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菅総理、マイナポイント延長やデジタル化推進を表明。ドコモ新プランは「節目」

菅義偉総理大臣は4日、記者会見を開き、新型コロナ対策やカーボンニュートラルへの取り組み、マイナポイントの延長などについて説明した。政策の核として、「グリーン」と「デジタル」を掲げ、積極的なデジタル化を推進する。

デジタル化については、マイナンバーカードの普及を推進。マイナンバーカードを年度末までに申請した人を対象に「マイナポイント」の期限を半年間延長することを表明(注:現在は2021年3月末まで)。また、マイナンバーカードと保険証の一体化を3月にスタートし、5年後までには運転免許証の一体化により、更新時の講習や書類提出をオンライン化する。

加えて、ポスト5Gや6Gの技術についても、世界をリードできるよう政府が先頭に立って研究開発を行なう。

デジタル庁は来年秋の始動を目指して準備を進めており、各省庁に監督是正ができる権限を持たせ、民間から100名規模の高度な専門人材を登用する。

また、所信表明で宣言した「2050年カーボンニュートラル実現」は、「どうしても実現しなければいけない目標。経済成長を妨げるものではなく、経済成長を生み出すもの。発想を転換し、今回の経済対策では環境投資を強化する」と説明。2兆円の基金を創設し、イノベーションに挑戦する企業を今後10年間支援。水素、蓄電池、再生可能エネルギーなどでのジャンルの強化を図る。

また、CO2ゼロも目標とし、電気自動車の最大限の導入のための制度や規制を構築する。

新型コロナウイルス感染の現状については、「重症者数が過去最多となり、極めて警戒すべき状況。強い危機感をもって対応するとともに、前線の医療・介護の献身的な尽力に感謝する」と言及。飲食店の時短対応などの協力への謝意を表明した。

また、Go To Eatの新規停止・人数制限やGo To トラベルの札幌・大阪除外などにも言及。保健所や軽症者向けのホテルの準備などで体制を整えているほか、3日に国会でワクチン無料接種のため法案が提出されたことに触れ、「事前の準備に全力を尽くす」と説明。「科学的に効果が実証されているマスクの着用や、手洗いなどの徹底を改めてお願いする」と強調した。

会見の最後には、菅総理がかねてから主張していた携帯電話料金の引き下げについて言及した。

「国民の財産である電波を使いながら、大手3社が9割を占め、国際的にも高い料金で20%の営業利益を上げていることに問題意識を持っていた。今回、大手のうちの一社が大容量プランについて20GBで2,980円という料金プランをメインブランドで実現するという発表があった(注:ドコモのahamo)。本格的な競争に向けてひとつの節目を迎えた。本当の改革はこれから。個々人の料金負担は本当に下がっているか、サブブランドに移行する場合の手数料など残された障害がないか。見ていきながら必要に応じてさらなる対策を取っていく」

「菅内閣で重要なのは、変化に対応するスピードと国民目線の改革。まずはコロナウイルスを乗り越えて、経済を回復させていく。国民のために働く内閣として全力で取り組む」と語った。

菅総理冒頭発言

菅内閣として初めて臨んだ臨時国会が明日、閉会をします。

現在、新型コロナウイルスの新規感染者数や重症者数が過去最多となり、極めて警戒すべき状況が続いています。既に先週から重症者向けの病床がひっ迫し始めており、強い危機感を持って対応しています。コロナウイルスとの闘いの最前線に立ち続ける、医療、介護などの現場の皆さんの献身的な御尽力に、深い敬意とともに心から感謝を申し上げる次第でございます。

これまでも申し上げてきていますように、国民の命と暮らしを守る、これが政府としての最大の責務です。新型コロナの分科会が感染リスクの高い場面として指摘するのが飲食です。お店の時間短縮は極めて重要と考えております。短期、集中の対策として先週末から各地で時間短縮要請が行われており、協力いただいた全ての店舗に対して、国としてもしっかりと支援をしてまいります。GoToイートについては、新規発行の停止、人数制限などを要請し、GoToトラベルについては、一時的に札幌市(さっぽろし)、大阪市に向けた旅行は対象外とし、これらの地域からの旅行、また、東京都の高齢者、基礎疾患をお持ちの方々については、利用を控えるように呼び掛けをいたしております。

空きベッドに対する収入補償を始め、医療機関、高齢者施設などのコロナ対策について、最大限の支援を行います。これまでの経験を踏まえ、検査や感染者への対応を行う保健所、軽症者用のホテル、重症者用の病床、それぞれについて、更に体制を整えてまいります。各地の保健所に派遣する専門職、これまでの倍の1,200名、確保いたしております。

