いつモノコト

遠近両用、ちょっとその前に。メガネに“アシストレンズ”を入れてみた

遠近両用レンズの一歩手前、“アシストレンズ”に変えてみました

加齢に従って、近くのものにピントを調節しづらくなる老眼の進行が自覚できるレベルになってきました。

自宅ではそれほど気にならないのですが、電車に乗り、座席に座ってスマホを取り出すと、画面や文字が明らかにボケていて、スマホをグっと遠ざけるか、首をぐいっと後ろにしないとピントが合わないようになりました。半年ぐらい前からだんだんと自覚するようになりました。

電車でスマホが見づらいのは深刻なケースとまではいえませんが、仕事でカメラを使う際に問題が出てきて、対策が必要だと思うようになりました。カメラをストラップで首から下げて、ちょっと腕を伸ばしながら、背面のモニターをファインダーにして撮影する。そんなシーンは業務上いくつもありますが、背面モニターに目のピントが合わないというケースが増えてきたのです(ファインダーを覗く場合は問題ありません)。これはけっこう困る状態で、上目遣いでメガネのレンズを避けて見るとかの、パブリックイメージとしての高齢者っぽい仕草ですが、これまで意識してこなかった工夫が必要になります。

中学生の頃から近視でメガネを使用しているので、メガネで老眼にも対応するとなると、遠近両用レンズが選択肢として浮かびます。そこで、今使っているメガネを作った店を訪れ、検査をしてもらいつつ相談してみました。

検査の結果は、老眼としてはまだ軽度の段階とのことでした。また、老眼は数年かけて進行していくことが多く、遠近両用レンズを作っても、3~5年後には合わなくなってしまう可能性が高いとのこと。そこで、少しだけ安価に作れるアシストレンズなるものを紹介してくれました。

簡単に説明すると、アシストレンズは、レンズの下半分のエリアに、調節した度付きのレンズを入れるのではなく、上半分の近視用エリアの度を「弱くした」エリアにする、というものです。これだけで、下半分は近くのものにピントが合いやすくなります。もちろん度はある程度残っているので、裸眼の見え方とは違います。

私が相談した店では、アシストレンズの価格は約3万円、遠近両用レンズは4万円~となっていました。何かメガネで老眼対策はしたいけれど、数年後には老眼が進行して使いづらくなっているかも、と予想できるので、ひとまずアシストレンズの製作を依頼しました。ちなみにレンズはメガネレンズ専門メーカーの東海光学製でした。

出来上がったものを使ってみると、レンズの下半分のエリアでは近くのものにピントが合いやすく、効果を実感できました。度が弱くなる境目は分からず、なめらかにつながっているのも自然な感じで気に入っています。電車でスマホを目の前にかざしても、画面を遠ざける老眼の人の仕草をしなくて済むようになりました。

レンズ下半分は度が弱くなっていて、より近くのものにピントを合わせやすくなっています ※視界のイメージで、実際の見え方とは異なります

例えば私の場合、メガネをかけて、スマホを20cmぐらいの距離にまで近づけると、文字やアイコンがぼやけ始めます。そこでアシストレンズの下半分を使うと、クッキリと見えるようになります。この状態でメガネを外して裸眼にすると、(近視が進行しているので)文字が読めないほどに視界がぼやけてしまいます。裸眼で画面をはっきりと見るためには、スマホを顔前12cmぐらいにまで近づけなければいけません。アシストレンズは、ちょうどよい塩梅に近くのものが見やすくなっているわけですね。

ちょっとドジだと思ったのは、カメラの背面モニターの件です。私としてはアシストレンズにするちゃんとした理由だと思っていたのですが……。私が背面モニターを使うケースは、ファインダーを覗けない場合、つまり、カメラを上方に掲げていることがほとんどです。背面モニターはおでこの高さか、それより上に位置するので、レンズの下半分を使って見ることが難しいのです(笑)。撮影後のチェックはまだできますが、背面モニターをファインダーとしてリアルタイムに見ながら使う場合は、やはりメガネの隙間から上目遣いで見ることになりそうです。

太田 亮三