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双眼鏡で星を見ると感動間違いなし! 選び方のポイントは?

明るい星がきらびやかな冬の星座と天の川(撮影:飯島裕)

冬の日本列島太平洋側の地域では、乾燥した晴天が続き空気も澄んで、星の光がキラキラとてもきれいに見えます。明るい星が目立つオリオン座や冬の大三角など、目で見ているだけでも楽しいですが、そこに双眼鏡が1台あると、星空の楽しさが何倍にも広がります。

スポーツ観戦やコンサートなどで双眼鏡を使うのは、まったく普通なことになりましたが、同じように星空にも双眼鏡を向けてみませんか? 肉眼だけではわからない星空の美しさがそこにあります。双眼鏡で見る星の光に大きく感動すること間違いありません。

双眼鏡で星を見ることの楽しさとは?

宝石のような天体が星空にたくさん見つかります(撮影:飯島裕)

簡単に言えば、双眼鏡は倍率の低い望遠鏡を2本並べ、両目で対象を観察する光学機器です。もちろんご存知でしょう。その双眼鏡を使うメリットは、大まかに次の2つのことです。

  • 大きく見えるので、対象の細かなところまで見えてくる。
  • レンズで光を集めるので、肉眼で見えにくい暗いところが見やすくなる。

それが星空を見るときにどのような意味を持ってくるのでしょう。たとえば、こんな面白さが……。

  • 視野いっぱいに明るい星や暗い星が、信じられないくらいたくさん見えてくる
  • 一つ一つの星の光が鋭くて、瞬きが美しい
  • 星の青っぽい色とか赤っぽい色がよりハッキリとわかるようになってきれい
  • 冬空に激しく瞬く一等星「シリウス」の色の七変化がすごい
  • 肉眼だと淡い光の帯にすぎない天の川が、たくさんの星の集まりだとわかる
  • 天の川あたりに小さな星が密集した「すばる」などの「散開星団」の星たちがとてもきれい
  • 肉眼ではよく見えない「オリオン大星雲」のような「ガス星雲」の淡い光に宇宙の奥行きを感じる
  • 私たちの銀河系のお隣の銀河「アンドロメダ銀河」の大きさにびっくり
  • 三日月のときに欠けた部分がうっすら見える「地球照」が神秘的
  • 半月の欠け際にクレーターが見える
  • 満月のウサギ模様が細かな所までよくわかる
  • 大きなクレーターから放射状に伸びる「光条」もよくわかる
  • 木星にくっついて並ぶ四大衛星「ガリレオ衛星」がかわいい
  • またたく星を背景にした夜間飛行の旅客機の灯がロマンチック
  • 星空に伸びてゆく飛行機雲が月の光に照らされて
  • 星のように光ってスーッと軌道を巡る人工衛星がいくつも
  • たまに視野の中を小さな流れ星が!
  • 流れる雲を透かして見える星や月まで光が美しい

……などなど、双眼鏡ならではの星空の見どころがたくさんあるのです。

さて、そのような星空の魅力を堪能するには、どのような双眼鏡を選んだら良いでしょうか。

星を見る双眼鏡にはどんなタイプがある?

左:ポロ型、右:ダハ型、手前:ガリレオ式(撮影:飯島裕)

ひと口に双眼鏡と言っても、いろいろなタイプがあります。量販店の双眼鏡コーナーにはいろいろな形の双眼鏡が並んでいますよね。「双眼鏡」と言った場合、普通は「プリズム双眼鏡」を指します。誰もが最初に思い浮かべる双眼鏡ですね。

これは「対物レンズ(物体側のレンズ)」に凸レンズ、「接眼レンズ(目側のレンズ)」も凸レンズ系の組み合わせ(ケプラー式)です。これだけだと天体望遠鏡のように天地が逆に見えてしまいますから、途中にプリズムを入れて正立像にします。だから「プリズム双眼鏡」です。

この正立プリズムにはいくつかの種類があります。大きく分けて「ダハ型」と「ポロ型」のふたつ。

ダハ型の機種は、対物レンズと接眼レンズが一直線になってスリムな外観です。現在では最も一般的な形式と言えるでしょう。この形式はプリズムにコストがかかるのでやや高価です。

ポロ型は、対物レンズと接眼レンズが食い違っているのが特徴です。小さなモデルでは対物レンズを内側に寄せて非常にコンパクトにしたモデルもありますが、大きめの機種は対物レンズを外側に置いています。「双眼鏡といえばこれ」的なトラディショナルな外観です。これは対物レンズの間隔が広いので、視野の立体感が優れるという特長があります。性能の割に安価です。

