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【CES2020】当たり前のAIと“知性”に向かうIoT、巨大化するテレビ

「CES 2020」が1月7日から開幕する。家電やPCから自動車、産業向けソリューションなど様々なテクノロジーが集い「1年のトレンドがわかる」と言われてきたCESだが、参加企業や産業の増加により、「目玉」や「トレンド」がわかりにくくなっている。

CESを主催するCTA(Consumer Technology Association)は、開幕前々日の5日に「テックトレンド」と題した説明会を開催し、CES 2020のポイントを解説。5Gと連携したIoTの変化などを紹介した。

IoTはIntelligent of Thingsに変わった。IoTとともに加速する5G

まずは「IoT」について。IoTが徐々に浸透してきており、このトレンドは今後10年も変わらないといする。ただし、Internet of Things(モノのインターネット)から、今後の10年はIntelligence of Things(モノのインテリジェンス:知性)に切り替わるとする。

これは、エッジコンピューティングの伸長により、クラウド側だけでなく端末(エッジ)側での処理が重要になっているため。その流れを後押しするのが「5G」となる。

米国における5G端末の普及は、2019年時点では160万台だったものの、2020年には2,020万台、2021年は6,080万台、2022年には1億630万台と4G(同年6,200万台予測)を上回る見込み。

ただし、5Gはコンシューマ向け製品よりもエンタープライズ向けで大きく伸びる見通し。

5GとIoTの関係については、Massive IoTとCritical IoTのトレンドを分けて紹介。Massive IoTは、スマートビルディングや流通、農業などの現場で使われ、ローコストでデータ量は少ないが、大量の数を使うもの。もう一方のCritical IoTは、リモートヘルスケアや交通安全のための車両制御、産業向けアプリケーションの制御など、超高信頼性や低遅延、高い可用性(Availability)が求められるもの。

5Gでは高速転送や低遅延が謳われる場合が多いが、IoTとの組み合わせで様々な産業を変えるものだと紹介。Massive IoTの一例として、農業のIoTによる高度化について説明した。

また、AIが「当たり前のもの」として、消費者に身近な存在になってきていることを強調。映像配信やテレビなどのデバイスでも自然に使われており、具体的な事例は、8Kテレビのアップスケーリングやドアベルの顔認証、オーブンの物体認識、スマートスピーカーの音声認識など、IoTとともにAIの浸透が進んでいるという。

AIの消費者化
AI利用の具体例

ストリーミングとテレビサイズの拡大

また、大きなトレンドとして紹介されたのが、Netflixなどのストリーミングサービスの動向。Apple TV+がスタートしたほか、米国では、HBO MaxやDisney +などメディア大手が続々と参入し、市場規模が拡大。2019年のSVOD(月額定額制の映像配信)市場売上は前年比で20%増となっており、引き続き高い成長を見せている。引き続き市場拡大は見込めるが、2022年には7%増にとどまる見込み。

コンテンツサービスのトレンドと連動するのが「テレビ」市場。画面サイズの大型化が続いており、平均サイズは47型まで拡大。2020年には、70型以上のテレビが200万台に迫ると見込まれる。これは世界的なトレンドで、「8K」テレビの伸長も予想され、これは米国以外でもグローバルなトレンドと見込む。実際にCESにあわせて、LGやSamsungなども8Kテレビを続々と発表していおり、CES 2020のトレンドの一つとなりそうだ。

また、VRグラスのワイヤレス化やARグラスの進化とユースケースの拡大もCESの注目点と説明。ゲームにおいては、e-Sports市場の拡大が、周辺ハードウェアの売上につながっているという。

自動車や交通においては、複数の交通機関が連携する「マルチモーダル」の流れや自動運転などを紹介。さらに、「ネクストモビリティ」として、空飛ぶ車(eVTOL:Electric Vertical Take-Off and Landing)もCESで展開される。

そのほか、デジタルヘルスやロボットなども多くの展示が行なわれる。ロボットについては単純作業をこなすタスクベースのものだけでなく、ペットのような存在の「ソーシャルロボット」の流れも注目という。

CESは、現地時間の1月7日から開幕。6日には、トヨタやBosch、パナソニック、Samsung、LG、ソニーなどのプレスカンファレンスも予定されている。