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ホンダ、地図に頼らない自動運転を2030年に 「乗り捨て」も

本田技術研究所は、高精細地図を使わずカメラからの画像情報だけで目的地への移動を可能にする「Honda CIマイクロモビリティ」技術を公開した。人と分かり合える独自の協調人工知能「Honda CI(Cooperative Intelligence)」を活用して開発されたもの。

コアとなる技術は、高精度地図に頼らず環境を認識しながらの自動走行を可能とする「地図レス協調運転技術」、人間のように対話やジェスチャーでコミュニケーションが可能な「意図理解・コミュニケーション技術」の2つ。これらを活用した「搭乗型マイクロモビリティ:CiKoMa(サイコマ)」「マイクロモビリティロボット:WaPOCHI(ワポチ)」を使って技術実証実験を行なう。

数種類のタイプが用意された「CiKoMa」
人を追従して荷物を運ぶ「WaPOCHI」

技術実証実験は、茨城県常総市内の「水海道あすなろの里」(11月より)及び「アグリサイエンスバレー」(2023年春より)で順次開始する。

地図レス協調運転技術は、「リアルタイム道路構造理解機能」「空間認識・走行マップ高速変換機能」「人・環境協調 行動計画機能」の3つの機能で構成される。

リアルタイム道路構造理解機能は、カメラからの画像情報だけ(=高精度地図レス)で交差点やカーブなどの環境、歩行者や車両などの他者を認識し、リアルタイムで走行可能領域を素早く理解・決定する世界初の機能。

リアルタイム道路構造理解機能を搭載した車両

空間認識・走行マップ高速変換機能は、車道のように区画線や縁石などがないオープンスペースにおいて、障害物の距離や物体構造を瞬時に立体化し、人間の目と同じように走行可能な領域を素早く認識しマップとして生成する機能

人・環境協調 行動計画機能は、さまざまな走行環境を考慮したリアルタイムのルート最適化アルゴリズムを用い、目的地まで熟練ドライバーのように安心・スムーズに移動できるルートを決める機能。

意図理解・コミュニケーション技術は、人間のように言葉や身振りを理解し、モビリティが自分で考え提案できるコミュニケーション技術。「意図のキャッチボール機能」「対話によるユーザー特定機能」「ユーザーとの交渉・提案機能」の3つの機能で構成される。いずれも世界初の機能。

意図のキャッチボール機能は、ユーザーとモビリティが互いに見えているものを言葉で伝え合い、人間同士のように自然なやり取りで、移動する位置を理解し合える機能。

対話によるユーザー特定機能は、複数のユーザー候補から特徴的な違いを判断し、人間のように対話でユーザーを特定できる機能。

ユーザーとの交渉・提案機能は、人間の経験を「事前知識」として登録することで、ルール・マナー・危険度などのネガティブ要素を避けるように交渉、提案するなど、人間のように周囲の状態を考慮して提案できる機能。

Honda CIマイクロモビリティ

「搭乗型マイクロモビリティ:CiKoMa」は、1人~数人までの乗員数を想定した、電動マイクロモビリティ。ユーザーは言葉で呼び寄せることができ、無人自動走行で移動してきたCiKoMaに好きな位置を言葉やジェスチャーで指定して乗ることができる。

走行中は「ジョイスティック」の操作で進路を指示することで、ドライバーの自由に進路を選ぶ意図と自動走行技術による協調運転が可能。必要な時に呼んで乗車し、任意の場所で乗り捨てる利用を想定し、自由に走らせることができるため、ビジネスや観光、街なかの移動など、気軽な移動手段となることを目指している。

ジョイスティックで操作可能

「マイクロモビリティロボット:WaPOCHI」は、ユーザーの特徴を記憶・認識し、人混みの中でもユーザーに追従し続ける電動マイクロモビリティロボット。手のひら静脈認証で特定したユーザーの服や髪の毛の色、背格好などの特徴を画像で認識して記憶。ユーザーの斜め後ろを、荷物を載せながらペットのようについてくる。

認識は上部に設置された複数のカメラを使用して360度を立体的に捉え、AIでユーザーの特徴を抽出しトラッキングする。追従中に他の歩行者の陰などに隠れてユーザーを見失っても、記憶した特徴から探し出し、追従に戻ることが可能。将来的にはユーザーの前を先導し歩きやすさをサポートする機能の実現も目指す。

今後は、常総市内の技術実証実験エリアを順次拡大しながら、2030年ごろの実用化を見据えCIマイクロモビリティの技術をさらに進化させ、「移動と暮らしの進化」と「交通事故ゼロ」を両立する「Honda CIマイクロモビリティ」の実現を目指していく。