双眼鏡には、対物レンズに凸レンズ、接眼レンズに凹レンズの組み合わせ(ガリレオ式)のものもあります。これは「オペラグラス」と呼ばれたりしますが、この光学系で星空観察用にごく低倍率で広い範囲が見える機種が作られています。「星空双眼鏡」とか「星座双眼鏡」などと呼ばれ、天文ファンにも人気があります。

最近では、内部のレンズやプリズムを電子制御で駆動して気になる手ブレをキャンセルしてくれる「防振双眼鏡」も一般的になってきました。高価ですが、最近は手の届きやすい機種も増えてきました。高倍率でも観察しやすく魅力的です。

ピント合わせの方式は2種類

双眼鏡を使うときには、観察対象にしっかりピントを合わせる必要があります。ピント合わせには、「CF式(Center Focus:中央ダイヤル繰り出し式)」と「IF式(Individual Focus:左右単独繰り出し式)」があります。

CF式は、中心軸に設けられたピントダイヤルを回すだけで左右両方のピント合わせができます。観察対象の距離が一定しない自然観察、スポーツ観戦、コンサートなどでピント合わせがすぐに出来るので便利。ほとんどの双眼鏡はこの形式になっています。ただし構造がやや複雑になるので、出来の良くない機種ではピントが不安定で快適に使えないものもあります。信頼できるメーカー製品を選びましょう。

CF式(撮影:飯島裕)

IF式は、左右それぞれ別々にピント合わせをします。この方式は構造が簡単で丈夫、光学的な精度や内部の気密性も保ちやすいので、防水性も求められる航海や監視などのプロ用業務機に多く採用されています。

IF式(撮影:飯島裕)

星空の観察ではいつもピントは無限遠なので、IF式で問題はありませんし、夜露に濡れる可能性もある星空観察では防水の安心もあります。人の目自体にピント合わせの幅がありますから、それほど近距離でなければ星のピントのままで地上観察をすることも問題なく出来ます。

星を見る双眼鏡のスペックは?

双眼鏡のスペック表記(撮影:飯島裕)

双眼鏡を選ぶときは、どのようなスペックに注目したら良いのでしょうか。ここがいちばん知りたいところだと思います。もっとも一般的なプリズム双眼鏡のスペックについて説明します。

まず『倍率』から。これは、対象物が肉眼で見る何倍の大きさに見えるか? ということです。たとえば双眼鏡の倍率が10倍なら、月の大きさが目で見る10倍の大きさで視野に見えるということ。月までの距離が10分の1に近づいて見るのと同じとも言えます。

「倍率は高いほど良い」と考えがちですが、実はこれは大きな間違いです。双眼鏡は手で持って使いますから、倍率が高いとプルプルとブレてしまってよく見えないのです。通販などで60倍とか100倍などというような天体望遠鏡のような高倍率をウリにした双眼鏡を見ますが、このようなものに絶対に手を出してはいけません。

星を見るのにちょうどいい倍率はというと、6倍から8倍くらい。野鳥観察などだと8倍から10倍くらいのやや高めの倍率が好まれるようですが、星を見るときは7倍前後がよく使われています。

双眼鏡で倍率とともに重要なのが「対物レンズ」の『口径』です。

このレンズが大きいほど多くの光を取り込むことができるのです。だから、口径の大きな双眼鏡ほど星がたくさん見えることになります。その一方で口径が大きいほど本体が大きく重くなるので、手持ちで使用することを考えると、ほどほどにしておきたいところ。初めての星空用双眼鏡としては、口径30mmから40mmくらいの機種が良いでしょう。

ここで「倍率と口径の組み合わせ」に重要なバランス関係があることを知っておきましょう。『同じ口径なら倍率が低いほど視野が明るい』のです。それだけ暗いところでも見やすくなるわけです。つまり、星空を見るには口径が大きくて倍率が低い機種が適しているということ。

具体的に言うと、倍率6倍だと口径30mmくらい、7倍で口径35mmくらい、8倍で口径40mmくらいの機種がオススメスペックです。そういう意味でも、60倍とか100倍などという双眼鏡は「あり得ない」のです。ブレまくるばかりか、視野が暗くて昼間でもまともに使うことができません。

双眼鏡にはこの倍率と口径が表記されています。例えば、倍率6倍で口径30mmを「6×30」、8倍で口径40mmなら「8×40」と表し、それぞれ「ろくばい さんじゅう」「はちばい よんじゅう」などと読みます。

