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冬の電力は確保も「無理のない節電を」 政府が電力需給見通し

政府は、2022年度冬季の電力需給見通しを発表した。6月にはマイナスだった今冬の電力予備率は、安定供給に最低限必要な3%を確保できる見通しとなったが、一部で厳しい見通しもあることから、無理のない範囲での節電を呼びかける方針。

6月に行なわれた電力需給に関する検討会合以降、追加供給力対策や3月の福島沖地震で停止していた火力発電所の復旧見通しがついたこと、原子力発電所の特重施設の設置工事完了時期の前倒し等により、マイナスだった今冬の予備率は、安定供給に最低限必要な予備率3%を確保できる見通しとなった。

ただし、1月の東北・東京エリアでは4.1%となるなど、依然として厳しい見通しで、大規模な電源脱落や想定外の気温の低下による需要増に伴う供給力不足のリスクへの対策が不可欠としている。

このため更なる供給対策として、電源募集(kW公募)により、休止電源を稼働し、供給力を確保しながら、燃料調達募集の実施により予備燃料の確保も実施。再エネ、原子力等の非化石電源も最大限活用していく。

需要対策としては、無理のない範囲での節電協力を呼びかけ、省エネ対策を強化。10月28日に決定された総合経済対策で、規制・支援一体型の政策をパッケージで実行する。

事業者向けには省エネ設備投資を補助する省エネ設備投資補助金を強化。家庭向けには新たな住宅省エネリフォーム支援を実施し、家庭で最大のエネルギー消費源である給湯器の高効率化や省エネ効果の高い断熱窓改修に経産省・環境省事業で支援を行なう。これらの改修により、家庭の電気代・ガス代は年間最大で約14万円削減可能としている。

対価支払型DRの促進(ディマンド・リスポンス)も推進。節電に協力してもらえる需要家を増やすことが目的の取り組みで、節電プログラムに登録した家庭や企業に一定額のポイント等を付与するもの。電力需要が高まる12月~3月に省エネに取り組むと、電力会社によるポイントに加え国によるポイントを上乗せする。

また、ロシアによるウクライナ侵略や、生産国の設備トラブル等で原燃料である天然ガスの安定供給が滞る事態に対応するため、業界を超えた原燃料の融通の実務等を国と関係事業者が実効的な枠組みを整備していく。