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Googleと生き、Googleで死ぬ(かも) あるブログ運営者の苦悩

数カ月前からGoogle検索に起きている異変を感じている人はどれぐらいいるでしょうか?

昨年秋に行なわれたGoogle検索の大規模アップデートによって検索結果は大きく変化し、今年18年目を迎えた筆者のブログと生活に大きな影響を及ぼしています。

Googleと生きてきた18年

筆者が運営しているブログ「携帯総合研究所」は、スマートフォンやタブレット、アプリ、サービス、アクセサリを総合的に取り扱っています。

筆者がブログを立ち上げたのは約18年前の高校生の時。当時はウェブの知識がなくてもネット上に自分のページを作って友達と繋がることができるmixi全盛の時代でしたが、mixiを完全にスルーしてHTMLやCSSの知識が必要なブログを立ち上げました。

最初はただの日記でしたが、当時から好きだった携帯電話を取り扱う専門サイトに変更。携帯電話とブログにハマってから部活動は幽霊部員になり、学校が終わるといち早く帰宅して休み時間にメモしたネタをもとにして更新していました。

そんな生活を送っていたある日、学校の授業で「"グーグル革命"の衝撃 あなたの人生を検索が変える(NHK/2007年1月21日)」を見ることに。

番組の内容はGoogleの検索サービスが人々の生活を大きく変化させていて、どのように変化しているのかを伝えるもので、成功例として登場したジョン・ゲールは自分と同じ携帯電話をテーマにしたブログを運営し、Googleの広告配信サービスGoogle AdSenseを通じて月に7,000ドル以上の広告収益を得て大学を退学。ブログを本業として生活していました。

YouTubeやインフルエンサーなど、今でこそネットを本業にして生活することはめずらしいことではありませんが、当時は個人がネットで稼ぐことは難しく、ましてやネットで稼いだお金だけで生活できるなんて夢のような話。ブログって芸能人が日記書くところでしょ? Googleって何? 検索と言ったらヤフーでしょ。といった人がほとんどだったと思います。身の回りではGoogleの存在すら知らない人がほとんどだったのに対して、海外ではGoogleでネット検索するどころかGoogleに依存して生活まで送っている人がいることに大きな衝撃を受けました。

番組を見たとき既にGoogle AdSenseを通じて広告を掲載していたような気もしますし、番組の影響を受けた後だった気もしますが、いずれにしても番組の影響でブログの収益化を本格的に開始。バイトも辞められる程度には稼いでいたような気がします。そんな生活は進学後も就職後も続きました。

目指していたわけでもありませんが、ついにジョン・ゲールと同じようにブログを本業にして生活することを始めて、すでに10年以上が経ちました。“好きなことで、生きていく”はYouTubeの有名なキャッチコピーですが、それをブログで実現していた生活がずっと続けばいいな(でも続かないだろうな)とは思っていましたが、突然危機が訪れました。

冒頭でも書いたGoogle検索の大規模アップデートがやってきたのです。

Googleで死ぬ(かも)

スマートフォンのようにGoogle検索も定期的にアップデートされています。

不正行為で検索結果の上位に表示されていたサイトを冷遇したり、逆に質の高い充実したコンテンツを提供するサイトや信頼性の高いサイトを優遇することがあり、多くは微調整的なアップデートですが、年に何回か大規模なアップデートが行なわれます。

これまで長年ブログを運営してきて一度も検索アップデートによるマイナス影響を受けることなく右肩上がりで成長していましたが、2023年秋に実施された検索アップデートが直撃して右肩下がりどころか肩ごともげるほどの影響を受けました。

これだけでは終わりません。追い打ちをかけるようにGoogleディスカバーにまったく掲載されなくなりました。

Googleディスカバーとは、興味や関心に関連したコンテンツが表示される機能で、Androidスマートフォンではホーム画面を右にスワイプするだけで表示されるため、名前は知らなくても使ったことがある人も多いはず。

