レビュー

自動撮影カメラ「PowerShot PICK」で子供のシャッターチャンスを逃さない

キヤノン「PowerShot PICK」白と黒があります

シャッターチャンスを自動で判断して撮影する、キヤノンの新コンセプトカメラ「PowerShot PICK」の一般販売が2021年11月末に開始されました。直販価格は45,980円。

キヤノン独自のアルゴリズムで、人の顔を自動で認識し、カメラが上下左右回転・ズームをしながら構図を調整して撮影してくれます。電源を入れて置いておくだけなので、自然な表情や思いがけない瞬間が撮れるとのことです。

この特徴を聞いてまず思ったのが、「子供の日常写真を撮りやすそう」ということ。現在、筆者の子供は1歳半で、日に日にできることが増えています。発する言葉も増えていますが、カメラを向けると黙ってしまったり、それまでしていた行動をやめてしまったりすることがしばしばあるのです。

PowerShot PICKなら、こうしたシャッターチャンスを逃さず収められるのでは、と思いお借りしてみました。自宅で使ってみて、どんな写真が撮れたかご紹介します。

電源を入れて置いておくだけで撮影

PowerShot PICKは静止画・動画どちらも撮影可能で、被写体の状況により判別して自動撮影してくれます。このほか音声コマンドによる撮影や、スマホアプリから手動での撮影にも対応します。

本体は高さ81.9mmと、かなりコンパクト。ヘッド(カメラ部)の回転角度は、パンが左右とも170度、チルトが下20度、上90度。ズームは光学3倍(19-57mm F2.8-5.0)。最大4倍の電子ズームも備えています。センサーは1/2.3型CMOSセンサーで、有効画素数は約1,170万画素。パン・チルト鏡筒による手ブレ補正機構もあります。

初回起動時には、スマートフォンとのペアリングが必要。アプリ「Connect app for Mini PTZ Cam」をインストールし、スマホのBluetoothとWi-FiをONにして、あとはアプリの画面に従えば簡単に接続できました。本体は充電式ですが、ケーブルをつないで給電しながらの使用にも対応します。

本体サイズは56.4×81.9mm(直径×高さ)で、重量は約170g。充電ケーブル(USB Type-C)と説明書が付属
ヘッド(カメラ部)の回転角度は、パンが左右とも170度、チルトが下20度、上90度
記録メディアはmicro SDカード
電源ボタン、ワイヤレス通信ボタン
本体とスマホのペアリングは、アプリに従えば簡単にできました

自分では撮れない風景を撮影してくれる

撮影の準備が整うと、人物を探しているのかカメラがよく動いていました。動作音はピッ。ピロロ……と動きに連動して鳴っていて、本体のフォルムも相まってスター・ウォーズのR2-D2のようで可愛らしいです。

自動で撮影されると、カシャっと音が鳴ってわかりやすいのですが、子供はその動作音が気になってしまう模様。撮影される度にカメラの方へ向かってしまいましたが、そんなときはアプリから動作音をオフにできるので、以降は問題なく使えました。

撮影された静止画と動画を見てみると、なかなか良い感じに撮れています。しっかりカメラ目線のものもあれば、何か喋っているところも動画で収められていました。

また、食事中に子供が自分でごはんを食べているところは、普段は余裕がなくて撮れないので、こうした風景も記録に残せて良かったです。テレビから聞こえる言葉を真似している様子が撮れたときは、これはスマホじゃ間に合わないやつ……! と思わずガッツポーズしてしまいました。

PowerShot PICKの自動撮影で撮れた写真。猫も写っています
動作音に反応していましたが、それによって撮れるカメラ目線の写真もありました

1つ気になるのは、自宅で日常写真を撮ろうとすると、家の様子もわかってしまうこと。360度すべてキレイに保てているなら良いのですが、家の中だとどうしても生活感溢れるエリアも写ります。

撮影エリアを限定したいときは、アプリから設定可能。PowerShot PICKでは、自動撮影の設定を「エコ」「ライト」「アクティブ」「カスタム」の4種類から選べます。特に「カスタム」は探索範囲やズーム範囲を細かく変更でき、ビデオ撮影をする/しないも選択可能です。

筆者も基本はリビングのみが写るように設定し、ゴチャゴチャと物が置いてある隣のダイニングは写らないように微調整。このほか製品ページの撮影のコツには、「カメラ背面が壁の場合は、後ろを写す必要がないから探索範囲を180度にする」など、上手く撮る方法が書いてありました。

なお画質に関しては、通常のカメラと比較してシャッタースピードやズームの制御が異なるため、画質に影響する場合があるそうです。より良い画質で撮りたい場合は、できるだけ明るい環境で撮影する、設定でズーム範囲を「無」にする、カメラを近くに置く、などが対処法として挙げられていました。

ごはんを食べているところ。画質は低いですが、普段余裕がなくて撮れない食事中の風景も記録できて良かったです
自動撮影の設定は「エコ」「ライト」「アクティブ」「カスタム」の4種類から選べます
探索範囲を調整してリビングのみ写るようにしました
手動撮影もできます

画像の確認はBluetooth接続が必須

今回PowerShot PICKを試すにあたり、期待していたことは「外出先から自宅にいる子供の写真を確認する」ことです。お借りしている期間、筆者は入院の予定があり、子供と会えない間PowerShot PICKに子供の写真を撮ってもらい、それを病院から見ようと思っていました。

ですが、結論から言うとこれはできません。PowerShot PICKで撮った写真の確認は、本体とスマホがBluetoothでペアリングされている状態のときのみ行なえます。

こちらについてキヤノンに確認したところ「クラウドに保存していないため、スマホとBluetooth接続されているときのみ転送可能」とのことでした。セキュリティ面を考えたら、確かにその方が良さそうです。

入院中に撮影された写真は退院後に確認しましたが、自分がいない間子供がいつも通り過ごしていたことがわかり安心しました。

本体とスマホがBluetooth接続されていないとき(左)、接続されると画像確認できます(右)
自分がいない間の子供の写真は退院後に確認。いつもと変わらず過ごしていたのがわかり安心しました

今回は子供の写真を撮影するため自宅で使いましたが、人が集まるイベントや旅行などでも活躍できそうだなと思いました。自宅だと自分自身はノーメイク部屋着なことが多く、PowerShotが写した筆者は正直お見せできるものはないレベル……(笑)。

ですがイベントごとや旅行のときは、子供と一緒の写真を撮ってもらいたいところ。世の親が抱える「気付いたら子供と写ってる写真が全然ない問題」を解決するのにも役立てられそうです。

西村 夢音