで作成できる
インボイス制度に対応した消費税の申告書も作成

デジタル化によりかなり簡単になったとはいえ、まだまだ事前準備が必要となる確定申告。締め切り前に焦らないよう、早めの準備を心がけましょう。

編集部