アキバの10年と変なモノ



 

そこは趣味と実用の狭間に生きる街だった

 どーも。初めての方も、そうでない方もこんにちは。
 AKIBA PC Hotline!チーフの鈴木光太郎と申します。

 ある日、編成のY氏から「Watch10周年だから、こーちゃんもなんか書いてね」との連絡が来まして。

 健忘気味なワタシ、すーっかり忘れていましたが、言われてみると「おぉ!確かにもう10年経ってる!!」なんて驚きつつ、つらつら10年を眺めてみるわけです。

 実は私がバイトとしてインプレスに入社したのもちょうど10年前(最初に書いた記事)で、ほどなくPC WatchとAKIBA PC Hotline!を兼任、日夜アキバを駆け回っておりました。当時は「萌え」という言葉もほとんど知られておらず、アキバといえば電気街とかパソコンショップ街とか電子パーツ街だったわけですが、そんな実用っぽいイメージの中、良く見ると「遊び」とか「冗談」がたくさんあったのが当時のアキバというものでした。

 さて、そんな趣味と実用の狭間にある歴代の「変なモノ」を振り返りつつ、アキバの10年をみてみましょうか。


変なモノ in 1995〜1998 〜アキバの成長期?〜

 まだこの仕事を始めたばかりのころ、思えばアキバは今より「余裕のある」街でした。バブルの余韻があったせいなのか、Windows 95の熱気がさめやらないままだったのか、とにかく、ひたすらPCとインターネットの未来を信じていられる、そんな空気が業界でもアキバでも流れていたように思います。

 そんな当時発売されていたのが、これらの「変なモノ」。

 あまりにバカバカしくて消え去ったモノも多い反面、その後、「ごく当たり前」になったモノも数多くあり、全般に「真面目に考えた結果が変になった」と言えるようなラインナップが特徴です。

 業界が、街が育っていく成長期、そんな時期と言えるのかもしれません。


怪しい日本語BIOS

2字違いのabaptek SCSIカード

念力マウス

PDAホルスター

カーソルキー用ジョイスティック

72Pin SIMM2枚を1枚に

□関連記事
アキバで見つけた変なもの
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/mono/index.html


変なモノ in 1999〜2001 〜今の「アキバ」の原型固まる〜

 さて、次第に増えてきたPCパーツショップ数が頂点を極めたのが1999年。

 1998年ごろから増え始めたホビー系ショップも2001年にはすっかりアキバの顔として定着し、1999年にはパチンコ店やマクドナルドが、2000年には大手牛丼店がそれぞれ中心街に進出、同じ2000年には中古/ジャンクショップも急増するなど、現在のアキバ下町の原型が完成したのがこのころと言えます。

 また、ヨドバシアキバの計画が公表されるなど、再開発計画が「現実のもの」として意識されはじめたのもこの時代。
 ただし、2000年に当時の大手パーツショップが民事再生法の適用を受けるなど、PCパーツに黄信号が見えてきたのもこのころでした。

 そんな当時の「変なモノ」は以下のような面々。

 それまではよくあった「将来一般的になる変なモノ」はぐっと減り、どちらかというと、「ウケ狙い」「一発狙い」の製品が目立っているのがこの時代。変わったデザインのPCケースや、キャラクター/タレントとのコラボレーション製品が登場したのもこの頃でした。


机ケース

喋るマザーボード

USB接続クリスマスツリー

犬ケース/猫ケース

手のひらサイズのベアボーンPC

生首ギャルゲー

□関連記事
【2000年12月16日】2000年の「アキバで見つけた変なモノ」
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20001216/hen2000.html
【2001年12月22日】2001年の「アキバで見つけた変なモノ」
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20011222/hen2001.html


変なモノ in 2002〜2004 〜飛躍の前の一休み?〜

 2002年に入るとラオックスのホビー系大型店舗「ASOBIT CITY」がオープン、いっそうホビー色が強まりました。メイドカフェがぽつぽつ登場するのもこのころ。

 PCパーツは、TVキャプチャや書き込みDVDなどのヒット商品があったものの、1999年ほどの熱気にまでは至らず、いくつかのショップが脱落を余儀なくされるという状況。

 今思えば、再開発後に盛り上がるための前哨戦のような時代でした。

 この時代の「変なモノ」は以下。

 やはりウケ狙いの製品は多いものの、単に「一発売ってやろう」という製品ではなく、中堅〜大手メーカーがしっかり企画/開発した製品が次第に増えつつあるのが特徴。「その後一般的になる」というほどの製品こそほとんどないものの、Wiiリモコンの先駆けとも言える手振り操作リモコンや、Zalmanのタワー型水冷キット「Reserator 1」、各種のキートップ発光型キーボード、玄人志向の「ノイズ軽減カード」などはいずれもこの時期に発売されています。

 また、仮面ライダーマウスやザクの頭型PCカメラなど、キャラクターもののバリエーションも広がりました。


手振り操作リモコン

専用グラスでないと見えない液晶ディスプレイ

投影式バーチャルキーボード

太陽電池内蔵フリースジャケット

球形PCケース

美少女キャラパッケージのマザーボード

□関連記事
【2002年12月21日】2002年の「アキバで見つけた変なモノ」
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20021221/hen2002.html
【2003年12月20日】2003年の「アキバで見つけた変なモノ」
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20031220/hen2003.html
【2004年12月28日】2004年の「アキバで見つけた変なモノ」
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20041218/hen2004.html


変なモノ in 2005〜2006 〜アキバのリスタート〜

 さて、いよいよ現代。

 ご存じの通り、再開発地域が2005年に開業して以来、アキバへの注目が高まっています。

 メイドカフェに代表される「萌え」文化が一気に広まったことや、「家族連れを呼ぶ」と掲げてオープンしたヨドバシアキバなどによる集客で、これまでアキバとは縁遠かったカップルや家族連れが一気にアキバに来るようになりました。

 広々とした再開発地域の影響で、街に開放的なイメージが出てきたのもこのころでしょう。

 また、PCパーツも長い低迷からようやく抜けだした感があり、一時は「やるだけ無駄」とさえ言われるようになったPC関連の深夜販売も、Core 2 Duo発売時には500人を超える集客で盛り上がったのも記憶に新しいところ。

 そして「変なモノ」はやっぱり一発狙いが多いんだけど、なんだか街全体、業界全体が明るくなったな、なんて思える最近です。


モエコン

マジンガーZ風ケース

ファミコン風ゲームパッド

バレンタインデー柄DDRメモリ

USB接続ミサイルランチャー

USBメモリを食べる人形

□関連記事
【2005年12月21日】2002年の「アキバで見つけた変なモノ」
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20051217/hen2005.html


変なモノとアキバの未来

 「PCはコモディティ(日用品)になった」と言われるようになってかなり経ちます。

 実際、PCパーツについても、普通に使うための部品なら、郊外のロードサイド店で大部分が買える状態です。

 にもかかわらず、マニアはアキバに行くし、そこの情報に注目する。
それはやはり、マニアな情報がそこに集まるし、そこで一番に販売されるから。

 誤解を恐れず言うならば、「マニア的なモノ」というのは、やはり「世間一般から見て変なモノ」なわけで、それはPCパーツであっても、ホビーであっても、例えば家電などであっても同じこと。すっかり日用品になってしまったはずのPCでも「変なモノ」がアキバから売られていくのと同じように、ホビーでも、萌えでも、家電でも、「変なモノ」が一番に売られるアキバでありつづけてほしい。そう、思います。

 私が心配せずとも、そうなるに決まっている気もしますけど(笑)


(AKIBA PC Hotline! チーフ 鈴木 光太郎)




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