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新しい街「HARUMI FLAG」最後の大物、「SKY DUO」は6月下旬販売開始

HARUMI FLAG

東京都の晴海で進行中の再開発事業「HARUMI FLAG」において、今後分譲販売予定のタワーマンション「HARUMI FLAG SKY DUO」の物件概要が公開された。

SKY DUOは2023年4月下旬にモデルルームが公開され、第1期の販売は6月下旬から。竣工は2025年秋を予定している。販売価格帯などは未定。

HARUMI FLAGとは

HARUMI FLAGの概要

HARUMI FLAGは東京2020オリンピック・パラリンピック選手村跡地で実施されている市街地再開発事業。場所は東京都中央区晴海5丁目、東京湾に突き出る埋め立て地の突端、約18haのエリアに集合住宅や商業施設が整備される。全体で分譲住宅4,145戸、賃貸住宅1,487戸が供給され、約1.2万人が居住する新しい街を作り出す。

HARUMI FLAGの分譲住宅としては、14〜18階建で横長な板状棟がすでに販売済み。立地などから話題となり、高い抽選倍率で販売された。

先行して販売されたHARUMI FLAGの板状棟は、オリンピック・パラリンピック選手村の施設として利用されていて、建物としては完成しているが、現在は周辺環境をふくめ整備が進められている。実際にHARUMI FLAGに入居が始めるのは2024年1月下旬ごろからで、2024年4月以降に商業施設などを含めた第1次街びらきとなる予定。

販売スケジュール

分譲の売主は三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、野村不動産、住友不動産、住友商事、東急不動産、東京建物、NTT都市開発、日鉄興和不動産、大和ハウス工業、三井不動産の10社。

HARUMI FLAG SKY DUOの概要

SKY DUO建設予定地近辺の現況。晴海5丁目全体が工事中なため、道の多くもまだ通れない

今回販売されるのは、HARUMI FLAGでは後発で開発されるタワー棟の「HARUMI FLAG SKY DUO」。選手村として使われていない新規の建物となり、建設もこれからとなっている。50階建、高さ約180mの2棟1対のタワーマンションで、HARUMI FLAGではSKY DUOだけがタワーマンション形状だ。

HARUMI FLAGの全体配置図。赤く塗られているところがSKY DUO。なおこの地図、上が北西、下が南東

この2棟のタワーマンションはHARUMI FLAGの中央にある交差点に、通りを挟んで向かい合わせに建設される。現状では北西側は「SUN VILLAGE第二工区」、南東側は「PARK VILLAGE第二工区」と呼称されている。

南西海側からのイメージ。中央の2棟がSKY DUO。中央の通りが広いため、2棟1対ではあるが、けっこう距離がある

2棟の外見は対象になっていて、中央の道の軸線上、南西あるいは北東から見ると、SKY DUOとおよび周囲の中層棟がシンメトリーに街区を構成しているように見える。

この2棟は外見デザインはほぼ同じだが、中の住戸の構成や共有部のデザインや機能は異なっていて、設計や施工も別会社が担当する。SUN VILLAGE側の設計は三菱地所設計と前田建設工業、施工は前田建設工業。PARK VILLAGE側の設計は日建ハウジングシステムと三井住友建設、施工は三井住友建設。

総戸数1455、3LDK中心の構成

分譲される間取りの構成
分譲される広さの構成

戸数はSUN VILLAGE側が733戸、ARK VILLAGE側が722戸で合計1,455戸。それぞれ1LDK~3LDKまでが用意され、数量は3LDKがもっとも多いが、HARUMI FLAG内の板状棟に用意された4LDKはSKY DUOにはなく、やや狭い住戸が中心となる。SKY DUOの各戸の専有面積は47.74m2~161.12m2で、最も多いのは70m2台。

天井高はやや高め

全体的に広々とした作りが特長となっていて、廊下の有効幅は約1mが確保され、リビングダイニングの天井高は約2.6mとなっている。窓の上に梁が通る構造だが、それでも窓サッシの高さは約2.1mとなっている。

スケルトンインフィル構造

各住戸内には柱や構造壁がなく、リフォーム時に間仕切り壁を取り払えるスケルトンインフィル構造となっている。パイプスペースや柱も住戸外となるように配置され、将来的な間取り変更に対応しやすく、修繕時のメンテナンス性も高い。こうした工夫から、長期優良住宅の認定を取得している。

間取りの例。広角に眺望を得られる贅沢な角部屋だ

記者説明会で示された角部屋の間取りでは、建物の角に柱がない構造となっていて、角には大きなFIX窓を直交させ、リビングダイニングからは広い眺望が得られるような作りになっていた。柱はバルコニー側に出ている構造だが、建物外周部がほぼバルコニーになっていて、その奥行きも広めとなっている。

エネファームがあるので、ガスと電気、安い方を使える。蓄電池により災害時も電気が使える

タワーマンションとしては珍しく、全戸に蓄電池とエネファームを標準装備とする。エネファームは都市ガスから水素を取り出し、給湯と発電を行なう機器だ。こうした設備により、SKY DUOは低炭素建築物認定を取得している。

