いつモノコト
テクニクスのイヤフォン「AZ60」が最高。マルチポイントがリモートワークに最適
2022年1月12日 09:00
左右それぞれの耳に分離して装着する完全ワイヤレスイヤフォンは、AirPodsの登場以降イヤフォンの定番となりつつあるほど普及しており、最近では数え切れないほど多種多様な製品が世の中にあふれています。
筆者もAirPodsに触れて以来、完全ワイヤレスイヤフォンの自由度に惹かれていくつもの製品を試してきましたが、最近購入してかなり満足度が高いのが、パナソニックのオーディオブランド「テクニクス」の「EAH-AZ60」(以下AZ60)です。
多彩な操作とマルチポイントが魅力で購入
きっかけは筆者が最近追いかけている「BE:FIRST」というアーティストが、テクニクスのキャンペーンに起用されたこと。対象商品を購入すると限定オンラインイベントに参加できるというキャンペーンが気になってスペックを見てみると、想像以上に自分向きの製品なのでは、と興味が一気に沸いてきました。
気に入った1つめのポイントは、タップ操作の充実度。完全ワイヤレスイヤフォンは本体タップに多くの操作を割り当てる関係上、操作できることが限られるのですが、テクニクスの製品は再生と一時停止はもちろんのこと、早送りや早戻し、音量コントロール、ノイズキャンセリングのオンオフまで一通りのことが本体タップで操作できます。
2つめの魅力は、完全ワイヤレスイヤフォンでは珍しいマルチポイントに対応していることです。マルチポイントは2つの製品に同時に接続できる機能で、端末の接続を切り替えることなく両方の音を聞くことができます。自宅はもちろん外出先でもスマートフォンとPCでイヤフォンを切り替えることが多いため、マルチポイントを使えばもっと便利になるのでは、との期待もありました。
筆者はこれまでソニーの「WF-1000XM4」を使っていたのですが、本体タップで操作できるのが、ノイズキャンセリング、音量コントロール、早送り/早戻しという3つの操作体系のうちどれか2つまでしか設定できないことが地味に困っていました。また、WF-1000XM4では対応していないマルチポイント機能や、BE:FIRSTの限定イベントに必ず参加できるという特典も背中を後押しして購入に踏み切りました。購入価格は28,000円です。
BE:FIRSTイベント特典の対象は3製品あったのですが、AZ70は少し前のモデルであり、AZ60に比べてマルチポイントや高音質コーデック「LDAC」に対応していません。また、AZ40はAZ60と同時発表されたエントリーモデルで、AZ60にはないローズカラーという本体カラーが魅力です。こちらはLDACとノイズキャンセリングに対応していないのが違いとなります。
普段あまりノイズキャンセリングはそこまで使っていないことと、音質にこだわりがないためLDACもそこまで必要ではないのでAZ40と悩んだのですが、タップ操作でノイズキャンセリングを簡単に切り替えられるならあっても困らないかな、と上位モデルのAZ60を購入することにしました。
装着感は良好。フラットでタップ操作しやすい本体
購入してから気になっていたのは、上記で書いた機能よりも本体の装着感でした。どんなに便利で高性能なイヤフォンでも耳の形に合わないと耳が痛くなってしまったり、何かの拍子に耳から落ちてしまうこともあるため、日常で使い続けるためには一番大事な要素と言えるかもしれません。
この点も満足で、装着感は良好です。個人差があるため全員に当てはまるわけではありませんが、装着時はとても安定していて、走っても簡単に落ちることはありません。イヤーピースも大きさだけでなく高さが異なる7サイズが標準で用意されているため、幅広い耳の形に対応しています。
テクニクスの公式YouTubeでは、AZ60を装着したまま激しい動きをするという動画が公開されており、装着感については相当な自信があるようです。
本体操作は側面がフラットになっていて押しやすく、誤操作もあまりありません。WF-1000XM4は側面が山型に盛り上がっており、タップがずれて思うとおり操作できないことも多かったのですが、AZ60はタップしたい場所をしっかり操作できています。
低音強めながら高音質。ノイズキャンセリングも強力
音質はかなり特徴的で、低音が非常に強め。あまり音質にこだわらない筆者ですが、初期状態のAZ60で音楽を聴いたときに、「この曲はこんなに低音が強いっけ?」とびっくりするくらい、低音が目立つ音質でした。専用アプリのイコライザ機能で低音を弱めて高音を強調したところ、だいぶ自然な感じに近づきましたが、それでも低音は目立ちます。
