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SLIM目覚める マイナス170度の夜に耐え再び撮影に成功

SLIMが新たに撮影した月面の画像

JAXAは、1月31日頃から月面で機能を停止していた小型月着陸実証機「SLIM」が、再び太陽光発電を開始して再起動し、画像データの送信に成功したことを明らかにした。極寒の月面という厳しい環境で、SLIMが再び機能するか注目されていたが、無事に再起動したことが確認された。

SLIMは、1月20日に月面へ軟着陸に成功。着陸姿勢が想定と異なったことから着陸当初は太陽光発電ができず、搭載されたバッテリーにより短時間の運用を行なった後、太陽光発電ができる可能性がある月の夕方まで機能を停止した。月の夕方となる1月28日頃からは再び太陽光発電が可能になり、1月28日~1月31日まで観測を行ない、そのデータを地球に送信することに成功した。

その後、1月31日頃に現地が月の夜に入ったため、太陽光発電を停止し、冬眠状態となった。月面の夜の気温は-170度という極寒環境で、JAXAによると、SLIMはそうした状況に耐えられる設計がされていない。搭載している部品が縮んで「はんだ」にヒビが入るなどの原因で故障する可能性があり、再び稼働を開始できるかどうかが注目されていた。

極寒の夜を耐え再起動

JAXAでは2月中旬以降、再び太陽電池に日が当たる時期に再運用を目指すことにしていたが、2月25日の夜、SLIMに送信したコマンドに応答があったことを確認。しかし、極寒の月面の夜に対して、月面の昼の温度は100度以上。SLIM本体の温度も100度以上と高温だったことからいったん通信を終了。その後、再度コマンドを送信し、航法カメラでの撮影に成功した。

26日時点では、新たなデータ取得のため、前回は撮影できなかったエリアをマルチバンド分光カメラ(MBC)によって撮影するコマンドを送信する準備を行なっている状態という。