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メルカリ、「ビットコインで購入」に対応 世界有数の“使える”場所に

メルカリは、フリマアプリ「メルカリ」での商品購入がビットコインで決済できるサービスを2月15日から開始した。段階的にユーザーに展開し、ビットコインを使ってメルカリ上のあらゆる商品を購入できるようになる。

メルカリでは、2023年3月からメルカリアプリ内でビットコインの売買サービスを開始し、暗号資産取引口座数は、サービス開始7カ月で100万を超えた。従来はアプリ内でビットコインの売買ができるのみだったが、今回、メルカリの商品の決済にもビットコインが利用可能となった。

メルカリの売上金やポイントとともに、ビットコインでの支払いに対応。売上金やポイントとビットコインを併用した支払いも行なえ、「ポイントのように取引で使える」という。

利用には、メルカリのビットコイン取引サービスでビットコンを保有する必要がある。18歳未満や75歳以上は利用できない。また、従来は20歳以上がビットコイン取引の対象だったが、18歳、19歳も対象となった。

今回のビットコイン決済対応により、メルカリでビットコインを「持つ」から「使う」が可能となり、活用の幅を広げていく。将来的にはデジタルアセットやアルトコインへの対応も見込んでいるという。

世界有数のビットコインが使われる場所に

メルコインが運営するメルカリのビットコイン取引サービスは、開始から7カ月でユーザー数が100万人を突破。同期間の日本における暗号資産の新規口座開設の約7割がメルコインとなった。その中でも8割が初めて暗号資産口座を持つ人で、ビットコインや暗号資産に触れる人を増やしている。

メルカリにおけるビットコイン利用者は、売上金を使ってビットコインを購入する人が49%と多く、普段の財布とは“別のお金”(メルカリの売上)でビットコインを買いやすい点が特徴。また、ビットコインを売却した後でメルカリで買い物した人も48%で、おもちゃ・ホビーが25%と多いが、「普段のメルカリの購買行動と変わらない。メルカリの普段の体験の中にビットコインが浸透している(メルコインの中村奎太CEO)」とする。

メルコイン 中村奎太CEO

ビットコイン保有により値動きを楽しむ人も居るが、保有者のニーズとしては83%が「支払いに使いたい」と回答。「持つことをイメージできない」という人にも、ビットコイン決済により「ビットコインを売却せずに買い物」できるという、明確な利用手段を見せることでユーザー拡大を狙う。

ビットコインでの支払いは、メルカリの商品購入画面から、残高やポイント支払いと並列で、ビットコインが用意され、ポイント支払いのような体験を目指したという。

海外ではスターバックスやUber Eatsなどの一般的なサービスで、決済手段の一つとして選択される暗号資産だが、日本での事例は、ビックカメラのビットコイン決済など少数の例に限られている。

今回、メルカリの決済で「使える」ようになったことで、ビットコインへの理解を深め、より身近なものにしていく。

メルコイン中村CEOは、メルカリの累計30億を超える商品が、暗号資産決済の対象となることで、「暗号資産を活用した価値交換の拡大の大きな一歩」と言及。「売上金や残高、ポイントなど変動しないアセットによる決済に加え、常に価格が変動する“動くお金”が加わることで、新しい値動きにあわせたような購入体験が生まれるのではないか」と説明する。一方、メルカリでの購入体験としてはこれまでと「ほぼ同じ」とし、シームレスに使いやすくした。

世界の暗号資産決済市場は、'23年で1.3兆円規模。今年はBTC現物ETFの承認やBTCの半減期などもあり、決済についても拡大していくと見込まれる。現在、暗号資産決済のBitpayの開示情報では、決済回数は月間6万回で、ビットコイン決済は月1.9万回規模。1秒間には0.007回。メルカリはGMV(総流通額)が年1兆円で、1秒で7.9回の決済が行なわれている。この規模のサービスが暗号資産に対応することで、メルカリは世界的にも暗号資産活用の大きな事例になる。

メルカリでのビットコイン活用が進むことで、ユーザーが暗号資産に慣れ、店舗での活用例も生まれていくと見込む。「まずはメルカリの中で使って、ビットコインは“使える”と知ってもらうと、“コンビニで使いたい”とかメルカリの外で使いたいという声も出てくると思う。メルカリ外での利用も今後チャレンジしていきたい」という。

今後は、デジタルアセットやアルトコイン対応も予定。ビジネスモデルとしては、メルカリの購入体験でウォレットにキャッシュが入ってくることになるため、「GMVに寄与する可能性が高い」とし、メルカリの取引拡大での貢献を見込む。

なお、現状メルカリで購入したビットコインは、メルカリサービス上のみの利用となるが、将来的には外部サービスとの連携を想定し、ブロックチェーン上のオンチェーン取引対応も検討していく。デジタルアセットへの展開や、グローバル展開などのタイミングで、オンチェーン対応が必要になってくるという。

ビットコイン決済での利用者目標などは公開していないが、目標としては「ビットコインが世界で最も使われる場所を目指ざしたい。そのポテンシャルとあると思っている」(中村CEO)とした。