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タウンユースで活躍するアウトドア系ジャケット 「3in1」「コート丈」が人気

保温性能や動きやすさなど、機能性に優れたアウトドア系のジャケット。最近はアウトドア色を感じさせないカラーやデザインが採用され、タウンユースで使いやすいモデルが多く揃っています。今年は暖冬の予報も出ているので、どんなものが売れているのか気になるところです。そこで、アウトドアメーカーのジャケットを多く取り揃えるエルブレス新宿店のマネージャー・本間千春さんに、今期の売れ筋やおすすめのモデルを聞いてきました。

「アウトドアジャケットの購入を検討されているお客さまには、まずダウンジャケットと化繊のジャケットの違いをご説明します。この冬は暖冬と言われているので、暖かくボリュームのあるダウンよりも化繊を使った『3in1』が人気です。暖冬といってもどのくらいの寒さになるかわからないし、一気に冷え込むこともありそう、とアウター選びに迷っている方が多いようで、寒さの度合いによって応用が利く3in1が注目されています」

エルブレス新宿店 チーフ 横山夕奈さん

ダウンジャケットと化繊のジャケットではどのような違いがあるのかも聞いてみました。

「ダウンは保温性が高いため、暖かさや軽さを重視される方におすすめです。化繊は保温性はありつつも暑くなり過ぎないのが特徴。電車通勤の場合、ダウンではボリュームがあり過ぎて座った時にジャマになる、厚みがあるので脱ぐのが面倒、という方には化繊をご案内しています。また、ダウンは定期的にメンテナンスをしないと中身がへたって保温性能が下がってしまいますが、化繊は自宅で洗濯できてお手入れしやすいものが多いのもメリットです」

エルブレス新宿店 5階 メンズトレッキングウエアフロア

暖冬を見越してニーズが増えている「3in1」

アウターとインナーを連結&脱着することにより3WAYの着こなしが楽しめる「3in1」。インナー単体、アウター単体、インナー&アウターをセットで、と3通りの使い方ができるので、寒さの度合いによって使い分けることができます。

「なかでも人気があるのはザ・ノース・フェイスの『カシウストリクライメイトジャケット』です。インナージャケットには保温性に優れ、濡れにも強いプリマロフトという化繊素材を使用。そのため暑くなりすぎず、快適な着心地です。スーツを着る方からは『内ポケットが重宝する』という声も聞きます。アウタージャケットは防水透湿性の高い2層構造の独自素材をっている機能性の高い1枚です」

ザ・ノース・フェイス カシウストリクライメイトジャケット(41,800円)
ファスナー式の内ポケットを装備
インナー、アウターともにロゴの刺繍は表地と同色で主張しすぎないのも好評

もうひとつのおすすめは、コロンビアの「クローバーデイルインターチェンジジャケット」だと本間さん。コスパが最強でビジネスシーンでも使いやすいと話します。

コロンビア クローバーデイルインターチェンジジャケット(26,950円)。ゆったりとした着丈で胸元にはポケットも

「アウターはコロンビア独自開発の防水透湿素材『オムニテック』を採用していて、濡れやすい部分にはシームテープを使って防水性を高めています。インナー、アウター、両方の裏地に体の熱を反射しながら温かさを蓄えるオムニヒートを使っているのもポイントです。3in1の場合、アウターは防風や撥水の機能だけ、というイメージが強いですが、このアウターは薄くてもしっかり暖かいので1枚でも安心。そのため寒くなり始めから本格的に寒い時期まで、ロングシーズン活躍してくれます」

ライナーの両サイドに内ポケットが2つあるのも便利
インナーだけでなくアウターの裏地にもアルミニウムをドット状に加工したオムニヒートを採用

新商品やトレンドのデザインなど今期注目のアイテム

3in1以外で今期売れているアイテムや注目のアイテムを聞いてみると、ダウン、化繊それぞれに特徴があるジャケットを紹介してくれました。

「WILDTHINGSの『モンスターパーカー』はコートっぽい丈感で、Aラインのゆったりとしたシルエットが人気のモデル。アウトドアブランドですが、光沢のないマットな表地はシックなスタイルにも合わせやすく、ジャケットスタイルでも窮屈な感じにならないと好評です。保温性、軽量性、柔軟性、撥水性、通気性、収納性と優れた機能が満載のマイクロファイバー素材『プリマロフト』を採用しているので、薄手でも頼もしい1枚です」

