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相鉄・東急直通線開業で横浜行は減る? 3月18日ダイヤ改正
2023年3月16日 08:00
3月18日に相鉄・東急直通線が開業し、相鉄はJRと東急に乗り入れることになります。これにより相鉄から直通で行ける場所が増える半面、乗る列車を間違えて目的地にたどり着けないという事態も発生しそうです。そこで今回は、どの直通線に乗るとどこを経由するのか、また新たな直通線開業により相鉄線や東急東横線の横浜方面の列車は減るのかなどを整理・調査しました。
原則としてはいずみ野線-東横線、本線-目黒線だが例外も
まずは、相鉄・東急直通線の概要について把握しておきましょう。相鉄では、2019年11月にJR埼京線と相互乗り入れする相鉄・JR直通線が開業しました。つまり、相鉄・東急直通線開業後は、相鉄からJRと東急東横線および目黒線の3路線に乗り入れることになります。
相鉄と東急は共同使用駅となる新横浜で接続します。相互乗り入れは、原則として相鉄いずみ野線(湘南台方面)-東急東横線(渋谷方面)、相鉄本線(海老名方面)-東急目黒線(目黒方面)です。「原則として」としているのは、いずみ野線-目黒線、相鉄本線-東横線の直通列車も本数は少ないながらあるからです。いずみ野線の駅で直通だから渋谷に行けるだろうと思い込んでいたら目黒に着いてしまった、とならないように注意しましょう。
相鉄からは、東急各線が乗り入れている東京メトロや都営地下鉄、さらにその先の東武線や埼玉高速鉄道まで直通します。
東急東横線は東京メトロ副都心線に乗り入れ、和光市からさらに東武東上線の川越市方面まで直通しています。つまり、いずみ野線 湘南台から川越市まで直通することになります。なお東急東横線には副都心線を経由した、西武池袋線の所沢・飯能方面への直通列車もありますが、相鉄から西武池袋線方面への直通列車はありません。
東急目黒線は東京メトロ南北線および都営三田線に乗り入れ、南北線はさらに埼玉高速鉄道の浦和美園まで直通しています。つまり相鉄本線 海老名駅から、都営三田線の西高島平、および浦和美園まで直通することになります。
なお、相鉄・JR直通線は、羽沢横浜国大・武蔵小杉・渋谷・新宿・池袋・大宮を経由して、川越まで乗り入れています。新横浜は経由しないので注意しましょう。
池袋行にはJR経由と東急経由の2ルートあるので注意
相鉄・JR直通線の経由駅を見てお気付きになった方もいると思いますが、相鉄・JR直通線と、東横線~副都心線の経由駅に、同一もしくは類似した駅があります。具体的には、東横線~副都心線の経由駅には武蔵小杉・渋谷・新宿三丁目・池袋があり、上記の相鉄・JR直通線と同じ方面なのです。
とはいえもちろん同じルートではないので、JR直通の列車では東横線の自由が丘には行けませんし、東横線直通の列車ではJRの恵比寿には行けません。この点も、乗車の際に注意すべきポイントとなりそうです。
そういった視点で相鉄の時刻表を見てみるとあることに気付きます。行き先の凡例の中に「池」と「袋」があるのです。この2つは両方とも「池袋行」を表しています。ただし、「池」はJR直通線の池袋行、「袋」は東急東横線直通の池袋行です。同じ池袋行でも、恵比寿を経由する列車と経由しない列車があるわけです。
この池袋行も含めて、注意すべき点の例として以下が挙げられます。
- 「池袋」行にはJR経由と東急東横線経由がある
- 「渋谷」行は東急東横線経由のみでJR経由はない
- 川越方面はJR「川越」行と東武東上線「川越市」行がある
こういったことを理解し、また注意して乗車しないと、JR沿線に行きたかったのに東横線直通に乗ってしまった、ということになりかねません。直通によって便利になる半面、相鉄の時刻表には行先が増え、間違えてしまいそうな凡例があることも理解しておきましょう。
- 無印…横浜
- 横…新横浜
- 袋…東横線経由の池袋
- 池…JR経由の池袋
- 三…東横線経由の新宿三丁目