この国会では、ワクチンの無料接種のための法案が成立をしました。ワクチンについては、国内外において治験が複数進められており、既に最終段階に到達しているものもあります。安全性、有効性を最優先としつつ、承認されたワクチンを直ちに必要な方に接種できるよう、事前の準備に万全を尽くしております。

これから年末を、また年始を迎えます。高齢者はもちろんのこと、若者を始め国民の皆様におかれては、科学的にも効果が立証されているマスクの着用、手洗い、3密の回避といった基本的な感染対策を徹底していただくよう、改めてお願いを申し上げます。

国民の命と暮らしを守る、そのために雇用を維持し、事業を継続し、経済を回復させ、新たな成長の突破口を切り開くべく、来週早々には経済対策を決定します。雇用調整助成金はパートや非正規の方々も含めて日額1万5,000円の助成を行っており、こうした特例の延長に必要な予算を手当ていたします。さらに、公庫による最大4,000万円の無利子・無担保融資も来年前半まで今の仕組みを続けます。手元資金に困っている方々のための緊急小口資金については、3月以来、約5,000億円が利用されており、所得の減少が続いている場合には返済も免除しておりますが、これらの措置の延長も行います。さらに緊急的な手当てとして、ひとり親世帯については、来週、予備費の使用を決定し、所得が低い世帯は1世帯5万円、更に2人目以降の子供については3万円ずつの支給を年内めどに行います。

各自治体の事業者の支援など、独自の事業に加え、営業時間短縮を要請した場合のいわゆる協力金を国として支援するために、地方創生臨時交付金を1.5兆円、確保します。
これらの措置によって、現在の厳しい状況を何とか乗り越えていただき、経済回復の足掛かりとしたい、このように思います。

その上で、我が国に必要なものはポストコロナにおける成長の源泉です。その軸となるのが、グリーン、デジタルです。8年近くにわたるアベノミクスによって日本経済は最悪の状態を脱し、もはやデフレではない状況をつくり出し、人口減少の中で雇用者数を増やし、観光や農業の改革は地方経済に大きく貢献をしました。

私が所信表明演説で申し上げた2050年カーボンニュートラルは、我が国が世界の流れに追いつき、一歩先んじるためにどうしても実現をしなければならない目標であります。環境対応は、もはや経済成長の制約ではありません。むしろ、我が国の企業が将来に向けた投資を促し、生産性を向上させるとともに、経済社会全体の変革を後押しし、大きな成長を生み出すものであります。こうした環境と成長の好循環に向けて発想の転換を行うために、今回の経済対策では、まずは政府が環境投資で一歩大きく踏み込みます。

過去に例のない2兆円の基金を創設し、野心的なイノベーションに挑戦する企業を今後10年間、継続して支援していきます。無尽蔵にある水素を新たな電源として位置付け、大規模で低コストな水素製造装置を実現します。水素飛行機や水素の運搬船も開発します。脱炭素の鍵となる電化にどうしても必要なのが蓄電池です。電気自動車や再生可能エネルギーの普及に必要な低コストの蓄電池を開発します。排出した二酸化炭素も、いわゆるカーボンリサイクルの技術を使って、プラスチックや燃料として再利用をします。

これらを政府が率先して支援することで、民間投資を後押しし、240兆円の現預金の活用を促し、ひいては3,000兆円とも言われる世界中の環境関連の投資資金を我が国に呼び込み、雇用と成長を生み出します。また、自動車から排出されるCO2をゼロにすることを目指し、このため、電気自動車などを最大限導入していくための制度や規制を構築します。

デジタル化も、かつて指摘されてきた課題を一挙に解決します。

マイナンバーカードの普及のため、カードを年度末までに申請していただいた方にはマイナポイントの期限を半年間延長します。カードと保険証の一体化を来年3月にスタートし、5年後までには運転免許証との一体化により、更新時の講習や書類の提出がオンラインでできるようになります。今回の経済対策でこれらを一挙に措置します。

5Gを機能強化した、いわゆるポスト5G、さらには次世代の技術である、いわゆる6Gの技術についても、次の技術で世界をリードできるよう、政府が先頭に立って研究開発を行います。今回の経済対策では、これらを含めたデジタル関係で、1兆円を超える規模を確保します。

