ニュース

ゆうぽうと跡地「五反田JPビル」開業 五反田食堂・ホール・ホテル「OMO」

「旧ゆうぽうと」跡地にて日本郵政不動産が開発を進めていた「五反田JPビルディング」が、4月26日に開業する。開業に先立ち、開業記念式典 内覧会が実施された。

誰でも気兼ねなく利用できる「五反田食堂」

五反田JPビルディングは、飲食店・ホテル・ホール・オフィス・シェアオフィスで構成される複合施設。飲食店はフードホール「五反田食堂」の名称で11店舗が軒を連ねる。ホテルは星野リゾートが運営するブランド「OMO」を展開する。

東京都品川区西五反田8-4-13で、アクセスは五反田駅から徒歩5分、大崎駅から徒歩7分、東急池上線 大崎広小路駅から徒歩1分。かつてこの場所には、郵政省(当時)の簡易生命保険の資金をもとに1982年4月1日に開業した「ゆうぽうと」があった。その後、郵政民営化により保有・運営は日本郵政グループが手掛けていた。正式名称は「東京簡易保険会館」で、ゆうぽうとは愛称。

施設の目の前に大崎広小路駅が見える
近隣には、4月9日に建替延期が発表された「TOCビル」がある。12階のオフィスフロアから撮影

規模は地上20階・地下3階、高さ約97m、敷地面積約6,700m2、延床面積約69,000m2。1階がフードホール、2階がシェアオフィス、3階がオフィスロビー、ホール&ギャラリー(3階と4階)、4階から12階がオフィス、14階から20階がホテルというフロア構成になっている。

通りに面した場所は植栽により、施設利用者だけではなく、付近を行き交う人も季節の移ろいを感じられるようにしている。

植栽
メインエントランス

1階のフードホール・五反田食堂は「多様な人が気兼ねなく過ごせる五反田のマチの食堂」がコンセプト。施設内のオフィスワーカーだけではなく、近隣の人やビジターも利用できる。

メインエントランスを入ると左右に五反田食堂への入口がある
通りに面した場所にも入口がある

カテゴリーは洋食、和食、エスニック、中華、カフェと、バラエティに富んだ構成。カウンター席やソファー席など、様々な用途で利用できる座席を配置している。座席数は約230席。

五反田食堂

星野リゾートが手掛けるホテル「OMO」

ホテルは「OMO5 東京五反田by 星野リゾート」で、地上60~100mの高層階に位置し、客室から品川、目黒、大崎など近隣一帯を望める。

1階のホテル入口の装飾
フロントなどがある14階の様子
客室からの眺望。東京タワーや六本木ヒルズ、麻布台ヒルズなどが見える

OMOは、旅行先での観光が楽しくても、ホテルについての印象は残らないことが多いことから、ホテル発信で街の楽しみ方を提案することにより旅のテンションを上げることを目指して立ち上げたブランド。OMO5東京大塚では「大塚はしご酒ツアー」、OMO3浅草では「粋だねぇ、明けの浅草散歩」といったサービスを提供している。

五反田では「ご近所マップ」「ひとさらdeご馳走パス」「五反田ヒルズツアー」などのサービスを提供。それぞれ、スタッフが足を運んで集めた店舗情報、当日飛び込みでの入店が難しい人気店を30分だけ楽しめるサービス、約40の飲食店が集まる施設を案内するツアーを実施する。

ホテルについて説明するOMO5 東京五反田 by 星野リゾート 総支配人 沖拓人
ホテル周辺の店舗情報を提供する「ご近所マップ」
はしご酒を楽しむ「五反田ヒルズツアー」

ペット同伴が可能な部屋を備えている点も特徴。14階に設置された空中庭園は、公園で過ごすかのような時間を楽しむためのエリアとして展開するほか、ドッグガーデンとしての側面もあるという。

