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富士山噴火、都市機能は最大2週間麻痺。三菱地所が対応マニュアル

三菱地所は、富士山噴火による火山灰降灰を想定したビル運営管理の行動手順を策定した。

2020年4月に中央防災会議が公表した富士山噴火をモデルケースとした「大規模噴火時の広域降灰対策について」で提示された、降灰影響による首都圏の停電や交通インフラ停止といった状況に対応するもの。対象エリアは、首都圏で本社機能が多く集積する大手町・丸の内・有楽町エリア(大丸有エリア)。行動手順では、噴火とその後の気象庁の降灰予報、実際の降灰状況などに応じたビル機能の維持・避難誘導・帰宅困難者受入等に関するタイムラインの他、必要資機材や備品について定めている。

想定される被害は、富士山噴火時に西南西風が吹き、大丸有エリアに1時間で5mmのペースで最大100mmの降灰が発生。これにより鉄道、道路、物流、電力、上水道、下水道、通信は、降灰開始数時間後~2週間程度機能が停止するという。

行動手順は、同社が大丸有エリアに所有する約20棟(丸の内ビル・新丸の内ビル等)を対象とする。富士山噴火後は気象庁からの発表に基づき、当該エリアに多量の降灰が予測される場合、降灰・電気供給・鉄道運行等の状況に応じて、予め定めたタイムラインに基づく対応を行なう。

オフィス就業者、店舗従業員、来館者等については、降灰により交通機関が麻痺する前に、館内アナウンスなどで早期帰宅を促すが、帰宅困難者が発生した場合は建物の安全性(=帰宅困難者の安全性)が確保される範囲で受入対応をする。

タイムラインは下記の通り。

  • レベル1 噴火はしたがまだ降灰していない予報段階
    ⇒早期帰宅を推奨するお知らせ等
  • レベル2 降灰開始した段階
    ⇒ ビル設備の降灰対策・停電対策準備
  • レベル3 積灰中に停電となり非常用発電機が稼働した段階
    ⇒ 空調機フィルター等のメンテナンスを継続
  • レベル4 非常用発電機の燃料が僅少となった段階
    ⇒ ビルスタッフ以外は避難
  • レベル5 非常用発電機が燃料切れ・故障により停止した段階
    ⇒ 全員避難

施設については、降灰による空調機のフィルター目詰まり対策として、予備のフィルターを確保し、屋上の排水管閉塞防のための施策を行なう。断水に備えて上水・雑用水の水槽貯水量を最大限増加させる施策など、ハード対応を行なう。

降灰対策用に必要となる備品も整理し、既存の地震対策用備品に加え、災害対応の領域を広げる。今回は、灰清掃用の備品として、防塵マスク、防護メガネ等を配備する予定。