そしてもう一つ重要なのが『視界(見える範囲)』です。視界は景色の見える範囲を角度で表記します。例えば「7°」なら、自分の目から見込む角度7度の範囲が見えるということになります。これを「実視界」と言います。

なかなかイメージしにくいですが、自分の腕を伸ばしたときの握りこぶしの幅が約10度、月の見かけの大きさが約0.5度と知っておくといいかもしれません。実視界7度だと、直径が月14個分の円の範囲が見えるということですね。

この視界も双眼鏡の基本的なスペックなので、倍率や口径とともに表記されています。例えば「7×35 7.1°」というぐあいです。

双眼鏡を覗いたときに見える丸い視野の大きさを『見かけ視界』と言います。これは双眼鏡の仕様表に記されていることもありますが、倍率と視界の数値を掛け算することで概算できます。「7×35 7.1°」だと「7×7.1=49.7」で、この機種の見かけ視界はおよそ50度ということになります。

見かけ視界が狭いと細い筒を覗き込むようになり、見かけ視界が広いとパノラミックで気持ちの良い視野が楽しめます。一方で、見かけ視界を広くしようとするとレンズにコストがかかり、高価になってしまいます。

見かけ視界50度くらいが標準的な視界です。60度以上になると広視界タイプと言われますが、予算に余裕があるなら広視界型を選びたいところです。

つまり、星空を見るなら基本的に「低倍率・大口径・広視界」路線で行きたいということですね。

星座双眼鏡・防振双眼鏡も面白い!

ガリレオ式の1つ、サイトロン Stella Scan 3x48

ガリレオ式の星座双眼鏡では2倍から3倍程度、実視界15度くらい(覗く目の位置で変わります)のモデルが市販されています。

星空の広い範囲が見え肉眼よりも暗い星までたくさん見えるので、星座の星を観察したり、天の川の様子を楽しむのに適しています。街明かりで夜空が明るい都市部のように肉眼では星が少ししか見えない場合でも、多くの星が見えるようになって星座の形がわかるようになります。

双眼鏡で天の川を巡るのは最高の星空体験です(撮影:飯島裕)

星座双眼鏡で星空を流すように見るのは楽しいですよ。肉眼がパワーアップしたような明るい視野での星空散歩、オススメです。

また、星を見るには「低倍率・大口径・広視界」と書きましたが、手ぶれ問題をクリアした防振双眼鏡では、高倍率ならではの楽しい発見があります。

防振双眼鏡の1つ、キヤノン 10×32 IS

星の瞬きの美しさ、木星のガリレオ衛星の日々の動き、星雲や星団の詳しい様子、二重星の色の対比、月面のクレーターなど、高倍率ならではの面白さです。双眼鏡での星空観察に慣れてきたら、2台目の双眼鏡として考えても良いでしょう。

10倍を超えるような倍率だと三脚が欲しくなりますけれど、それが手持ちでバッチリ楽しめるのは防振双眼鏡の大きな魅力です。

双眼鏡の使い方のキホン

撮影:飯島裕

双眼鏡を気持ち良く使うには、正しく使う必要があります。とは言っても、それほど難しいことではありません。

まずは、アイカップ(接眼レンズの目当て)の高さを合わせましょう。ヘリコイド式に回転させて上下する機種や、ゴム目当てを折り返して調整するタイプがあります。裸眼で使用する人は長く伸ばした状態で、メガネ使用の人は目当てを下げたり折り返したりしてアイカップを低くしておきます。

接眼レンズの目当ての高さを調整します(撮影:飯島裕)

次いで、自分の目の幅と接眼レンズの間隔を合わせます。これを「眼幅調整」と言います。

双眼鏡を覗きながら中心軸で本体を折り曲げるようにして左右の間隔を調整し、左右の視野が「ピッタリ重なったひとつの円」で見えるようにします。中心軸に間隔の目盛りがある機種では、自分の数値を覚えておきましょう。

目幅目盛(撮影:飯島裕)

そしてピント合わせです。「CF式」の機種では、片側(通常は右側)の接眼レンズだけ単独でピント調整できるようになっています。「左右視度調整」と言い、これで左右の視力差を合わせます。接眼レンズを回転させる機種や、専用の視度調整ダイヤルで合わせる機種などがあります。

