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Visaのタッチ決済、15倍に拡大。日本での普及が進む

ビザ・ワールドワイド・ジャパン(Visa)は17日、2020年に日本で大きく伸びた「Visaのタッチ決済」の利用状況などについて説明会を開催した。日本におけるVisaタッチ決済(クレジットカードのNFC非接触決済)は前年比約15倍以上となり、コンビニの約70%で利用可能になるなど、普及拡大している。

Visaのタッチ決済、日本で15倍に

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により、世界中で買い物のオンラインシフトや衛生面での関心の高まりが見られた。「非接触」という衛生面での利点から、リアル店舗においてはタッチ決済が増加し、全世界でのVisaの対面決済におけるタッチ決済比率は43%となった(9月末時点)。

コロナの影響で、Visaのタッチ決済利用も急増し、4~6月と7~9月の比較では、2カ国で25%ポイント以上増加し、10の国・地域で10%ポイント以上、38カ国・地域で5%ポイント増加した。

Visaのタッチ決済は海外では普及が進んでおり、オーストラリアやシンガポール、ニュージーランド、ロシア、ハンガリー、スペインなどでは普及率が90%を超えている。日本はそれらの国に対して遅れていたが、2020年はカードの発行枚数、利用件数ともに大幅に増加した。

2020年9月末時点のカードの発行枚数は累計3,230万枚で、前年同月比約2.3倍。決済件数は、前年同月比で約15倍に拡大した。スーパーやコンビニなど「日常使い」が特に増えており、スーパーは約30倍、コンビニは約8倍となった。また、発行が増えているデビットカードも取引件数が前年同月比で約5倍となった。

Visaのタッチ決済では、特に決済速度の速さと手軽さと、非接触の衛生面でのメリットが支持されており、タッチ決済利用者は現金利用頻度も減少。キャッシュレス化を促進している。また、テレビCMや対応店舗の拡大、キャンペーンなどで認知も高まっているという。

3面待ちで利用増。普段使いから小規模店舗まで

店舗における国内の端末数も前年同月比で3.2倍(2020年9月末)となった。加盟店においても安全性と店員の接触を減らせる安心感、決済スピードといったタッチ決済の特徴が支持された。

コンビニやスーパーなどが拡大したほか、飲食店、ドラッグストアなど多くの業種をカバー。また、SquareやAirPay、UペイなどのmPOSが対応したことで、小規模事業者や個人店舗など、大手チェーン以上の利用も拡大している。イオンモールなどショッピングセンターや日本郵便などでも利用可能になった。

店舗向けで、2020年に特に改善に取り組んだのが端末の「3面待ち」対応。

これまでは、店舗の端末でNFC Pay(Visaのタッチ決済)かカード(IC/磁気)のいずれかを選ぶいわゆる「2面待ち」が多く、利用時に「タッチ決済」「NFC」「カード」など利用者が支払手段を伝え、店舗側がいずれかの支払手段を選ぶなど、運用上の課題となっていた。3面待ちは、NFC(タッチ決済)でもICでも、「カードで(Visaで)」と伝え、店も端末で「クレジット」を選ぶだけで対応できるため、店舗のオペレーションと利用者のわかりやすさを改善できる。

この3面待ちの店舗が増えたことも、Visaのタッチ決済の利用拡大につながっているという。

また、タッチ決済対応を示す「アクセプタンスマーク」の店頭POPの配布にも力を入れたことで、都市部だけでなく地方でも利用が拡大。利用者だけでなく店員の理解も広がり、広島・岡山などで展開するスーパー「エブリイ」などでも使えるようになった。

日本でも広がる交通機関のVisaのタッチ決済対応

また、公共交通機関においてもVisaのタッチ決済の導入が徐々に進んでいる。

7月には茨城交通、9月には岩手県北バス、10月には福島交通と会津バスで「Visaのタッチ決済」の受け入れが開始された。さらに、11月25日からは、京都丹後鉄道でも利用可能となり、高速バスなどの「固定運賃」だけではなく、距離に応じて金額が変わる「距離制運賃」の決済にも対応した。

キャッシュレス化が進んでいない、地方の公共交通機関でのVisaのタッチ決済活用が増えている。

ただし、チケットカウンターの省人化や券売機のメンテナンスなど、キャッシュレス化に向かう動機は事業者によってかなり異なっており、まずは固定料金の高速バスで導入。さらに11月からは京都丹後鉄道で距離制運賃にも対応するなど、事業者にニーズにあわせて対応している。

なお、固定料金の場合は、端末やタブレットで決済(0.5秒以内)でその後のオーソリ(金融機関確認)を数秒で完結する。一方、距離制運賃の場合は、決済(0.5秒以内)の後のオーソリで乗客を数秒待たせることはできないため、間にバックエンドシステムを用意。同システムで入退場情報から金額を確認し、オーソリは後で行なう形となる。

海外では、国際的な観光都市からスタートし、徐々に地方へと広がるかたちを取っている。ロンドンの事例では、オリンピックを契機とし、現金決済の縮小や専用の「Oyster Card」、券売機の削減などで、コスト削減が図られてるなど、紙のチケットよりタッチ決済のほうがコスト競争力が高いとする。また、後から精算のため、周遊券などの実現も容易としている。

カード1枚だけで世界中いつでもどこでも決済できるという利便性の実現に向け、Visaのタッチ決済の交通機関対応を強化していく。