- 新…JR経由の新宿
- 市…東武線川越市
- 川…JR川越
- 武…東急線武蔵小杉
- 浦…JR武蔵浦和
- 美…埼玉高速鉄道浦和美園
相鉄では、都心方面直通列車に関する駅の案内表示・列車の行き先表示で、列車種別の表示を路線に合わせて色分けします。緑がJR直通、ピンクが東急東横線直通、水色が東急目黒線直通です。これも覚えておいたほうが良いでしょう。
相鉄の横浜行はダイヤ改正後に減る
相鉄の横浜行の数の比較は、相鉄本線といずみ野線が合流し、特急から各停まですべての種別が停車する二俣川で見てみます。以降全て、平日のダイヤのみで比較しています。
結論からいうと、4時台と22時台以外のすべての時間帯で、横浜行の数は少なくなります。
朝の通勤時間帯を比較してみると、6時台が6本、7時台と8時台が各9本少なくなっています。直通線も含めた合計の数は6時台が2本増、7時台が増減なし、8時台が1本減ですので、直通線が増えた代わりに横浜行が減ったと考えてよいでしょう。
相鉄では、新横浜方面と横浜方面の分岐駅となる西谷発の横浜行、および横浜発西谷行を、ダイヤ改正で新たに設定します。あわせて、西谷には停車しなかった急行の運行を休止し、都心直通列車との接続利便性向上を図るとしています。昼の時間帯はこの改正により横浜発着の本数をほぼキープし、アクセス利便性を確保できているのですが、特に朝の時間帯は減便分を完全にはカバーできていません。横浜方面への通勤・通学は、慣れるまでは、余裕をもって出かけたほうが良さそうです。
この傾向は、横浜発・西谷方面の列車も同様です。横浜発の列車本数を行先を問わず数えてみると、朝の7時台から9時台で減少しており、また帰宅時間帯の17時台、18時台、20時台でも、それぞれ3本、2本、1本減っています(19時台は増減なし)。
本数が減るとはいえ、これまでは目的地が横浜の人と、横浜で東横線に乗り換える人が同じ列車に乗っていたわけです。直通開始後は、車内や横浜駅の混雑緩和が期待できるかもしれません。
東急東横線の横浜方面はほぼ変わらず
東急東横線は渋谷から、横浜を経由してみなとみらい線の元町・中華街まで運行している路線です。相鉄・東急直通線開業後は、日吉で横浜方面と新横浜・相鉄線方面へ分岐します。今回は渋谷発の時刻表で比較しました。
新横浜方面の列車が追加される分、横浜方面が減るかというと、一部減る時間帯もありますが、ほぼ変わらず、1日を通してみるとむしろ増えます。朝の通勤時間帯で見ると、6時台が増減なし、7時台が1本減、8時台が3本増といった具合です。帰宅時間帯は、17時台が1本増、18時台から20時台は増減なしです。
渋谷発の列車は1日を通して、ダイヤ改正前が332本、改正後が347本と、15本増えています。これに対して、新横浜・相鉄方面は1日44本ですので、どこかが減っていないとおかしい計算になります。
東急東横線では横浜まで至る列車以外に、菊名行など横浜の手前までの列車が運行されていますが、ダイヤ改正前後比較で29本減っています。15+29=44ということで、横浜手前までの列車が新横浜方面に切り替わったと考えれば、計算が成り立ちますね。
ここでは本数のみの比較で、特急や各停などの種別は考慮していないため、利用する駅により利便性の変化はあるでしょう。
東急目黒線は、もともと日吉が終点となっていたので、これまで日吉止まりだった列車の一部が、新横浜・相鉄方面に延長されたと考えて問題なさそうです。そういったなかで、東横線と比較して特徴的なのが、新横浜行の多さです。
東横線渋谷発の新横浜行は23時台に1本あるだけですが、目黒線目黒発の新横浜行は、5時ちょうど発の始発から毎時間帯運行し、1日の合計は53本となっています。これに加えて、相鉄直通列車も新横浜を経由します。
東急はダイヤ改正について、東急線沿線から新横浜乗換での新幹線へのアクセス性向上をアピールしています。特に朝や夕方から夜の時間帯に新横浜行を多く設定していることから、朝夕に発生する長距離移動のニーズをとらえたダイヤ改正といえるでしょう。