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ソニー、段差を昇れる6輪ロボット。清水建設と実証実験

ソニーは、不整地を安全かつ効率的に移動できる6脚構造のロボットを開発。清水建設とともに建設現場での実証実験を行なう。車輪アクチュエーターを搭載した6本の脚構造を持つ「6脚車輪構成」のロボットで、段差も昇ることが可能。

接地部分に車輪アクチュエーターを搭載した6本の脚構造を持ち、環境に合わせて、車輪アクチュエーターを駆動させる「車輪移動」と、6本の脚を交互に動かす「脚移動」をハイブリットで行なえる。

平地では車輪移動を行ない、階段などの段差の昇降では脚移動と車輪移動を併用する。移動可能な段差は最大30cm。ただし、連続する階段の昇降は、現時点では実現しておらず、今後の技術開発を進める中で対応していく予定としている。脚移動のみを行なう場合よりも速く、かつ平地から段差へ移る際にも速度を保ちながら、効率的な移動が可能になる。

6脚構成により、機体と地面が常時3点で接地する設計のため、整地・不整地を問わず、前後に揺動しない滑らかな重心移動を実現している。

過去に発表した4脚歩行ロボットの設計思想を継承。機体の脚構造やモーターへの負担を分散させるメカ構成を採用し、最大20kgの可搬重量を実現する。ロボットが静止している際に必要な自重を支えるためのエネルギー消費量も削減でき、高いエネルギー効率を実現。重い荷物を運搬するだけでなく、360度カメラや測量機器を搭載することも可能で、静止画・動画の撮影による巡回・監視作業や測距作業への応用可能。

様々な産業での実用化を想定しており、機体制御を自律的に行なえるシステムを搭載。ロボットの間接部にかかる力を柔軟に制御する独自の全身協調制御システムにより、路面が安定しない不整地でも動作を安定できる。外部から力がかけられた場合にも衝撃を最小限に抑えるため、自律的に力を逃す方向に回避行動をとる。将来的には機体の安定制御に加え、移動経路の策定など移動に関する自律性能を向上していく予定。

脚移動時には、瞬間的に大電流が必要となるため、電源も強化。電気二重層キャパシタ(EDLC: electricdouble-layer capacitor)を搭載することでピーク電流に対応し、バッテリーのサイズを抑えたまま、機体の小型化も実現した。今後は、更なるバッテリーの効率化や機体の小型軽量化を進める。

最大速度は1.7m/s。連続稼働時間は最大4時間。本体サイズは、912×672×720~1,220mm(全長×全幅×全高)。重量は約89kg。

【追記】連続する階段の昇降には現状対応していない旨を追記(12月15日)

清水建設と実証実験

実証実験は、清水建設が施工中の虎ノ門・麻布台プロジェクトA街区のタワービルで実施。段差や開口、障害物などがある実際の建設現場でロボットの検証機を動作させ、性能評価と技術検証を行なう。期間は11月~2022年6月まで。

内容は、建設現場の巡回・監視、出来高検査などの施工管理業務や、移動ロボット導入による有用性の確認、課題やニーズの整理。ロボットのハード面とソフト面での性能評価や技術検証も行なう。