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クリエイターエコノミーの国内市場は1.3兆円 「個人」のファン化が進展

三菱UFJリサーチ&コンサルティング コンサルタントの新村高史氏

クリエイターエコノミー協会は、日本初という「クリエイターエコノミー」の調査結果を発表した。国内市場規模は1.3兆円超で、「クリエイターエコノミーは、個人が創作を楽しむだけでなく、日本経済の成長のエンジンとなる可能性を秘めている」としている。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングとクリエイターエコノミー協会による共同調査で、クリエイターアンケート(1,557名)やユーザーアンケートと、7名のクリエイターインタビュー、関連企業・団体インタビュー(カバー、CAMPFIRE、ジャパン・コンテンツ・ブロックチェーン・イニシアチブ、SHOWROOM、ピクシブ、Voice)により実施した。

この調査では、「クリエイター活動による収入」のほか、ユーザーによるコンテンツ購入など「クリエイター支援サービスへの支出」の両面から市場規模を算出。その合計が1兆3,574億円となった。中でも大きな市場がSTORESやBASEなどによる「モノ」の販売と、ココナラやSkebなどの企業にかかわる「スキルシェア」、動画・音声・テキスト・写真などの「コンテンツ」で、それぞれ2,000億円~3,000億円規模となっている。

特に「コロナ禍」とともに、コンテンツの消費量が増えたことや、副業志向が高まったこともクリエイターエコノミーの成長を後押し。また、インターネットの発展やカメラなど機器の性能向上、投げ銭やファンコミュニティなど“推し”への課金、C2Cプラットフォームの拡大、といった側面も拡大を支えているとする。

クリエイター活動の変化として、「コンテンツ」よりも、クリエイター「個人」に対する“ファン化”が進んでいるという。最近では個人がサブスクリプションを提供できるサービスやコミュニティサービスが増えていることもあり、モノやコンテンツの「対価」だけではなく、クリエイター個人活動への「サポート」としても収入を得られる状況となった。

15~69歳の男女のうち、クリエイター(プラットフォームにモノやコンテンツを提供したことがある)として活動している人の割合は10%。この数値を基に推計すると、国内のクリエイター数は約822万人となり、「すでに一定の規模を持つ」という。

収益面では、約6割のクリエイターが収入を得ており、収入ゼロのクリエイターを含めた平均収入は12.8万円/月。

専業クリエイターでは、半数近くが20万円/月以上の収入を得ており、100万円/月を超える収入を得ているクリエイターも2%。「クリエイターは高い収入を得るための職業としての選択肢となり得る」としている。

調査では、国内の潜在クリエイター数は2,200万人で、現在活動している人とあわせると、3,000万人を上回り、国内の経済成長に寄与する観点でも「大きなポテンシャルを秘めている」という。今後も同程度のペースで市場拡大した場合、「クリエイターエコノミー市場規模は2034年に10兆円を上回ると試算できる」という。

一方で課題も残されている。クリエイターの4人に1人が誹謗中傷を受けた経験があり、約7割は「何も対処していない」という。この点は、業界やプラットフォームとしての対処を強化する必要がある。また、「法律や税金等の事務処理」や「個人の企業交渉」、「トラブル対応」など、創作活動以外も含めたトータルサポートに対するニーズも見込まれるという。