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カインズ、8つの新ブランド設立 商品開発プロセスを変える

カインズは、新たなプロダクトブランドを佐藤オオキ氏率いるデザインオフィスnendoとの協業により開発。商品開発体制を刷新し、8つのコンセプトを元にブランド展開する。新たなプロダクトブランドの商品は、順次発売予定。

カインズはホームセンター業態で1978年に創業し、2007年にオリジナル商品の開発へと舵を切った。2007年度から2022年度までの間に、オリジナル商品の売上高は約2.3倍に伸長したという。

一方で、ライフスタイルの多様化、物価高など、くらしを取り巻く環境やニーズは変化している。こうした変化に対応し、これからの10年も消費者ニーズに応えていくことを見据え、商品開発体制を刷新した。

これまでカインズの商品開発体制は、個人による企画立案に始まり、タテの意思決定プロセスにより進められており、カテゴリーごとの個別の開発だった。この体制は、開発、改良のスピード感や、市場ニーズへ迅速に対応できるなどのメリットがあったが、知見や技術が蓄積されにくい、商品単発に限定される、横断的な情報共有や開発が希薄、個人の能力に依存というデメリットもあった。

新たな体制では、ブランドコンセプトによりカインズの提供価値を再定義し、商品カテゴリーではなく生活シーンから課題を抽出。横断型チームで商品開発を行なう。ただし、従来の個人による立案を行なわなくなるわけではない。

プロダクトブランドは、「CAINZ」「CAINZ Style」「CAINZ FIT」「CAINZ MAKE」「CAINZ IZM」「CAINZ PRO」「CAINZ PET」「CAINZ CYCLE」の8つ。それぞれのブランドコンセプトは下記の通り。

  • CAINZ:くらしを「支える」
  • CAINZ Style:日々のくらしを「楽に」
  • CAINZ FIT:日々のくらしを「すこやかに」
  • CAINZ MAKE:くらしを自分らしく「クリエイティブに」
  • CAINZ IZM:いつものくらしに「プロの視点を」
  • CAINZ PRO:職人さんの一日を「よりよいものに」
  • CAINZ PET:“うちの子”とのくらしを「心地よく」
  • CAINZ CYCLE:自転車をくらしの「パートナーに」
CAINZ
CAINZ Style
CAINZ FIT
CAINZ MAKE
CAINZ IZM
CAINZ PRO
CAINZ PET
CAINZ CYCLE

カインズ 代表取締役社長 CEO 高家正行氏は、ブランドコンセプトをフライパンの例で説明。これまでCAINZとしては、「安全、安心」「誰でもコーディネートできる」「満足いただける価格」の3つを備えた商品として、安くて機能的なフライパンを提供してきた。これからは、「楽に」のテーマでは焦げ付きにくく楽に洗える、「すこやかに」では余分な脂をカットする、「プロの視点を」ではシェフおすすめの鉄フライパンなど、フライパンを通してだけでも多様な価値を提供できると述べた。

新宿店ではすでに、従来の店舗と異なる、8つのコンセプトをベースにした売り場作りを開始している。従来はフライパンはフライパンの売り場のみにあったが、新宿店ではコンセプトに応じて展開するという実験を行なっている。また、プロダクトブランドの第1弾として、CAINZ Styleを'24年4月にリリースする予定。

発表会では、高家氏、カインズ 代表取締役会長 土屋裕雅氏、デザインオフィスnendo代表/チーフデザイナー 佐藤オオキ氏によるトークセッションを実施。商品開発体制刷新の狙いなどについて紹介した。

左から、高家正行氏、土屋裕雅氏、佐藤オオキ氏

土屋氏は、協業に至ったきっかけとして、土屋氏が佐藤オオキ氏のファンであったことを挙げる。これに対して佐藤オオキ氏は「ファンと言われると恥ずかしい」としつつ、オファーを受けてカインズを視察した印象について、「目的買いでは見つけやすく、買いやすい。一方で衝動買いやついで買いのような、面的な買物体験を実現していけば力が増すと感じられた」と話した。

また、佐藤オオキ氏は土屋氏との話し合いの内容を紹介。コーヒー1つとっても、コンビニでワンボタンで自由に飲める手軽なものがあり、一方で週末に豆をひいてドリップするという楽しみ方もある。どちらを取るのかを土屋氏に聞いたところ「どっちもお願いしたいし、その間もある」と答えたという。「喫茶店でくつろいだりも含めて、コーヒーというキーワード1つにいろいろな価値があり、それら全部を受け止めるようなスタンス」という協業の方向性を説明した。

土屋氏は「1人の人間であっても、忙しい時もゆっくりの時もある。そこに全部応えていくことをどう実現していくのか。商品だけではなく、お店づくり、人づくり、組織づくりから強くして、進化させていくことを目指す」とし、「日本のホームセンターでは様々な商品を取り扱っているという特徴を生かすべく、いろいろな部分をDIYとしてとらえて、能動的に動いてくらしを変えられるという状況を作りたい。商品に加えてサービスなど、商品に止まらない価値やビジネスそのものを作っていく」と述べた。