地震対策としては、建物と地盤を接続しない免震構造と発生した建物の揺れをコントロールする制震構造の両方を備えたハイブリッド構造を採用している。

共有施設としては48階に共有ラウンジなど

SKY DUOでは48階に展望台にもなるラウンジを設けている。

HARUMI FLAGの空撮イメージ。南西にレインボーブリッジ、西南西に富士山が見える
48階ラウンジのイメージ

北西側のSUN VILLAGEのスカイラウンジは「シティビュー」をコンセプトとし、一方の南東側のPARK VILLAGEのスカイラウンジは「オーシャンビュー」をコンセプトにしている。それぞれ、全街区の居住者が利用できるラウンジと同棟に居住する人だけが利用できるラウンジが用意される。また、48階にはゲスト宿泊などに使えるスイートも用意される。

HARUMI FLAGの共有施設には子ども向けのものなどもある

このほかにも2階にはキッチンもあるパーティールーム、読書や学習向けの施設などが用意される。SKY DUO以外のHARUMI FLAGの各棟には同棟居住者専用の共有施設もあるが、全棟の居住者が利用できる共有施設もあり、SKY DUO居住者が板状棟の共有施設を利用することもできる。クラフトルームやスポーツバーなどの施設もある。

2階には共用のパーティールームなどもあるが、大部分は自転車置き場とタワーパーキングで住戸はない

SKY DUOの建物は上から見ると正方形に近い長方形で、外周部に住戸があり、中央部にはエレベータと吹き抜け・空洞がある構造だが、低層では中央の空洞部分にタワーパーキングが配置されている。モビリティ関連では、HARUMI FLAGの各街区にはシェアカーやシェアサイクルも配置される。

HARUMI FLAGのある晴海5丁目とは

HARUMI FLAGの所在位置

晴海5丁目は現状、ゴミ処理センターの中央清掃工場と埠頭ぐらいしかない埋め立て地で、その大半の区画でHARUMI FLAGの再開発事業が進められている。東京駅や銀座への距離は近いが、周囲を運河と海に囲まれ、鉄道交通の空白地帯でもあるため、公共交通の利便性はそこまで高くない。

晴海5丁目を北東から見ると、現状では中央清掃工場の巨大な煙突棟が目立つ

HARUMI FLAG周辺、晴海や勝どきなどは、タワーマンションなど高層建築物が比較的多い。とくに同じ晴海5丁目にある中央清掃工場は、SKY DUOとほぼ同等の高さの巨大な煙突棟がある。しかし高層建築物があるのは北から北東の方向だけで、それ以外の方角は高層の建築物が近くにはなく、とくに西から南にかけては海や運河が広がるので、遠くまで良好な眺望が得られる。

現在晴海地区で運行している東京BRT。一部の連節タイプの車両も運用されている

公共交通機関としてはバスがメインとなる。とくに連節バスを使っている東京BRTが近隣を運行しており、将来的にはHARUMI FLAG内にもBRT停留所やバスターミナルが整備される予定だ。

バスだと晴海5丁目から銀座まで13分程度、東京駅まで17分程度で行くことができる。しかし銀座まで3km程度であり、自転車でも20分程度で行くことができる。

HARUMI FLAGの模型。北側にバスステーションが作られる

ちなみに東京都は新しい地下鉄路線として、「都心・臨海地下鉄新線構想」を2040年ごろの完成を目指して検討中で、これが実現すればHARUMI FLAGの最寄りに晴海駅が作られる見込みだ。

HARUMI FLAGの南東部のSEA VILLAGE。広めの運河に面していて眺望が良い

HARUMI FLAG内にも緑地が整備されるが、周辺には晴海ふ頭公園や晴海緑道公園も整備されている。晴海自体は近年建設された大型建築物だけが立ち並ぶ近未来的な街並みだが、下町的な街並みもある月島にも近い。

周辺の道路は広く、その一方でHARUMI FLAGに用事のある車両しか走らないため交通量が多くなりづらい。また、環状第2号線や首都高10号晴海線などが近く、車にとっては交通の便がそれなりに良いエリアでもある。HARUMI FLAGの各街区には数百台規模の駐車場が用意され、SKY DUOのタワーパーキングは全台数がEVに対応するという。

ENEOSの水素ステーション。現在はHARUMI FLAGの隣の区画にあるが、同じ晴海5丁目に移動予定(といってもはす向かいに移設されるだけ)

また、同エリアにはENEOSの水素ステーションがあり、水素燃料電池の一般車両やバスに水素を供給できるほか、街区内の地下に水素パイプラインを整備し、HARUMI FLAG内の各建物にある燃料電池にも水素を供給する。

HARUMI FLAG(右側中央)周辺の空撮イメージ

水素エネルギーはHARUMI FLAG分譲街区全体で約90kWの能力を持つという。一方で太陽光発電は約470kWある。このほかに地中熱エネルギーを換気に使ったり、公共施設では隣接する清掃工場の廃熱利用も検討していたり、各戸に蓄電池とエネファームを配置するなど、HARUMI FLAGでは街全体としてさまざまなエネルギーの利用に対応し、環境や災害に配慮しているのも特長となっている。