WILDTHINGS モンスターパーカー(47,300円)。襟部分にはフードを収納
丈が長いのでジャケットが裾からはみ出て不格好になることもない

ブランド人気が高いザ・ノース・フェイスからは2023年秋冬のニューモデルが登場。しっかりとしたダウンが入ったハイロフトの「オルタレーションバフズジャケット」は、落ち着きのある色味のカラー展開でタウンユースでも使いやすいと注目されています。

「表地には撥水加工を施したナチュラルな風合いのナイロン素材を使用し、裏地には『ゴアテックス ウィンドストッパー』2層構造を採用して風の侵入をガードするというニューモデルならではの高機能です。形自体は同ブランドで例年人気のバルトロライトジャケットを継承したスマートなスタイルに。XS~LLまでサイズ展開も幅広いので好みのサイズ感をお選びいただけます」

ザ・ノース・フェイス オルタレーションバフズジャケット(59,400円)。色はブラックのほか、アーバンネイビー、ベージュカラーのフォールンロックを揃えている
袖には「ゴアテックス ウィンドストッパー」のロゴが

次に紹介してくれたのは、エルブレスを含めたゼビオグループのみで展開するスイスのアウトドアブランド「ロジャーエーガー」のジャケット。1970年代から続く歴史的なブランドながら、一時日本から撤退。昨年から再びゼビオグループで商品展開を始めたブランドです。

「ロジャーエーガーの『Octa フーディージャケット』は中綿と裏地を一体化した『オクタ』というポリエステル素材を使用しているのが特徴です。ポリエステルの繊維は円柱型が多いのですが、オクタは8つの突起があるため軽く、速乾性がよくなっています。袖にゆとりがあるシルエットなので、厚手のインナーの上からも羽織ることができますよ」

ロジャーエーガー Octa フーディージャケット(29,700円)。表地はストレッチ性のあるリップストップ素材を使用
Octaの繊維構造を記したタグ。中綿と裏地が一体化しているため中綿の吹き出しや片寄りが少ない

ロジャーエーガーのOctaシリーズにはフードがないノーカラージャケットもあり、好みで選べるのもうれしいところ。どちらも軽量なので付属のポケッタブル袋に入れて気軽に持ち運ぶことができます。カラーは共にブラック、オリーブ、ブルーの3色展開。

ロジャーエーガー Octa クルージャケット(26,400円)

冬本番に備えて買う人が増える定番の人気モデル

アウトドアジャケットはマイナーチェンジを繰り返し、長年愛され続けているアイテムが多くあります。今期も人気の定番アイテムがあるかどうか聞いてみました。

「ザ・ノース・フェイスの『ビレイヤーパーカ』は毎年売れているアイテムで、今期も買い求めるお客さまが多くいらっしゃいます。表面が濡れているアウターの上からも重ねて着ることができ、デイリーユースでも寒い地域への旅行でも使いやすいモデルです。表地には『ゴアテックス ウィンドストッパー』を、中綿にはザ・ノース・フェイスと素材の会社が共同開発した自分の輻射熱を利用して温かさを持続する『光電子ダウン』を採用。縫い目がない圧着タイプなので、中綿が出にくく長く使うことができます」

ザ・ノース・フェイス ビレイヤーパーカ(64,900円)
内ポケットやグローブを乾かすための大型メッシュポケットなどの収納スペースも豊富

腕まわりがゆったりつくられているため動きやすく、重ね着がしやすいのも人気の秘密。他のアイテムと比べると若干値が張りますが、丈夫で長く使えるためエコにも繋がります。

もうひとつの定番は、極寒地で活躍するフォックスファイヤーの「オーロラジャケット」。高級なダウンジャケットですが、こちらもインナーとアウターをセパレートで使える3in1モデル。今年は海外旅行に出かける方も多いので、北欧などの寒い場所に行く時にはぜひ持っていきたいジャケットです。

フォックスファイヤー オーロラジャケット(107,800円)

「アウターシェルにはゴアテックスの中でも防水・防風性、耐久性に優れた『ゴア パフォーマンス』という素材を採用した、過酷な環境下でも頼れるジャケットです。インナーダウンも厳しい基準をクリアした軽量で柔らかなダウンを使用するなど、あらゆるところに最新の技術が詰まっています。フード部分には氷点下で濡れても凍らないように天然のファーを使っているのもポイントです」

今年は寒くなるのが遅れているので、冬本番のアウター選びはこれから、という人も多いはず。アウトドア系のジャケットはタウンユースで取り入れやすかったり、スーツに合わせることができたりと用途の幅が広がっているので、自分の生活スタイルや目的に合ったジャケットを選んでくださいね。

エルブレス 新宿店(東京都新宿区新宿4-1-11)

価格は12月4日の取材時点の税込価格です。

中野悦子