CF式では、まず最初に視度調整のない側(多くは左)の眼だけで覗き、中央のピントダイヤルでこちら側のピントを合わせます。次に視度調整側だけで覗き、接眼レンズや視度調整ダイヤルを回してもう一方のピントを合わせます。これで中央のダイヤルを回すだけで左右両方のピントが同時にしっかり合うようになります。

「IF式」の機種は、左右の片目ずつ覗いて接眼レンズを回転させて対象物が最もクッキリ見える位置に合わせます。目盛りがある機種ではそれぞれの数値を覚えておくと便利です。

アイカップの調整、眼幅調整、視度調整、ピント合わせ、それぞれをキッチリ合わせることで快適に双眼鏡を使えるようになります。実際にやってみると意外に簡単ですから、調整の基本はぜひマスターしておきましょう。

双眼鏡で星空観察のコツ

初めて双眼鏡を星空に向けると、見たい天体になかなか向けられなかったりします。そんなときは、まず見たい物に視線を固定したまま双眼鏡を目の前に持っていくようにします。すると自動的に見たいものが視野に入っているはずです。お試しください。

また星空を見るときは長時間上を見上げるので、どうしても首が疲れちゃいます。いっそのこと地面に寝転がってしまいましょう。断熱クッションがあるといいですね。これが最高です。車などで運べるときはリクライニング式のアウトドアチェアなどが快適ラクチンです。

よりじっくり観察したいときは、三脚アダプターでカメラ三脚に双眼鏡を固定します。ほとんどの双眼鏡に三脚アダプターが用意されているので、ひとつ用意しておくといいでしょう。

そこまでしないまでも、たとえば壁や柱にもたれるとか、車の屋根などに肘をつくだけでも視野が安定して観察しやすくなります。

そして星空観察にいちばん重要なのは、星そのものがよく見えること。海や山など、人里から離れたところで見る双眼鏡の星は、その星の数に圧倒されます。大きめの星雲や星団もじゅうぶんに双眼鏡の守備範囲。散開星団は天体望遠鏡よりも双眼鏡の方がキレイです。そして双眼鏡で見る天の川は圧倒的です。

このような淡い天体や天の川は月の無い夜に観察しましょう。観察対象となる天体の位置、月の情報など、天文系のサイトやアプリなどで調べておくといいでしょう。天体の知識があれば、星空を眺める楽しさが何倍にも広がります。そして、月が空にあるときには月そのものを。月の前を流れる雲も双眼鏡で最高にキレイに見えます。

この冬空には赤い火星が接近中で明るく輝いています(撮影:飯島裕)

ドライブが好きな人は、車にいつも双眼鏡を積んでおくと良いですね。いつでもどこでも、サッと手にして観察できるのが双眼鏡の最大の楽しさです。

このメーカーを選んでおけば安心・快適!

双眼鏡メーカーはたくさんあり、用途に応じてさまざまなスペックの機種をラインナップしています。

スタンダードライン

カメラで有名なメーカー・ブランドの製品は品質が信頼できるものです。初めての星空観察に適したスタンダードラインの双眼鏡として、「ニコン」、「OMデジタルソリューションズ」(元オリンパス映像事業部)、「リコーイメージング」(ペンタックスブランド)の製品が挙げられます。

  • ニコン「PROSTAFF P7 8x42」
    ダハ型/8×42/実視界:7.2°/152×130×55mm/590g
  • ニコン「アクションEX 7x35 CF」
    ポロ型/7×35/実視界:9.3°/120×184×62mm/800g
  • OM SYSTEM「8×40 S」
    ポロ型/8×40/実視界:8.2°/142×183×60mm/715g
  • PENTAX「JUPITER 8x40」
    ポロ型/8×40/実視界:8.2°/132×188×58mm/735g
ニコン PROSTAFF P7 8x42(ニコンダイレクト価格:25,300円)
ニコン アクションEX 7x35 CF(ニコンダイレクト価格:24,750円)
OM SYSTEM 8×40 S(OM SYSTEM STORE価格:10,890円)
PENTAX JUPITER 8x40(リコーイメージングストア価格:8,910円)

望遠鏡などの光学機器メーカー製品にも、高品質で星空に適した機種がたくさんあります。

「ビクセン」は国内最大級の光学機器メーカー。天体望遠鏡で広く知られていますが、もちろん双眼鏡のラインナップも非常に豊富です。

「興和オプトロニクス」は医薬品や医療用機器で有名な興和の関係会社です。業務用レンズや映像機器の開発製造をしており、かつてはカメラも作っていました。スポッティングスコープや双眼鏡で有名な「PROMINAR」ブランドをはじめとした製品が自然愛好家に好まれ広く使用されています。

