いつモノコト

でかくて重い“モバイル”ディスプレイを買い換えてみた

以前、17.3型のモバイルディスプレイを購入し、快適に使っていたのですが、1件だけ気になる点がありました。それは、ディスプレイが「TNパネル」だったことです。TNパネルは安価ですが、発色に関してはどうしてもIPSパネルに一歩譲ります。購入したのはもう2年ほど前なのですが、当時は2,560×1,440ドット表示で17.3型という大型のモバイルディスプレイで、IPSパネル搭載のものは見つけられませんでした。4KやフルHDならわりとありました。しかたなくTNパネルで妥協をしたのですが、実際使ってみるとそれほど悪くありませんでした。

元々、リビングで仕事をしたい時にノートPCのディスプレイでは少し小さいと感じていたためモバイルディスプレイを使いはじめました。据え置き型のディスプレイのほうが安価で画面も大きく作業はしやすいですが、モバイルディスプレイなら不要な時にすぐ片付けられるのがメリットです。その後外付けGPUも購入し、軽くゲームもできるようにしました。

TNパネルの弱点として視野角は狭く、少し斜めから見ただけでも色がおかしく見えてしまいます。ただ、モバイルディスプレイとしては大きいとはいえ、17.3型というサイズは昨今の据え置き型のディスプレイと比べればかなり小さく、画面全体がほぼ視野に入るので、わざわざ横から見ないかぎりはあまり気になりませんでした。

ただ、正面からみても発色はおせじにも良くありませんでした。普段はそれほど気にならないのですが、とあるゲームで「色の区別が付かない」ケースがあり、そこだけが不満でした。ゲーム中のアイテムのアイコンがグレードによって色が変わるのですが、色の区別が付きにくいのです。慣れてしまえばプレイに支障はなかったのですが、やはり、発色のいいIPSパネルがほしいな、と思い始めたきっかけです。

写真で撮ると意外とキレイに映ってしまって肉眼でみるより色の区別が付きやすいので、あえて「こんなかんじに見える」という状態で撮影しました。中央にある2つのアイコンは色が違うのですが、ぱっと見こんな感じにみえて判別しにくい状態でした。写真だと大きく見えますが実際にはもっと小さく見えるのでなおさら区別がしづらい感じです。いずれにせよ極端な例ですので参考まで

そもそも17.3型や16型でも4KのIPSパネルなら比較的豊富にあったのですが、まず価格が高く、17.3型では7万円近くしました。そこまでお金を出しても結局文字が小さすぎるので解像度自体はOS上で拡大表示にするだろうことを考えると、あまりコスパのよい判断には思えませんでした。4Kを1.5倍に拡大表示にして、高精細感が増すのもそれはそれで悪くないのですが。

結局、4Kモバイルディスプレイを買うほどのモチベーションはわかなかったのですが、昨年末に久しぶりにAmazonで検索してみると、いつのまにやら17.3型、2,560×1,440ドット、IPSパネル、というパーフェクトな製品が発売されていることに気づき、購入しました。筆者が購入したのは「Acouto XC17 Pro」という製品で、価格は37,980円でした。

Acouto XC17 Pro
本体カバーはマグネット式で装着しスタンドになるタイプです
VESAマウントにも対応します

狭額縁でコンパクト

デザインはもはや最近のノートPCでは当たり前になりつつある狭額縁デザインで、かなりベゼル部分は薄くなっており、スマートでなかなかかっこ良い見栄えです。以前持っていたTNパネルのモバイルディスプレイと画面表示のサイズは変わらず、ベゼルが細い分、本体サイズ自体はコンパクトになりました。地味にありがたいです。サイズは391×241×11mmで、重量900gです。以前使っていたものは413×257.3×11.5mmでした。

サイズはけっこうコンパクトになります
ベゼルの比較。左が本製品です

ディスプレイ入力はmini HDMI×2とUSB Type-C×1、それに電源供給用のUSB Type-C×1を備えています。今回使用したマウスコンピューターのRyzen搭載15型ノートPC「mouse X5-R5」では、HDMIを使って映像を入力し、ノートPC側のUSB Type-Cを電源供給用として使用したため、付属の電源アダプタは使わずに使用できました。

接続端子
ケーブルをつないだ状態。USB Type-Cは電源、mini HDMIが映像入力です。mini HDMIのケーブルは付属しています
mouse X5-R5は、電源供給用にUSB Type-Cを使用し、映像出力用にHDMIを接続しています。電源をノートPCから供給できる場合は、ディスプレイ用に別途電源アダプタを用意する必要がありません

本製品は、モバイルディスプレイといっても、駆動用のバッテリーなどは搭載していません。今回のようにノートPC側から電源を供給できれば、外部電源がない場所でも使えるシーンが増えますが、そのぶんノートPC側のバッテリーは速く減ってしまいます。

ただ、元々サイズが大きいのと、個人的には持ち歩く頻度は高くありません。また、バッテリーを搭載しているモバイルディスプレイは比較的値段も高めになっており、バッテリーがない分安価に購入できるのは、むしろありがたいと思っています。

さすがのIPSパネル

なんといっても、やはりIPSパネルは発色が抜群です。ゲームの色の問題も解決し、まったく問題がありません。コントラストが高く、黒もしっかり引き締まっています。反面、ゲーミングディスプレイのような120Hzといった高いリフレッシュレートは備えていませんが、個人的には一般的な60Hz程度でも困ったことはなく、問題は感じません。

こちらの画像は普通に撮影した状態で先ほどの画像よりちょっとずるいですが「実際に見えているイメージ」として参考まで。先ほどの画像はさすがに極端な例ですが実際、コントラストの高さと黒が引き締まってみえることから見栄えはとてもよく感じます

17.3型で2,560×1,440ドット表示というのも程よいサイズ感で、フルHD(1,920×1,080ドット)よりも解像度が高く、4Kよりも文字が大きくてバランスがよい感じです。普段はノートPCに接続して、モバイルディスプレイ側をメインのディスプレイとして作業しています。また、接続するノートPCがフルHDなので若干解像度もあがり作業性も向上します。個人的には14型以上のディスプレイでは、フルHD以上の解像度がほしいと思っていますので、この解像度とサイズはベストです。

マルチディスプレイとして使うパターン
筆者はノート側を閉じてモバイルディスプレイだけで作業するパターンが多いです

価格としては安くてびっくり、というほどではなく、同じ価格帯でもっと大きな据え置き型のディスプレイも買えますが、使わない時は片付けたい、などのニーズにはオススメです。17.3型というサイズも、大抵のノートPCよりは大きなサイズですので、もう少し大きな画面で作業をしたい、という場合などにもぴったりです。

清宮信志