しかし音質自体は非常に良く、普段使いしていて気になることはありません。ソニーのWF-1000XM4との音質比較をしてみたところ、比べるとWF-1000XM4のほうが好みかな……と思いはするものの、普段使いではほとんどわからない程度です。
Bluetoothの接続性も安定度は十分。渋谷の駅前交差点のような人通りの多いところではさすがに時折音が途切れますが、駅のホームなどで音が途切れることはほとんどありません。また、途切れるときもノイズのような音ではなく、スッと瞬間的に無音になるため、途切れるときの違和感も少なめです。
ノイズキャンセリングも強力で、オンにするとエアコンやパソコンのファンの音もすっかり聞こえなくなります。個人的にはイヤフォン以外の音が聞こえなくなるのは困るので、よほど1人でいるときくらいしかノイズキャンセリングはオンにしないのですが、ノイズキャンセリング機能が目当てという人も満足できるのではないでしょうか。
パソコンとスマホの音を自動切り替え。想像以上に便利だったマルチポイント
音質や操作などはある程度想定通りの魅力でしたが、想定以上に魅力的だったのが前述のマルチポイント機能です。マルチポイントの設定は特に難しいことはなく、2台の端末をBluetooth接続設定すると自動的にマルチポイントとして登録され、音声ガイダンスの「接続しました」が2回聞こえるとマルチポイントとして登録されていることがわかります。
マルチポイントで接続しているときは、どちらかの端末で最後に音を出した端末に自動で切り替わります。スマートフォンでSpotifyの音楽を聴いている時にパソコンでYouTubeを再生すると自動的にパソコンの音に切り替わり、YouTubeの再生を終了するとまたスマートフォンのSpotifyが自動で流れる、という形です。
これまで筆者はスマートフォンとパソコンでヘッドフォンとイヤフォンを別々に設定しており、パソコンとスマートフォンの音を聞きたいときはヘッドフォンとイヤフォンを切り替えて対応していたのですが、一度マルチポイントの手軽さを体験してしまうと、わざわざヘッドフォンを切り替えていたのは何だったのかというくらいの快適さでした。
音楽を聴いている時に、SNSで流れてきた動画をパソコンで視聴したい。パソコンで動画を見ているときにスマートフォンにかかってきた電話を受けたい。これまでそのたびに端末を操作してヘッドフォンの設定を切り替えなければいけなかったのが、マルチポイントであればいちいち切り替える手間はありません。
在宅ワークで「すべてパソコンで操作する」と決めれば、ヘッドフォンの切り替えは不要かもしれません。ただ、外出時はスマートフォンで音楽を楽しみ、仕事するときはパソコンでも音を聞きたいというときに、切り替えの手間なく音が聞けるのは、理屈ではわかっていたものの、実際に体験してみると想像以上に快適な環境でした。
リモートワークという点でも、周囲の雑音を低減して自分の声をクリアにしてくれる「JustMyVoice」という機能を搭載。こういう機能は相手側にしかわからないのですが、専用アプリでは実際にどのように聞こえているのかを録音して確認できる機能が搭載されており、その効果を実際に体験することができます。
完全ワイヤレスイヤフォンにありがちな落下・紛失の面でも、イヤフォンが最後に接続していた場所を地図に表示でき、Bluetoothで接続されていればイヤフォンから音を出して場所を特定する「ヘッドホンを探す」機能も搭載。いざというときの紛失対策も備わっているのは安心です。
マルチポイントはリモートワークに最適。AZ40もお勧め
BE:FIRSTに釣られて購入したAZ60ですが、想像以上に魅力的なイヤフォンでした。音質はクセがあるものの高品質で、タップ操作も充実しており、なによりマルチポイントの便利さは「一度味わったらもう非対応製品は買えないな」と思うほど気に入っています。
ほとんど満足しているAZ60ですが、細かい点でいうとイヤフォンを外したら自動で音が止まる機能が無いので、外すときは自分で音を止める必要があります。とはいえタップ1回で音楽を止められるので、あったらいい機能だなとは思うもののさほど困ってはいません。
リモートワークでパソコンやスマートフォンなど複数の端末で音を聞く必要がある人には、マルチポイントはとても魅力的な機能です。下位モデルのAZ40もマルチポイントは対応して、価格も1.5万円程度(AZ60は2.8万円前後)と完全ワイヤレスイヤフォンとしては比較的手頃です。マルチポイントに興味がある人はAZ40を選ぶのもよさそうです。