デジタル化の司令塔となるデジタル庁は、来年秋の始動を目指して、現在、急ピッチで作業を進めています。情報システムの関係の予算を一元的に所管し、各省庁に対して勧告、是正ができる強い権限を持たせます。民間から100名規模の高度な専門人材を迎え、官民を行き来しながら、キャリアアップできるモデルをつくります。

いまだ新型コロナウイルスの感染が続く中で、今、大事なのは安心感、そして、将来への希望です。当面は何が起きても対応できるように、十分な額の予備費を確保します。これらの措置により、国民生活の安心を確保し、将来の成長の基盤をつくります。

先月中旬から下旬にかけて出席したASEAN(東南アジア諸国連合)関連、APEC(アジア太平洋経済協力)、G20(金融・世界経済に関する首脳会合)といった一連の首脳会議においても、グリーンとデジタルが私の政権の最優先課題であることを積極的に発信いたしました。

同時に世界的なパワーバランスの変化により、国際秩序の在り方が大きく影響を受ける中、基本的価値と法の支配に根差した、自由で開かれたインド太平洋を実現していくことの決意を重ねて強調し、関係諸国との間で具体的な協力を進めることで一致しています。
特に今国会で承認を頂いた英国との包括的経済連携協定、さらには先月に中国、韓国を含む15か国と署名したRCEP(東アジア地域包括的経済連携)も重要な成果であると思います。これらの協定、また、来年、我が国が議長国となるTPP11(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)の着実な実施と拡大に努め、自由で公正なルールに基づく経済圏の更なる進展を目指してまいります。

先月中旬には、政権発足後初めての外国首脳の訪日として、豪州のモリソン首相をお迎えしました。同首相との間では、自由で開かれたインド太平洋の実現という共通目標を確認した上で、経済分野での協力に加え、安全保障・防衛協力を新たな次元に引き上げる日豪円滑化協定の大枠合意に至ることができました。首脳間の個人的な信頼関係を深めるとともに、日豪の特別な戦略的パートナーシップを大きく進展させることができました。

また、米国のバイデン次期大統領との初めての電話会談では、日米安全保障条約第5条の尖閣諸島(せんかくしょとう)への適用、日米同盟の強化、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力を確認し、大変意義のあるやり取りができました。

これらの一連の首脳外交では、政権の最重要課題である拉致問題の解決に向けた協力も要請し、数多くの首脳から理解と協力の意向を示していただきました。コロナ対応の中で高まった自国中心主義や内向き志向などとも相まって、これまで以上に予見しにくい国際情勢であるからこそ、我が国としては、多国間主義を重視しており、国際社会の団結と具体的な協力を主導していく決意であります。

そして、人類が団結してウイルスに勝った証として、来年、東京オリンピック・パラリンピックを開催する、私の強い決意についても、各国首脳から共感と支持を頂きました。これからも首脳外交を積極的に展開しながら、国際社会に対して我が国の立場をしっかりと発信していくとともに、様々な外交課題に全力で取り組んでまいります。

所信表明演説では、これまでお約束した改革については、できるものからすぐ着手し、結果を出して成果を実感していただきたい、このように申し上げました。

不妊治療については、保険適用を2022年度からスタートし、男性の不妊も対象にしたいと考えます。それまでの間は、助成制度の所得制限を撤廃した上で、助成額の上限を2回目以降も今までの倍の一律30万円で6回まで、2人目以降の子供も同様といたします。これらを来年すぐに実施できるよう、補正予算に盛り込みます。不育症の検査やがん治療に伴う不妊についても、新たな支援を行います。

2年前に、携帯電話料金については、4割は下げられると講演で申し上げました。国民の財産である電波の提供を受けながら、大手3社が9割の寡占状態を長年維持し、世界的に見ても高い料金、不透明な料金体系、しかも、20パーセントもの営業利益を上げ続けている。このような国民として当たり前の感覚からすれば、大きくかけ離れている事実に問題意識を持ってきました。

今回、大手のうちの1社が、大容量プランについて、2年前に比べて7割安い20ギガで2,980円という料金プランをメインブランドの中で実現するとの発表がありました。本格的な競争に向けて一つの節目を迎えたと思います。

本当の改革はこれからです。個々人の料金負担が本当に下がっているのか、サブブランドに移行する場合の手数料など、残された障害がないか見ていきながら、必要に応じて更なる対応を採っていきたいと思います。

菅内閣において重要なのは、変化に対応するスピードと国民目線の改革です。まずは新型コロナウイルスを何としても乗り越え、経済を回復させていきます。国民のために働く内閣として、全力で取り組んでまいります。

私からは以上であります。

菅内閣総理大臣記者会見