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走行中のEVにワイヤレス給電を公道で実証 10秒で1km分

東京大学やブリヂストンなどからなる共同研究グループは、日本初となる公道を走行中のEVに給電する実証実験を、柏の葉スマートシティ内で開始する。期間は2023年10月~2024年3月。

実証実験は、国土交通省が公募する「道路に関する新たな取り組みの現地実証実験(社会実験)」として採択されたもの。柏の葉キャンパス駅西口至近の市道で、公道上における電気自動車への走行中給電技術の実証および社会的受容性の確認を実施する。

実証実験では、東京大学大学院新領域創成科学研究科の藤本博志教授、清水修准教授らの研究グループが、2017年から研究開発を行なってきた走行中給電システムを導入。公道で行なう実証実験のため、走行中給電システムを搭載した上で、ナンバー取得をした車両での実験を行なう。使用する送電コイルは東大グループが設計を行ない、10秒充電することで一般的な電気自動車が1km走行可能となる仕様。

今回、電力を適切にコントロールし、EVにもPHEVにも対応できるシステムを開発。また、給電を行なうため送電コイルに常に通電をすると、送電コイルの上に車両がない時には無駄なエネルギーを消費してしまう。この課題を解決するため、待機電力は極力小さくしながら車両検知を短時間で行なう新しい車両検知システムを開発。このシステムを公道で検証することで、その標準化に貢献する。

路面に設置するには必要な強度を備えながら送電が可能なコイルが必要になるが、コイルと路面を一体化した「プレキャストコイル」を開発し、その耐久性の検証も行なう。

実証実験に参加するのは、東京大学大学院新領域創成科学研究科の藤本・清水研究室、ブリヂストン、日本精工、ローム、東洋電機製造、小野測器、デンソー、三井不動産、SWCC、カーメイト、千葉大学宮城研究室の共同研究グループ。2018年から走行中給電システムの研究を実施していた。また、実証実験は、東京大学、柏市、その他関係機関と「柏 ITS 推進協議会」の枠組みによる「電気自動車への走行中給電技術開発の取り組み」で実施される。

今後は実証実験の結果を反映しながら、さらに発展させた走行中給電システムの開発を推進し、早期の実現を目指す。