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EC連動・XRアート・ARスイーツ…新生渋谷パルコが仕掛ける次世代感

建替えが進められていた渋谷パルコが、11月下旬にグランドオープン。新生渋谷パルコに関する記者発表が実施された。「世界へ発信する唯一無二の“次世代型商業施設”」をビルコンセプトとして掲げ、その中の構成要素の1つとして「TECHNOLOGY」分野を推進。EC連動、XRアート、ARスイーツ、スマホに届くレシートなどを導入する。

新生渋谷パルコ パース(画像提供:竹中工務店)

渋谷パルコがオープンしたのは1973年。2007年より建替え計画の検討を開始し、2015年12月に都市再生特別地区の決定を受け、市街地再開発事業として計画が進められてきた。また2019年は、1969年の1号店である池袋パルコ開業から50周年を迎える年でもある。

新生渋谷パルコは、TECHNOLOGYを構成要素の柱の1つとしており、「デジタル化時代におけるお客様との新しいコミュニケーションや買い物のあり方を提案」するという。

提案として挙げているのが、「SHOPPING×TECHNOLOGY」、「ART×TECHNOLOGY」、「TECHNOLOGYを活用したショップ」、「DATA×TECHNOLOGY」の4つ。

SHOPPING×TECHNOLOGYについては、店頭販売に加え、ECを併設したオムニチャネル型売場「CUBE(仮称)」を展開。約130坪のエリアに11店舗の小型ショップが出店する。

CUBEでは、従来の売場より小さなスペース・店頭在庫数で、来店客の求める商品に出会える店舗ゾーンにチャレンジするとし、店舗では戦略アイテムや限定商品を中心にそろえ、その他の商品はデジタルで在庫管理を行なう。

デジタルで在庫管理をしている商品は「PARCO ONLINE STORE」で販売。共用部に設置する大型サイネージやショップ内サイネージでは、手持ちのスマートフォンへ直接データを転送し、店頭にはないオンライン上の商品をいつでも購入できる

ART×TECHNOLOGYについては、XR技術を活用し、コンピューターで制作した3次元のクリエイティブ作品を、スマートフォンやAR対応グラスを通して、あたかもその場に存在するかのように展示する空間演出を実施。VR空間デザイナー Discont氏によるインスタレーション作品の展示を予定している。

吹抜けイメージ(Discont氏作品のコラージュ)

TECHNOLOGYを活用したショップについては、カフェやショールーム型のショップを紹介。ARを組み合わせたスイーツの提供を行なうティフォンの新業態カフェ「Tyffonium cafe」や、IoT製品などをはじめとした、世界中の世に出る前のデジタル製品などに触れて試すことができる実証実験型AIショールーム「BOOSTER STUDIO by CAMPFIRE」がオープンする。

BOOSTER STUDIO by CAMPFIRE イメージ

DATA×TECHNOLOGYについては、「電子レシート」サービスの提供を開始。対象はパルコの公式アプリ「POCKET PARCO」ユーザーで、電子化したレシートをスマートフォンに届けるレシート管理アプリ「スマートレシートサービス」(東芝テック)を活用する。

今後、アプリの利用データや買い物履歴などのデータをAIにより分析・学習し、来店前・来店中・来店後の最適と思われるタイミングで、利用者の好みにマッチするショップや商品・サ ービス・コンテンツ情報を配信する仕組みを開発し、リリースする予定としている。

TECHNOLOGYのほか構成要素の柱として掲げているのは、「FASHION」、「ART&CULTURE」、「ENTERTAINMENT」、「FOOD」の4つ。

FASHIONについては、ブランド規模の大小、有名か無名かという判断基準ではなく、面白さ、独創性を基準に提案。ブランド育成を目的とした編集売場も展開する。

ブランド育成を目的とした編集売場を展開する「GEYSER PARCO」

ART&CULTUREについては、ギャラリー機能を備えたショップが9店舗オープンするほか、「PARCO MUSEUM TOKYO」や、ギャラリー「GALLERY X」を展開する。

また、6階では日本のカルチャーを発信するゾーンを形成。「Nintendo TOKYO」、「ポケモンセンター シブヤ」、「刀剣乱舞万屋本舗」などを展開する。

ENTERTAINMENTについては、「PARCO劇場」、ミニシアター「CINE QUINTO」(8階)、CLUB QUATTROがプロデュースするミュージックカフェ&バー「QUATTRO LABO」(地下1階)を展開する。

PARCO劇場について詳しく読む

FOODについては、地下1階にて、ジビエ・昆虫料理やMIX バーを含めた多様なジャンルの21の飲食店に加え、雑貨店なども出店する「カオス」をテーマとした飲食ゾ ーンを展開。また7階は、回転寿司、天ぷら、焼肉、ラーメンなど、海外観光客も楽しめるラインアップになるとしている。

建物については、「渋谷の街を歩くようにショッピングを楽しめる空間」を図り、スペイン坂から続く立体街路に、フロア毎に店舗への入口を設けている。また立体街路には、休憩スペースや四季を感じさせる植栽を配置する。

渋谷パルコパートIとパートIIIの間にあった道路は、ペンギン通りとオルガン坂をつなぐ、24時間通れる2層吹き抜け、幅8mの歩行者専用通路となる。この通りの名称は「ナカシブ通り」。

ナカシブ通り(画像提供:竹中工務店)

パルコ 代表執行役社長 牧山浩三氏は「パルコの役割は、インキュベーション・街づくり・情報発信の3つであり、渋谷パルコこそがパルコの原点そのものと考えています。その原点の進化版という形で渋谷パルコが生まれ変わります」と説明した。

また、登壇した渋谷区長 長谷部健氏は、「パルコは渋谷で様々なカルチャーを発信する中心的な存在でした。そのパルコがパワーアップして戻ってくるということは、区長としてもありがたく思っています。また大きな災害が起きたときに、一時避難場所としても活用させていただける場所になる」と話した。

牧山浩三氏(左)と長谷部健氏(右)

渋谷パルコの所在地は、東京都渋谷区宇田川町15-1。年間テナント取扱高目標は約200億円。商業延床面積は約42,000m2。ビル全体は地下3階から地上19階で、そのうち商業施設は地下1階から地上9階および10階の一部。店舗数は約180店舗予定。

建設が進む渋谷パルコ(記者発表が行なわれた渋谷区役所15階 スペース428より)
同(公園通り 勤労福祉会館前交差点より)