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自動倉庫で「トラック荷待ち時間」削減 パナソニックとラピュタロボティクス

パナソニック コネクトとラピュタロボティクスは、物流倉庫内の効率化を目的とした業務提携を開始した。

パナソニックは、物流業界の真の課題とする「トラックの荷待ち時間」を大幅に削減するオープンプラットフォーム「タスク最適化エンジン(仮称)」を開発し、プラットフォームで利用可能なロボティクス技術を持つ企業との提携拡大を目指している。ラピュタロボティクスはその1社目のパートナーとなる。

今回の提携により、パナソニックのタスク最適化エンジン(仮称)とロボット制御プラットフォーム(後述)、ラピュタロボティクスの自動倉庫「ラピュタ ASRS」を連携させることで、物流現場におけるピッキング作業の効率化を実現する。

1秒の遅れが3時間に

物流倉庫では、後でトラックに載せるものが先に出てきてしまうなどの順序不同が起こりやすく、荷待ち時間の発生や現場を混乱させる原因となっている。朝10時に荷物を運ぶために空荷のトラックが到着しても、荷物の搭載に3時間かかり、出発は13時頃になってしまう、ということが発生する。

必要な荷物がスムーズに揃わないことから起こる遅延で、たとえば必要な荷物を選定して纏めるピッキング作業では、倉庫から商品を取り出し出庫するまでの工程で1商品あたり5秒かかる想定としても、さまざまな種類の商品を扱う現場では、必ずしも毎回5秒で出庫ができるとは限らない。そのため出庫の時間が正確に予測できず、完全な計画を立てるのは難しい。1秒のズレが1万回繰り返されることで、結果として約3時間のズレに繋がってしまう。

タスク最適化エンジンは、タスクのシフト計画やピッキング手順の最適な割り当てを行ない、出荷(トラックに載せる)される順番に「ラピュタ ASRS」から出荷が行なわれるようデータ連携を行なう。人やロボットハンドはこれに合わせて作業を行なうため、トラックの出発時間に合わせて出荷が行なえる。これによりトラックの荷待ち時間を減らすことで、物流の2024問題の解消につなげる。

人間は歩かずに作業効率化

従来の倉庫業務では、歩行時間の割合が77%以上で、人が荷物を扱うことから棚の高さにも限界があり、空間的なロスは70%以上だという。自動倉庫「ラピュタ ASRS」では、複数のロボットを協調制御し、必要なものを順番に人間がいるピッキングステーションに運んでくる。人間は一切歩くことなく、作業時間を大幅に短縮可能。多階層化も容易でロボットは専用のエレベーターを使って階層間を移動できる。

ロボットが荷物を運んでくるので人は歩かずにピッキングができる
ロボットはエレベーターを使って多層構築されたフロアを移動して荷物を集めてくる
専用のエレベーター

ロボットは台車のような形状で、荷物が入ったケースの下に移動し、ケースを持ち上げて運んでくる。特殊な「ナカナムホイール」を採用し、旋回することなくその場で前後左右自由に移動できるため、スペースをとらない。

バッテリーの充電は、満充電のバッテリーと交換する方式で、充電によるロスタイムも削減。バッテリー交換は専用の交換ステーションで自動的に行なう。交換に必要な時間は約60秒。

バッテリー自動交換ステーション

ロボットが走り回る倉庫の構造もシンプルで、3つの部材を組み合わせて立体的に構築可能。部材はガラス繊維で作られ軽量で、組立にネジなどは使わず、柱と床、脚部を組みあわせるだけで構築できる。専用のエレベーターを組み込み可能で、ロボットはエレベーターを使って階層を移動する。構築後のロボットの追加や倉庫の拡張、レイアウト変更も容易に行なえる。

ネジを使わず構築できる

AI技術を組み込んだロボット制御

タスク最適化エンジンとともに組み合わせて使う「ロボット制御プラットフォーム」は、ロボットハンドやロボットアームなどのロボット制御技術、センシング技術、AI技術を組み合わせて一元制御を行なうもの。複数のハードウェアを組み合わせた形でのロボット導入を容易にする。

現場作業者は、ロボットハンドやロボットアーム、カメラなどをタブレット上で選択するだけでピッキング作業の設定変更が可能。ロボットを追加したり、レイアウト変更を行なう場合も従来に比べて簡単に行なえ、保守・運用の負担を大きく軽減する。

ロボットの追加なども簡単に行なえる

商品を吸着して移動させる吸着技術と、グリッパーで把持した商品の位置や姿勢を変更できるインハンドマニピュレーション技術の2つのロボットハンド制御技術も開発。多様な形状の商品を個別にピッキングできる。コンビニなどの多様な商品群を対象とし、2つの技術により約8割の商品をロボットが担当できると見込んでいる。

開発したロボットハンドを搭載したロボットアーム
吸盤タイプのロボットハンド。1つのハンドに大小2つの吸盤があり、大きな荷物や袋状のものは大の吸盤で、小さな荷物は小の吸盤で吸い上げる
グリッパータイプのハンド。さまざまな大きさに対応できるほか、すきまなく積載された荷物でも持ち上げやすい

センシング技術も新たに開発。従来のセンシングの方式では、商品ごとに学習データを収集し、それを元にピッキング位置を学習させる必要があった。今回開発した学習レス方式では、ピッキング特性が類似する商品形状をカテゴライズすることで、ピッキング対象の3D形状からルールベースでピッキング位置を推定可能になり、学習が不要。これにより、新商品が追加された際に迅速かつ正確にピッキング位置を推定でき、学習方式では膨大な時間を要していた学習データ収集、学習時間を大幅に削減する。

今後、パナソニックとラピュタロボティクスは、両社の事業拡大を目指しプロジェクトを展開。ラピュタロボティクスのもつ複数のロボットに対する群制御技術と、パナソニックのインダストリアルエンジニアリングの知見、ロボティクス関連技術を組み合わせ、人とロボットが協調して動作するソリューションを実現するために必要な技術開発に共同で取り組んでいく方針。