中小店舗のキャッシュレス対応

第9回

緊急事態宣言、お店の営業も四苦八苦。厳しい売上減と現場の対策

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が、現在も続いています。不要不急の外出自粛要請、様々な商業施設への休業要請などが引き続き求められていますが、筆者の家族が経営する店「紀の善」でも、様々な影響が出ています。

今回は、連載の本題であるキャッシュレスから離れて、紀の善での新型コロナウイルス対策と、店の状況について紹介したいと思います。

営業時間を短縮し、イートインスペース削減。定休日も追加

4月7日に、東京都を含む7都府県を対象とした緊急事態宣言が発令されました。これによって、対象都府県では不要不急の外出自粛や、様々な事業者への休業が要請されました。紀の善は飲食店ですので休業要請の事業者には含まれませんが、営業を続ける場合には適切な感染防止対策の協力が要請されます。そこで、実際にいくつかの対応を行なうことになりました。

まず最初に見なおしたのが、営業日と営業時間です。これまで紀の善では、営業時間が火曜日から土曜日は午前11時から午後8時まで、日曜日と休日は午前11時半から午後6時までとし、月曜日を定休日としていました。

それに対し、4月7日以降は火曜日から土曜日の営業時間を午前11時から午後5時までに短縮し、休日の営業時間も午前11時から午後5時までとしました。また、定休日に日曜日を追加して、日曜日と月曜日の週2日をお休みとすることにしました。

営業時間を短縮するとともに、定休日を日曜日と月曜日の週2日に変更

新型コロナウイルスの感染が大きくなってきた3月以降は、週末こそ例年同様のお客様がいらっしゃっていたのですが、全体的に見るとお客様は明らかに減少していました。特に午後6時以降は大きく来客数が減っていたのです。

そこに緊急事態宣言と外出自粛要請が加わったのですから、4月7日以降は大幅にお客様が減少すると想像できました。そこで、営業時間の短縮と定休日の追加を決断しました。

加えて、ゴールデンウィークについては連休後半の5月3日から6日までの4日間もお休みとしました。紀の善のある神楽坂は、日曜日と休日に午後0時から午後7時まで歩行者天国となっていますが、お店が開いているとどうしても集まる人が増えることになりますので、やはりお店を閉めておいた方がいいだろう、という判断でした。

また、店内でのイートインについても見なおしました。紀の善には1階と2階にイートインスペースが用意されていますが、そのうち2階のスペースを閉じることにしたのです。

ゴールデンウィーク後半の5月3日から6日までもお休みに

3月以降はお客様が減っていましたが、特に減っていたのがイートインのお客様でした。とはいえ、店の経営を考えると、イートインを完全に閉じるというのも難しいところです。ということで、落とし所となったのが2階のイートインスペースを閉じるというものでした。

ただ、1階についても通常通りの営業は難しいだろうということで、座席数を減らしました。通常1階には、4人掛けテーブル席が3つと3人がけテーブル席が1つ、カウンターに6席ありますが、このうち4人掛けテーブルを1つ撤去するとともに、カウンターも3席に間引いてお客様の間隔を広げました。もともと1階と2階合わせて78席のところ、1階の14席のみとなりましたので、イートインスペースは大幅に減少しています。

2階のイートインスペースは閉鎖
1階イートインスペースの4人掛けテーブルは3つから2つに
カウンターも3席省いて間隔を広げた3席のみに変更

あわせて、3月に入ってからは従業員は全員がマスクを着用して接客を行なうようにしました。また、店では常日頃から消毒用の次亜塩素酸ナトリウム液をストックしていましたので、そちらを利用してテーブルや椅子、カウンターまわり、レジで利用するクレジットカード決済端末などを丹念に拭いて消毒を行なうことにしました。

