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HELLO CYCLING参加の「ダイチャリ」新型車投入
2022年8月22日 20:00
シナネンモビリティPLUSは、サービス開始から5年を迎えたシェアサイクル事業「ダイチャリ」の事業説明会を開催した。記念キャンペーンや独自開発の新型車の投入を含む今後の展開も解説された。
ダイチャリは2017年8月にサービス開始し、5周年を迎える。首都圏を中心に展開しており、累計ユーザー数は74万人、累計利用回数は1,300万回以上で、国内最大級のシェアサイクルサービスとする。利用にあたっては「HELLO CYCLING」アプリのダウンロードが必要。利用料の代表例は、初回30分が130円、延長は15分毎に100円、上限は1,800円(最大12時間)。12時間以降は15分毎に100円がかかる。料金はエリアにより異なる。
HELLO CYCLING参画で存在感を強めるダイチャリ
ダイチャリの基本的なシステムは「HELLO CYCLING」を利用しており、HELLO CYCLINGに参画しているブランドであれば、車両やステーションはブランドの区別なく利用できる。エリアによらず全国どこても単一のアプリ・アカウントで利用できるほか、1アカウントで4台まで同時に借りることができ、家族などでの利用にも対応している。
返却を含めてステーションに駐輪できる台数が管理されているため、利用の多いステーションに自転車が溢れ、違法駐輪のように自転車だらけになってしまうという状況を防げる。一方で、返却しようと思ったものの目的地の最寄りのステーションは満車で返却できないというケースが起こるため、これにはステーションの地道な増加で対応していく方針。
現在の課題としては、再配置の難しさが挙げられている。利用可能エリアに境界がないため、例えば退勤時に都心で借りて、郊外の自宅まで乗ることも可能。こうした利用が集中した場合、夜間に都心から車両がほとんどなくなってしまう事態も起こるとのことで、回遊性を高める施策や、車両の再配置の効率化が課題としている。現在はほかの事業者同様に、トラックに自転車を積み込んで再配置を行なっている。
沿革と現在の規模
シナネンモビリティPLUSは、シナネンサイクルから分社・設立された会社。シナネンサイクルはシェアサイクル事業者などに向けて自転車の卸売を手掛けており、2017年には自らシェアサイクルサービスを開始。本格展開するにあたって2019年にシナネンモビリティPLUSを設立した。
現在までに首都圏の1都3県を中心に64市区町村で展開。ステーション数は2,600カ所以上、ラック数は2万個以上、電動アシスト自転車の台数は1万台以上。用地パートナー数は350以上で、これにはセブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンのコンビニ大手3社も含まれる。
これらにより累計利用回数は1,300万回、累計ユーザー数は74万人を突破。その伸びは、参入事業者が増えたことやステーションの用地確保の難しさもあり、鈍化傾向になるが、投資費用がかさんだ初期とは異なり、2022年度は通期で黒字化を見込んでいる。月間利用者数は2022年6月に過去最高となる67万回以上になっており、今年度目標は月間77万回。これらはリピーターが占める割合が多く、ユーザーの生活圏にステーションが設置されている状態を目指す。
ダイチャリは今後も1都3県+大阪
国内最大級と謳える規模にまで拡大した理由について、シナネンモビリティPLUS 代表取締役社長の三橋美和氏は「運営ノウハウを蓄えて、ユーザーが使いたい時に使える状態にした。1万台以上に増やす中でかなりデータを分析しながら展開した」と語る。実際に、今後の展開方針もダイチャリとしては「1都3県と大阪以外に進出する予定はない」(三橋氏)とキッパリ。これは「300~500m毎にステーションがある状態が、最も借りたり返したりしやすい」(三橋氏)というノウハウに基づき、人口密度が一定以上あるエリアに絞っているため。現在では「1km2あたり5ステーション」という展開方針を定めている。
このほか法人などからの要望を受けて、利用者が限定されるクローズドなサービスの展開も始めている。これはマンションの住人だけが利用できるものや、観光地など自治体やエリアを限定して利用者にシェアサイクルを提供するサービス。これはHELLO CYCLINGではなく別の会社が開発したシステムを採用し、納入する形になる。
主軸は電動アシスト自転車、新型を投入
2030年までの事業戦略も明らかにされた。一般的なシェアサイクル市場の市場規模予測に則り、事業の主軸には電動アシスト自転車を使うシェアサイクルを据える。一方、法整備・法改正を吟味しながら、具体的な数字はないものの、電動キックボードシェアや電動バイクなどについても検討していく。
今後数年は主軸になるシェアサイクルにおいて、2022年度中に新型車も投入する。これまではヤマハ製の電動アシスト自転車を採用しており、いわゆる“ママチャリ”の姿だったが、新型はシナネンサイクルと共同開発した車両で、バッテリーをフレームに内蔵して大型化。満充電の状態からの航続可能距離は、これまでの2倍にあたる約100kmになる。
サドルの高さを調節しやすいよう取手が付き、ワンタッチで操作できるレバーを備える。タイヤ径は従来と同じ26インチだが、フレームは直線主体のシンプルかつスポーティなデザインになった。ダイチャリでは、新規ステーションの設置時や、古くなった車両の交換といったタイミングで、この新型車に置き換えていく方針。
なお、バッテリー内部にはUSB端子も装備しており、災害時など緊急時には取り外してモバイル端末の充電に使える。平時はUSB端子は利用できない。