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機能性レンズが充実。「メガネの選び方」をJINSに聞いた

新型コロナウィルス感染症の影響を避けるために多くの人々が在宅生活を続ける中、眼鏡を着けて過ごす時間が長くなったと聞きます。筆者も眼鏡ユーザーですが、この頃ショップに立ち寄るとフレームやレンズの種類がとても増えているようです。

眼鏡に関する最新のトレンドと、十人十色の目的やお悩みにも答える「上手な選び方」を、眼鏡の販売本数日本一を誇る人気アイウエアブランド、JINS(ジンズ)の広報担当・岡田真里奈氏に聞きました。

ジンズ 広報 岡田真里奈氏

2020年の春に始まったコロナ禍は眼鏡業界やジンズが展開する商品の売り上げに影響を与えたのでしょうか。岡田氏は手応えをこう語ります。

「他業界同様、JINSもコロナ禍でさまざまな影響を受けました。ただ、多くの方々にとって眼鏡は生活の必需品であるため、どんな状況下であってもしっかりと商品やサービスを届けるべく、オンラインショップでの販売を強化するなどさまざまな取り組みを行ないました。

そして、在宅生活の中で眼鏡を着用する時間が増えたことから、長時間のパソコン作業用として目をブルーライトから守るレンズや、軽くて頭部を包み込む形状のヒンジレスフレームが好調に推移するなど、新たなニーズも生まれています。ブルーライトカット機能付きの眼鏡は、視力が良い方もお買い求めになれれています」

年齢による見え方の変化をサポート「累進レンズ」

在宅ワークの機会が増えると、どうしてもパソコンの画面に長い時間クギ付けになりがちです。振り返れば直近1~2年の間に手もとが見えづらくなったり、反対に遠くの景色がぼやけて見えるなど、視力の低下を実感するようになったという方も多いと思います。

働き盛りの世代の視力低下におすすめのレンズはあるのでしょうか。ジンズの岡田氏は「累進レンズ」が最適だといいます。

累進レンズは1枚のレンズの上下部が異なる度数に設計されたもの。種類は「遠近・中近・近近」の大きく3タイプに分けられ、遠近の場合は遠くも近くも見えやすくなります。

それぞれどういった人に向いているか岡田氏に聞くと、「いずれも手元がはっきりと見えるのが共通ですがその上で、遠近は車の運転や屋外で遠くを見る機会が多い人、中近は2~3m先など少し離れた距離をよく見る人、近近はパソコンやスマホなど手元から少し先をよく見る人にオススメしています」とのことです。

累進レンズは遠近・中近・近近の3タイプに大きく分けられます(出典:ジンズ)

筆者も数年前に中近両用(中間と近くが見えやすい)の累進レンズを載せた眼鏡を作りました。視線を頻繁に移しても見え方に違和感はありません。普段から眼鏡を2本持ちする手間が省けることが何よりのメリットです。

累進レンズはジンズ以外のブランドも扱っているので、視力の低下を実感されたら、まずは近くの眼鏡店などに相談してみることをオススメします。

カラーレンズを気軽に使う人が増加

ジンズの社内には、製品やサービスの研究開発を専任とするR&D部門のエキスパートがいます。また、これまで大学や研究機関等との産学連携も積極的に押し進めてきました。

2021年にはスマートグラス「JINS MEME(ジンズ ミーム)」の第2弾モデルも発売。ユーザーの「ココロとカラダの状態」をリアルタイムに可視化し、セルフケアをサポートするメガネです。これまでにない製品やトレンドを生み出してきたジンズでは、今どういった製品が売れているのでしょうか。

「目的別・機能別で選べるレンズ製品を多く揃えていて、その中でも特にカラーレンズが幅広い世代に人気です」とのこと。期待される主な用途は、サングラスとして陽射しのまぶしさを軽減するほか、紫外線から目を守るため。

「カラーレンズ」が幅広い世代に人気

「従来は色の濃いサングラスがほとんどでしたが、コロナ禍でマスクをした上でサングラスも掛けるとなると、顔の大部分が隠れてしまうので、どうしても顔の印象が重くなります。まぶしさを抑えたいけれど濃すぎるものは避けたい、と考える方が多いようです。

ジンズでは今年の3月にカラーレンズのバリエーションを38色の独自カラーに刷新したのですが、色が薄く眼鏡をかけた状態でも顔の印象が明るくなるものが大変好調です」(岡田氏)

筆者もこの夏にジンズでカラーレンズの入った眼鏡をまぶしさ避けのために買いました。フレームの価格に3,300円を足せば、度入りで紫外線カット機能を載せたカラーレンズの眼鏡が作れるのでお得感があります。色が薄いので普段使いの眼鏡としても使えるのもメリットです。