以上のような対策を施すことで、4月7日以降も営業を続けることにしたのでした。

レジカウンターには飛沫防止用パネルを取り付け

4月7日以降の営業に合わせて、もうひとつ対策を施したことがあります。それは、レジカウンターへの飛沫防止用フィルムの取り付けです。

3月以降、コンビニをはじめ多くのお店で、レジ付近に飛沫防止用ビニールシートを吊す対応を取っているのをご覧になった方も多いと思います。紀の善でも同様の対策を行なう必要があるとは考えていたのですが、なかなか実行に移せていませんでした。なぜなら、紀の善のレジカウンター付近では、入り口からの風の通り抜けやエアコンの設置位置などの関係でビニールシートを取り付けるのが難しかったのです。

とはいえ、無対策ではお客様はもちろん従業員も不安となってしまいます。そこで見つけたのが、A1サイズ(841×594mm)の飛沫防止用パネルでした。これを天井から吊り下げることにすれば、天井とパネルの間に空間ができるので、エアコンの吹き出しや風の通り抜けの妨げにならないと考えたわけです。

業者へは、このパネルを2枚発注。発注後、パネルが届いたのは4月下旬でした。こういう状況なので、通常よりもやや時間がかかりましたが、仕方がないでしょう。

届いたパネル2枚は、天井に小さな穴を開けてフックを取り付けて、そこから紐2本でフィルムを吊り下げました。通常、カウンターには従業員が2人立っていますので、その立ち位置に合わせて設置した形です。また、風で大きく揺れることがないように、パネル下部とカウンターの間も紐でサポートすることにしました。

レジカウンターにはA1サイズの透明パネルを2枚天井から吊して飛沫防止に活用

取り付けた後に、エアコンをつけたり、入り口を開けて風を通してみましたが、天井付近に空間が用意できたことや、カウンター全体を覆わないため、エアコンの吹き出しを妨げず、また入り口からの風の通り抜けも問題ないことを確認しました。ビニールシートに比べると開口部が多いですが、従業員の目前にパネルがあるだけでも飛沫防止には効果があると言えそうです。

お客様からすれば、飛沫防止用フィルムの存在が気になる方もいらっしゃると思います。ただ、お客様だけでなく従業員も守る必要がありますので、この対応にご理解をお願いできればと思います。

売上は大幅減も、なんとか頑張りたいところ

休業要請によって閉店を余儀なくされている事業者が多く存在しています。そういった皆さんは、それこそ甚大な影響を受けていることと思います。また、休業要請に含まれない飲食店の皆さんも、お客様の減少で非常に厳しい状況にあると思います。紀の善は、もともとイートインとテイクアウトの割合がほぼ半々ですので、これまでテイクアウトを行なっていなかった飲食店のみなさんに比べると、まだましな方かもしれません。それでも3月以降は売上げが大幅に減少しています。

実際の2月から4月までの売上の推移をまとめたのが下のグラフです。こちらを見るとおわかりのように、3月、4月と売上が大きく減少しています。3月はまだ通常と同じ営業でしたが、それでも売上は前年同月比66%と3割以上減少。さらに4月は前年同月比35%と、6割以上の減少でした。イートインスペースの縮小や営業時間の短縮、定休日の追加などもあったとはいえ、非常に厳しい数字となっています。

売上前年同月比

また、イートインとテイクアウトそれぞれの売上の前年同月比をまとめたのが下のグラフです。4月からイートインスペースを大幅に削減していますので、4月にイートインの売上が大きく低下しているのもしかたがないでしょう。ただ、通常営業だった3月もイートインが4割以上落ち込んでいることや、テイクアウトも大きく落ち込んでいることからは、多くの人たちが外出自粛要請を受けて外出を控えていると判断できます。

イートインとテイクアウトの売上前年同月比

店としては、この売上減が長期間続くと非常に厳しいのは間違いありません。また、今のところその出口が全く見えてないというのも頭の痛いところです。とはいえ、売上の推移から、多くの人が外出を控えていることが見て取れ、今後状況の好転に期待が持てるとも言っていいでしょう。ですので、店としてもいろいろと方策を考えつつ頑張っていきたいと考えています。

あわせて、政府や自治体には、影響を受けている事業者や従業員に対する補助をもっと手厚くしてもらいたいと思います。コロナ終息後も今と同じように営業が続けられるのはもちろん、従業員の生活も守れるよう、強くお願いしたいです。

平澤 寿康