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上限10万円でATM返済の若者向け次世代クレカ「Nudge」

ナッジは、20~30代を主なターゲットとする少額の次世代クレジットカード「Nudge」(ナッジ)の受付を開始した。

Nudgeでは当初、スポーツチームや選手個人、アーティストなど約20の「クラブ」がラインナップされており、ユーザーはクラブを選んでカードを発行する。このクラブが“提携カード”を発行している形になっており、ユーザーは普段の買い物にナッジのカードを利用するだけで、クラブを応援できる。

スポーツチーム、スポーツ選手個人、アーティストのファンクラブ、地方創生プログラムなどクラブの種類はさまざまで、今後もキャラクターの「ラスカル」や、オンラインゲームのタイトルなどのクラブも追加される予定。クラブ側の費用は不要で、1枚から発行できるため、多数のファンを抱えていなくても提携カードを発行できる。

サービス開始時点で開設予定のクラブは、「ブラウブリッツ秋田(サッカー)」「アースフレンズ東京Z(バスケットボール)」「岩手ビッグブルズ(バスケットボール)」「福島レッドホープス(野球)」「堀口恭司(総合格闘技)」「チームケンズ(トライアスロン)」などのアスリート・スポーツチーム、「MILIYAH Loveheart Club(アーティスト)」などのアーティスト・クリエーターなど約20。

ユーザーにはクラブからさまざまな特典が提供される予定で、今後はNFTを活用した特典なども提供される予定。

クレジットカードとしては、後払いで限度額10万円の、比較的少額のクレジットカード。ブランドはVisaで、Visaタッチにも対応する。クレジットカードにおけるアクティブユーザーの平均利用額は月3万円で、日常的な買い物は限度額10万円でカバーできる見込で、「若者にとってのメインカードを目指す」としている。

返済方法は、銀行口座からの引き落としではなく、セブン銀行ATMを使った返済のみ。カードの利用の翌月末までは返済に利息はかからないほか、最短でカード決済の翌日から、いつでも返済が可能。返済すると即座に与信枠が空く仕組みで、手元にお金がある場合、月10万円以上の利用も可能になる。利用の翌月末を過ぎると発生する返済の利息は、1日ごとに、2,000円につき1円。利用を管理するスマートフォンアプリでは、利息の発生を通知する機能も備える。セブン銀行ATMのみとなっている返済方法は、今後ほかの種類も検討していく。

「Nudge」はまた、20~30代の若年層をターゲットにしたカードと打ち出すのも特徴。発行・管理はすべてスマートフォンで完結し、申込み時の内容も従来のクレジットカードより単純化している。一方で物理カードも発行し、生活のさまざまな場面で利用できるようにした。

ターゲットとしている若年層は、性別や非正規雇用といったことを理由に、申し込んだ約3割はクレジットカードの審査を落とされるとしており、こうしたことが“若者のクレジットカード離れ”につながっているという。また、キャッシュレス全体をみると、その中心はコード決済ではなくクレジットカードで、利用の中心は中高年以上。コンビニの決済の半分は今も現金であり、「実は若年層にキャッシュレスが普及していない」背景として、こうした従来型のクレジットカードの審査を挙げている。

ナッジでは、クレディセゾンと共同で、少額の限度額のクレジットカードに合わせた、新しい与信審査の仕組みを構築する。「少額包括信⽤購⼊あっせん業者」の登録が完了、信用情報機関に接続でき、過去の不正利用や多重債務、延滞の情報は確認する一方で、例えば審査に性別の項目は設けていないという。勤務先や年収などの従来型の情報も転職や副業が当たり前の世代・時代には必ずしも最適ではないとして、非正規雇用の女性や若年層でも「後払いのクレジットカード」を利用できるよう、AIを組み合わせて新しい審査基準を構築していく。

ナッジの収益は、従来のクレジットカード会社と同じで、決済手数料がメイン。提携カードを発行する形になる「クラブ」とは、レベニューシェアという形になる。「ユーザーを借金漬けにして利息で稼ぐ」という方針ではないとして、アプリには返済利息の発生を通知する機能も付けた。

ナッジはすでに10億円の資金調達を済ませており、サービス開始から2年で、黒字になる25万人が目標。3年後に50万人を目指す。また今後はBaaS(パートナー企業による銀行サービス)なども活用し、融資や資産運用などのサービスの追加も検討。従来型の金融機関のモデルにとらわれない、チャレンジャーバンクを目指すとしている。

ナッジ代表取締役社⻑の沖⽥貴史氏