いつモノコト
はっきりとした線。そして速乾。ステッドラー・ピグメントライナー
2021年7月17日 09:30
「デジタルトランスフォーメーション」なんて言葉が飛び交う世の中でも、簡単にアイディアを整理したり、すばやくメモを取ったり、あるいは手紙を書いたりと、手でものを書く機会は根強く残っています。
そのとき、何を使って書くでしょうか。ボールペンか万年筆か、あるいは鉛筆という方もいるでしょう。選択肢はたくさんありますが、筆者が数年来使っているのがドイツの文具メーカー・ステッドラーの「ピグメントライナー」(308円)です。画材店や大きめの文具店のほか、Amazonや楽天市場でも取り扱いがあるようです。
「ミリペン」を普段使いする
ピグメントライナーのペン先を見てみると、通常のボールペンとは大きく違い、素材としてはサインペンに似ています。こういった種類のペンは、ステッドラー以外からも発売されており、漫画やイラスト、製図をする人の間では総称して「ミリペン」と呼ばれ、愛用されているようです。
「別に絵は描かないなあ」とお考えの方もいるかもしれませんが、筆者にもあまり縁のない世界です。筆者のように、文字や簡単な図を書くだけの方にもおすすめできます。その理由をご説明します。
はっきりとした線、なめらかな書き心地
筆者が所持しているピグメントライナー0.1mm・0.5mmと、一般的な0.5mmの油性ボールペンで文字を書いてみました。ピグメントライナーとボールペンを比べてみると、前者の方が線が黒々として、はっきりとした印象があります。
好みの問題だとは思いますが、筆者は線がはっきりとしている方が好きです。書き心地も抵抗が少なく、なめらかです。最近のボールペンはとても優秀ですが、それでもボールの回転が詰まる場合があり、かすれの原因になります。ピグメントライナーはペン先にインクがしみ出す形なので、そのようなことはなく安定した線が書けます。
こすれないインク
黒々とした線を見ると、どうしても乾きにくいような印象を覚えますが、実際にはそうではありません。
文字を書いた直後に、指の腹で思い切り左から右にこすってみました。ボールペンでは多少インクがこすれています。「こす」のあたりが比較的わかりやすいでしょうか。
これは極端な例で、ボールペンのインクがこすれるのも仕方ないですが、筆者のように左利きで横書きをする場合、手で文字をこすってノートや手が汚れるというのはままあることです。
右利きの方でも、縦向きの宛名書きをしているときなどは、同じような状況におちいることがあるのではないかと思います。ピグメントライナーの速乾性のあるインクはそういうことを気にしなくて良いので楽です。乾いた後は耐水性も持ちます。
文字の隠れないペン先
手帳など、小さなスペースに細かい文字を書く機会があるかもしれません。写真は5mm方眼のノートで、1マスに1文字を目安として記入してみたものです。
そういったとき、通常のボールペンではペン先で書いた文字が隠れる、ということがあります。冒頭でお見せしたとおり、ピグメントライナーのペン先は細くつくられていて、隠れにくいです。元が製図道具なので当然ともいえますが、定規が当てやすい、というメリットもあります。
バリエーションの豊富さ
筆者の筆圧の問題、という可能性もありますが、ボールペンと比べると同じペン先の太さでも、どうしても線が太くなるようです。それでも、0.1mmのペン先ではあまり変わらない線の太さになっています。
そのうえ、0.1mmよりさらに細い0.05mmのペン先も用意されています。ピグメントライナーには、0.05mmから1.2mmまで11種類の太さ、そして斧型という蛍光ペンのような特殊なペン先1種、計12種類のバリエーションがあります。
さらに、ペン先は0.3mmと0.5mmに限られますが、インクも赤、青、緑など12色が用意されています。筆者は前述の通り黒色の0.1mmと0.5mmを使用していますが、豊富な選択肢のなかから自分好みの太さや色を探すのもおすすめです。
長所ばかりを書き連ねてきましたが、ひとつだけ残念な点もあり、それがキャップ式ということです。
ピグメントライナーの本体には「>12h CAP-OFF」と書かれており、キャップを外したままでも12時間以上ペン先が乾かないようで、そこは良いのですがキャップをなくしてしまっては元も子もありません。
しかしその点を踏まえてもなお、すばらしい製品です。さらさらと書いてもはっきりとして安定した線が出て、すぐに乾いてこすれない、というのは実に気持ちの良いものです。