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ソニー、IP/アニメ投資で成長へ PSNを軸にネットプラットフォーム強化

ソニーグループ吉田憲一郎会長CEO

ソニーグループは、2024年度の経営方針説明会を開催し、コンテンツ、プロダクツ&サービス、半導体(CMOS イメージセンサー)という3つのビジネスレイヤーにおける「クリエイションシフト」について説明した。

アニメを中心にIP投資を進めるともに、「PlayStation Network」のネットワーク基盤をベースにアカウントや決済、データ基盤などを、アニメ配信サービスの「Crunchyroll」に展開。ソニーグループのエンゲージメントプラットフォームへの発展させる計画も紹介した。

ソニーグループでは、ゲーム&ネットワークサービス、音楽、映画の3つのエンタテインメント事業において、2023年度のグループ売上高の約6割を占めており、エンタテインメント企業ともいえる。エンタテインメントと「感動」を軸に事業展開していくことは変わらない。

そのためにIPへの投資や、感動を生み出す商品開発を続けてきた。2018年のEMI Music Publishingの買収を起点に6年間で約1.5兆円を投資し、コンテンツ制作を強化。2021年にはアニメに特化したサービス「Crunchyroll」を買収し、アニメクリエイターコミュニティの対応を強化している。

またクリエイションを支えるCMOSイメージセンサーに注力し、過去6年間で約1.5兆円の設備投資を実施。さらに自動車などのモビリティの安全貢献に向けた開発も進める。

「リアルタイム」をキーワードに、CMOSやゲームエンジンのクリエイションテクノロジーに注力。今後もグループシナジーの創出に、投資を行なっていく。

ソニーグループの吉田憲一郎会長は、「以前のシナジーはエレクトロニクスが意識されていたが、2021年のグループアーキテクチャ再編により、事業間、特にIPのシナジーが高まった。(ゲームを起点としたIPの)アンチャーテッドが映画で400ミリオンを達成したのは、大きな成果と考えている」とする。

今後の展開として、アニメにおいては、アニプレックスによる、高品質な作品の制作や、1,300万人超の有料会員を抱えるCrunchyrollを通じた海外配信を推進。また、開発中のアニメ制作ソフト「AnimeCanvas」を通じ、制作環境と効率の改善、作品、品質向上を目指す。今後のアニメの成長の軸としても、「Crunchyrollの拡大」を見込んでいる。

映画においては、SPE傘下のPixomondoがEpic Gamesと連携し、バーチャルプロダクションなどの技術を駆使できる映像クリエイターを育成。また、「YOASOBI」などのアーティストらによる新たなIP創出や、スポーツエンターテインメントなども強化する。

IPやコンテンツ強化のための技術基盤も強化。ボリュメトリックキャプチャスタジオを活用した、3Dアセットの蓄積や組織横断での活用や外販を検討していくほか、ゲームエンジンのUnreal Engineを軸にEpic Gamesとの連携を強化。バーチャルプロダクションで撮影したミュージックビデオと同じ世界観の中で遊べるゲーム制作などに取り組む。

なお、AIや機械学習も活用するが、クリエイターとの共存を強く意識した展開を予定しているという。

「エンゲージメントプラットフォーム」として発表したのがPlayStation Network(PSN)とCrunchyrollにおけるアカウント連携。PSNのネットワーク基盤をベースに、アカウント、決済、データ基盤、セキュリティなどのコア機能を、Crunchyrollに展開し、ソニーグループとしてのエンゲージメントプラットフォームへの発展させる。

さらに、ソニーグループの各種サービスのID共通化も進めるほか、モビリティやロケーションベースエンタテインメント(LBE)に向けたグループ内の新規ネットワークサービスの展開をサポート。将来的には、ファンエンゲージメント特化型の共通プラットフォームとして、エンタテインメント業界で広く活用されることを目指す。