そんな中から星空観察に適したモデルをピックアップします。

  • ビクセン「APEX J HR8×42WP」
    ダハ型/8×42/実視界:7.0°/133×149.5×52mm/605g
  • 興和オプトロニクス「BDII32-6.5 XD」
    ダハ型/6.5×32/実視界:10.0°/全長:116mm/535g
ビクセン APEX J HR8×42WP(38,500円)
興和オプトロニクス BDII32-6.5 XD(53,240円)

防振モデル

現在、カメラでは手ブレ補正が一般的になりましたが、双眼鏡でも高倍率で気になる手ブレを補正する防振モデルが販売されています。高倍率で星を楽しみたいというときにおすすめの機種をご紹介。

「キヤノン」や「富士フイルム」はカメラメーカーとしてとても有名ですね。「ケンコー・トキナー」は写真を撮る人にはレンズやカメラ用品でよく知られていますが、双眼鏡・天体望遠鏡・顕微鏡なども多く扱っている会社です。

  • キヤノン「10×32 IS」
    10×32/実視界:6°/142×171×77mm/780g
  • 富士フイルム「FUJINON TECHNO-STABI TS12x28」
    12×28/実視界:4.2°/109×148×74mm/485g
  • ケンコー・トキナー「VCスマート 14×30WP」
    14×30/実視界:4.4°/124×147×51mm/535g
  • ビクセン「ATERA II H14×42WP」
    14×42/実視界:3.8°/117×181×68mm/559g
キヤノン 10×32 IS(キヤノンオンラインショップ価格:158,950円)
富士フイルム FUJINON TECHNO-STABI TS12x28(富士フイルムモール価格:77,000円)
ケンコー・トキナー VCスマート 14×30WP(86,000円/税別)
ビクセン ATERA II H14×42WP(96,800円)

ガリレオ式

「サイトロン」は、開発設計からレンズや部品の製造組み立てまで一貫して行なっている光学機器メーカー。ハンティング用スコープや双眼鏡のほか、天体観測機器も多く扱っています。

「笠井トレーディング」は天体観測機器の開発・輸入・販売をしている会社で、マニア心を刺激する製品が天文ファンに愛用されています。

そんな会社が扱っているガリレオ式の「星座双眼鏡」です。ちなみにガリレオ式双眼鏡の視界は覗く目の位置で変わりますので、数値は目安です。

  • サイトロン「Stella Scan 3x48」:3×48/視界(目安)
    約17°/56x56x128mm/300g
  • 笠井トレーディング「CS-BINO 2×40」
    2×40/視界(目安):約24°/37×50×121mm/230g
サイトロン Stella Scan 3x48(シュミット価格:14,800円)
笠井トレーディング CS-BINO 2×40(9,900円)

初めての星空観察に適している双眼鏡をメーカーごとに紹介しましたが、各社さまざまな機種を販売しています。より高性能・高機能・高品質なモデルもラインナップされているので、ホームページやカタログを調べてみると良いでしょう。

また、双眼鏡には品質を極めた超高級なモデルも存在します。ドイツの「ツァイス」や「ライカ」、そしてオーストリアの「スワロフスキー」の3社が特に有名で、高級双眼鏡の「御三家」などと言われています。これら製品は、ため息が漏れるような光学性能はもちろんのこと、操作性や質感もたいへんに優れています。なかなかに高価なのですが……。

これらメーカーの超高級機は実機に触れる機会が少ないですが、天文や野鳥のイベントなどで展示されることもあります。実際のフィールドで試用することもできるので、そのような情報にも注目してみましょう。

もちろん日本のメーカーにもこれらの超高級機に匹敵するモデルもありますので、双眼鏡での星空観察に興味が湧いたら、ぜひ調べてみてください。そこには広くて深い双眼鏡の世界が広がっています。

飯島裕

1958年埼玉県生まれ。1969年のアポロ11号月面着陸の際、はじめて天体望遠鏡で月を見て天文の面白さにはまったアポロ世代。大学卒業後、広告制作会社のカメラマンに。1986年からフリーの写真家として独立。現在はおもに広告、雑誌、書籍などの写真を撮影。科学関係雑誌や天文情報誌などには執筆も行ない、国立天文台の広報関係の撮影も担当している。科学的な天体写真をベースに表現性も付加した、いわゆる星景写真に早くから取り組む。