空中庭園
空中庭園と同じフロアのラウンジ利用もペット同伴可能

14階ではそのほか、東京の街を望めるオールデイカフェ「OMOカフェ&バル」を展開。五反田を楽しむための夜限定メニューとして、創業70年を超える五反田の鶏肉専門店「信濃屋」のから揚げと焼き鳥をアレンジした「おつまみプレート」を提供する。

OMOカフェ&バル
おつまみプレート

客室数は188室。内覧会では定員4名のデラックスルームと6名のOMOハウススイートが公開された。料金はともに65,000円~。デラックスルームは34室、OMOハウススイートは5室。

デラックスルーム
OMOハウススイート

シェアオフィスにサウナを設置

2階のシェアオフィス「co-lab五反田 with JPRE」は、春蒔プロジェクトが運営。コワーキングスペース、ブース、大小の15の個室からなり、フリーランスやスタートアップ、プロジェクト単位での利用などニーズに応えたスペースを提供する。シェアオフィス利用者のほか、在館のオフィスワーカーも利用できる会議室を設けている。

co-lab五反田 with JPRE

サウナを設置していることも特徴で、ロウリュウも可能な設備を整えている。

サウナを設置

施設内のデザインは、五反田エリアの工場街のインダストリー感、繁華街の猥雑感、住宅街の高級感が混在したカオスな雰囲気を空間イメージとしている。

インダストリー感などをイメージしたデザイン。外国人からは反物のように見えるとして、和のイメージとしての評価も高いという

オフィスはワンフロアは整形無柱空間で、広いフロアとしても、分割して小さなオフィスとしても貸し出しができる。基準階フロアは約960坪。

オフィスラウンジ・ロビー
オフィスフロア
12階のオフィスフロアからの眺望

3階と4階のホール・ギャラリー「CITY HALL & GALLERY GOTANDA」は品川区が運営。ホールは講演会、シンポジウム、展示会、新商品発表会、パーティーから、展覧会、博覧会、エンターテインメントなど、多目的に利用できる。

ホール
ホールホワイエ

ギャラリーには地域に密着した部屋を用意し、会議、集会、宴会などに対応する。ホールとギャラリーは隣接して配置しており、一体利用も可能となっている。

ギャラリー
ホール(右)とギャラリー(左)は隣接している

ITベンチャーが集積する「五反田バレー」

日本郵政不動産 開発事業本部 開発第二部 部長 三宅正博氏は五反田JPビルディングについて、都内の主要駅や羽田空港へのアクセスも良く、陸路、空路ともに利便性がある場所であると説明。周辺の産業については製造業が活発であるとともに、職住近接しやすい上に賃料は周辺の主要エリアに比べて安価であることからITベンチャーやスタートアップが集まる街にもなっている。2018年には「五反田バレー」を設立した。

三宅正博氏

開発にあたっては、旧ゆうぽうとの地下躯体を構造体として活用し、建物解体に伴う廃棄物を削減。建物全体を新築した場合に比べて15%のCO2削減を抑制していることを強調した。

説明会では星野リゾート 代表 星野佳路氏も登壇。五反田JPビルディングの目的の1つとして、五反田に賑わいをつくるというものがあり、「五反田の賑わいの中に溶け込むホテルになる」と述べた。

また、ペット同伴を可能としていることについては、現在ペットと一緒に旅行する市場が伸びていることから、OMO5 東京五反田では全体の10%ほどをペットとともに泊まれる客室としたことを説明した。

ホテルは国内利用者、インバウンドともにターゲットとしており、「五反田の賑わいを、国内そして海外の方々に情報発信していけるような運営を目指していきたい」とした。

星野佳路氏
日本郵政不動産 代表取締役社長 山代裕彦氏と星野佳路氏

開業記念式典として、日本郵政 取締役兼代表執行役社長 増田寬也氏、品川区長 森澤恭子氏が祝辞を述べた後、鏡開きセレモニーが執り行なわれた。

増田寬也氏
森澤恭子氏
鏡開きセレモニー