カラーレンズのラインナップ

目もとを華やかにする「チークカラーレンズ」が人気な理由

カラーレンズの新しいバリエーションとして、2021年秋から発売されている「チークカラーレンズ」は女性を中心に人気なのだとか。その理由は、顔に血色をプラスして明るく華やかな印象を与えてくれるからです。

レンズの下半分に薄いグラデーションカラーを入れたチークカラーレンズは、眼鏡を掛けた状態でチーク(頬紅)を入れたような視覚効果を与えます。

カラーはピンク、ピーチピンク、ボルドーの3色。薄く淡い色合いなので、眼鏡をかけている本人は特に気になりません。

「チークカラーレンズ」が女性に人気。ピンク、ピーチピンク、ボルドーの3色で、チーク(頬紅)を入れたような視覚効果を与えます

もともとは「カラーレンズを普段掛けない方にも楽しんでほしい」という、女性のレンズ企画担当者によるアイデアからチークカラーレンズが誕生しました。

発売後は在宅ワークのオンライン会議の際、あるいはちょっとした外出が必要な場面で「メイクの時間と手間が軽くなる」という理由からも好評とのこと。今後は目もとの印象を手軽に変えられる「レンズの着こなし」にも注目が集まりそうです。

「メイクの時間と手間が軽くなる」という理由からも好評

アウトドアの視界が向上! 3つのおすすめレンズ

アウトドアで仕事や趣味の時間を長く過ごすようになった方々は、太陽光のまぶしさを抑えながら自然な色合いの視界が確保できるレンズを、使用シーンに合わせて選ぶとよいのだと、岡田氏は説明しています。

ジンズのレンズ製品の好例は、昼と夜それぞれの時間帯に車を運転する人のための「ドライブレンズ」。昼間は太陽光、夜間は対向車のヘッドライトや街灯のまぶしさをカットしつつ、色調差の少ない自然な視界を保持します。適切な可視光透過率を確保したレンズなので、十分に明るい視界が得られます。

運転時に適した「ドライブレンズ」。昼用と夜用をラインナップ

コロナ禍以降は、スマートウォッチやヘルストラッカーなどを身に着けて自身の健康管理・維持に勤しむ人も増えています。「ランニングレンズ」は屋外でのワークアウトに最適。まぶしさ避けと同時に明るい視界を確保するレンズはアウトドアレジャーの愛好家にも人気です。

室内では透明のクリアレンズなのに、紫外線の量が多い屋外に出ると次第に色の濃いサングラスに変わる「調光レンズ」も、同社の定番アイテムのひとつ。

普段使いの眼鏡とサングラスが1本で兼用できるので、荷物が少なく抑えられる便利な眼鏡として、筆者も以前に愛用していました。今は6色のカラーから選べるようになり、プライベートとビジネスシーンの兼用で使う人も増えているといいます。

「ランニングレンズ」も昼夜それぞれ用意
室内と屋外れ色が変わる「調光レンズ」

眼鏡フレームのトレンドにも変化が

フレームに関してジンズが注目しているトレンドは、全体的にボリューム感のある「太縁フレーム」。男女の垣根を越えて人気だそうです。確かに、アセテート樹脂やウッド(木)の太いフレームの眼鏡を身に着けている若い世代の方々を街中でもよく見かけます。

ジンズでは今年の秋から、通年で扱う定番商品を約7年ぶりに全面刷新。第1弾として8月29日より順次発売となる「JINS CLASSIC」シリーズは全44型166種類の商品を揃え、定番デザインのフレームには豊富なデザインを揃えます。

世代を越えて幅広いユーザーの好みに合わせた「個人最適化」ができることも、これからの眼鏡のフレームに期待されていることなのだと岡田氏は説きます。

フレームでは太く色の濃い「ボールド系」が流行っているそうです
定番商品を7年ぶりに刷新し、カラーバリエーションを豊富に用意

このほか、在宅ワーク中に眼鏡を着けて過ごす機会の増加に伴い、眼鏡を着けていることを忘れるほどに軽く、適度なホールド感のあるヒンジレスタイプのフレームがよく売れているそうです。

ヒンジとはフレームのフロントとテンプル(つる)の接続可動部。筆者はふだん眼鏡を乱暴に扱ってしまうので、この部分がないフレームは確かに魅力的です。

在宅ワークにより眼鏡の装着時間が増加したことから、ヒンジレスのフレームも人気(出典:ジンズ)

これまでジンズは主に20~30代のユーザーに支持されてきたブランドでした。定番商品を中心に今後はターゲットを10代からシニア層にも広げながら「自分だけのお気に入りの1本」が見つけられるラインナップをさらに充実させたいと岡田氏は話しています。

いまや眼鏡は視力の補正だけでなく、陽射しを避けながら見え方をサポートしたり、ファッション感覚で身につけたりと、カジュアルに使用できるアイテムにもなりました。目的や用途、装いに合わせながら着替えるなど「メガネで遊ぶ」感覚もぜひ楽しんでみてください。