Googleディスカバー

ここに掲載されると多くの人が記事を見てくれますが、検索アップデートと同時にGoogleディスカバーからの流入がほぼゼロになりました。

昨年秋の検索アップデート後、Googleディスカバーに個人サイトや個人ブログの記事が配信されることはほぼありません。Googleディスカバーは、Google検索の一部と案内されており、検索アップデートが影響したことは間違いないでしょう。

結果的にGoogle検索からの流入は前年比で半分以下に落ち込み、そして翌月には1/3に。それ以降も上昇気配は一切なく、まだまだ減少が続いています。当然、収入も目も当てられないほど落ち込み、気分も落ち込んでいます。なんと言ってもまだまだ底が見えないのが恐ろしい。

アップデート後のGoogle検索とGoogleディスカバーの傾向から個人運営のサイトが狙い撃ちされた可能性はとても高く、実際に競合するブログやブログ仲間も同じような悲鳴を上げています。

この影響が今後も続くようであれば、今年から来年にかけてブログを含む個人運営のサイトやサービスの多くが閉鎖したり、更新頻度が大幅に減少することになりそうです。

筆者も例外ではなく、どこかで今年18年目を迎えたブログに見切りをつけて次に進まなくてはいけません。

ネット検索は大変革期

Open AIのChatGPTやGoogleのGeminiのような会話形式でAIとやりとりできるチャットボットAIが登場したことによってネット検索は大きな変革期に入っています。

将来的にGoogle検索は使われなくなるかもしれませんが、今のChatGPTやGeminiは正しいフリをしてデタラメな情報を教えてくることもよくあります。これは生成AIを活用した検索機能の大きな問題です。

そこでGoogleは生成AIの回答がGoogle検索にも存在するのかを確認することで、信じても良い情報なのかそうでない情報なのかを判断できるダブルチェック機能をGeminiに追加しています。

Geminiの回答がGoogle検索でも見つかった情報はセーフティを示す緑でハイライトされ、回答と異なる情報が見つかった、または関連性のある情報が見つからなかった場合、つまり怪しいと思われる回答がオレンジでハイライトされることで、パッと見で信ぴょう性を確認できる便利な機能です。

Geminiのダブルチェック機能

ただし、Google検索にデタラメな情報が存在してそれを拾ってしまった場合、間違った情報の信ぴょう性を高めることになりかねません。

ただの推測なので合っているのかはわかりませんが、そう考えるとGoogleが個人サイトを冷遇した理由もわかる気がします。これまでは質の高い記事が優遇されていましたが、現在は信ぴょう性の高い記事が優遇されているのかもしれません。

好きなことで、生きた後、、、

ブログを始めて18年間、好きなことで、生きてきましたが、もちろんいつまでも続くとは思っていませんでした。

それでも感覚的にあと5年ぐらいは固いなとは思っていましたが、そう思っていたわずか1年後にこうなったのでわからないものです。

これを機にいろんなことにチャレンジしようと思い、毎月新しいことに手を出すことにしました。これまでひたすら記事しか書いてこなかったのでスキルの再構築です。

昨年12月には、GPT-4にブログ記事の本文を3行に要約させたり、SNSに投稿する際の文章を生成させたり、本文と関連性の強い画像を生成するコードを組み、1月にはGemini Proに対応。プログラミング言語のPythonを使ってYouTube動画の字幕生成プログラムを組み、2月にはこうしたライター活動も始めました。

3月は何をやろうか。こうやって日を重ねていくうちにまたGoogle検索がこっちを向いてくれたらいいな。

ちなみに、筆者が衝撃を受けたGoogle検索で成功を勝ち取ったジョン・ゲールのブログは、番組放送から1年後の2008年の投稿を最後に更新が途絶えています。ブログの運営期間は約5年。憧れの存在だった彼の3倍以上も長く運営できたことを考えれば、よくやった方かもしれません。

Yusuke Sakakura

スマートフォンやタブレット、アプリ、サービス、アクセサリを総合的に取り扱うブログメディア「携帯総合研究所」を運営しています。高校生のころに立ち上げて今年で18年目に突入しました。趣味はNBA観戦。