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新生「原宿クエスト」着工。25年春竣工

北西側外観イメージ

NTT都市開発は、商業施設「原宿クエスト建替え計画」について、新築工事に着手したことを発表した。竣工は2025年春を予定している。

原宿クエストの所在地は、東京都渋谷区神宮前1-13-14,13-21で、原宿駅から徒歩3分の表参道に面した場所。建替前の原宿クエストは1988年4年竣工で、2021年10月に建替えに向けて閉館していた。

NTT都市開発は表参道・竹下通りから内側に入ったエリアを「奥原宿」と表現し、新生・原宿クエストでは「表参道から奥原宿をつなぐことで、都市の奥行きをつくりだし、原宿の新たな魅力を掘り起こす」としている。

表参道側外観イメージ

新生・原宿クエストの規模は地上6階・地下1階の7フロアで、敷地面積約1,960m2、延床面積約7,800m2。物販店舗、飲食店舗、サービス店舗、事務所、自動車車庫で構成される。

表参道側にはフラッグシップストアの誘致を予定。世界有数のトレンド発信地としてエリアの価値向上に取り組む。

低層棟と高層棟で構成し、その間に表参道から奥原宿をつなぐパサージュ(敷地内通路)を計画。各店舗が街と調和する独立した路面店として、個性豊かな世界観を表現できる施設を目指す。また、回遊性向上、奥原宿周辺の自社保有物件の利活用による、新しい出会いや交流の場の創出、緑豊かな歩いて楽しい街づくりを推進する。

表参道と奥原宿をつなぎ、路面店が連なるパサージュ

高層棟の上層には、テラスやルーフトップから明治神宮、代々木公園、表参道のケヤキ並木を望める空間をつくる。

表参道・代々木公園を望む高層階テラス

そのほか、「Re: HARAJUKU CULTURE」を施設構成のコンセプトに据え、原宿カルチャーを追求する多様なテナントを誘致するとしている。

デュアリティ(二面性)をコンセプトに、フラッグシップ店舗が並ぶ表参道と、個性豊かな路面店が点在する奥原宿の境界に位置するという特性を活かした建築形態をデザインしたという。

表参道と奥原宿の個性を体現するコンセプトダイアグラム

表参道側は垂直性と透明性を意識したアイコニックな外観とし、パサージュを抜けた先には、奥原宿のスケール感に合わせた小さな店舗や広場、アートスケープを配置するなど、二面性を持ち合わせた計画としている。

ランドスケープデザインは、ランドスケープ・プラス 平賀達也氏が担当。表参道と奥原宿をつなぐエントランスからパサージュにかけては、明治神宮から連続した地層をイメージした壁面を設ける。また、施設の随所に明治神宮の杜やケヤキ並木と呼応するよう緑豊かな植栽を計画し、明治神宮の植生を反映することで原宿の地に馴染み親しまれる、サステイナブルな施設を目指す。

表参道や明治神宮からの連続性を意識した緑豊かな空間を形成

新生・原宿クエストではそのほか、原宿独特のカルチャーやライフスタイルを体現する多様な次世代アーティストとの取り組みを予定。施設のプロモーションとして、反復された文字によって画面全体を埋め尽くすというスタイルの芸術実践を続けるアーティスト・baanai氏が描いた、原宿を象徴するアート作品を展開する。

同作品では、“ARIGATOUGOZAIMASU HARAJUKU QUEST”という文字で埋め尽くしたスペースに、多様性の象徴であるレインボーカラーを塗り重ね、“QUEST”の鏡文字を描いている。

baanai氏によるアート作品

建替前の原宿クエストは、1985年に閉館したNTTグループの前身である電電公社の総裁公邸跡地に、「Quest For The New Standard」をコンセプトに建設された、ファッション、カフェ&レストランほかホールを併設した施設。原宿・表参道の玄関口に位置し、海外有力ブランドの本格進出の受け皿としての役割を担い、また時代の要請に応じてテナントの構成を変えながら運営されていた。

電電公社総裁公邸(~1985年)
原宿クエスト(1988年~2021年)