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マック、スタバ、すき家など。増えてきた「モバイルオーダー」を色々試す

飲食店のメニューをスマートフォンから注文できる「モバイルオーダー」という仕組みが広がっています。

特にカウンターなどで事前に注文してから商品を受け取るファーストフードやカフェでは、注文のための行列を減らすという店側のメリットに加え、自分の時間でじっくり注文を決められるという客側のメリットもあり、大手の飲食店で導入が進んでいます。

一口にモバイルオーダーといっても、事前に注文できるけれど支払いはお店というシンプルなもの、支払いまでクレジットカードで完結するがテイクアウトのみ、店内での飲食も事前に注文できるサービスなど、さまざまな形態があります。今回は、店内飲食対応を中心に代表的なサービスの特徴を紹介しますが、テイクアウト時の“行列待ち”にも活用できるはずです。

席まで商品を届けてくれるマクドナルド

店内飲食型のモバイルオーダーとして代表的な存在と言えるのが、マクドナルドの「モバイルオーダー」です。注文から支払いまでをスマートフォンで行なえるだけでなく、店舗によってはカウンターでの受け取りではなく席まで商品を持ってきてくれる「テーブルデリバリー」というサービスも提供しています。

モバイルオーダーはマクドナルドの全国約2,900店舗のうち2,700店舗、席まで持ってきてくれる「テーブルデリバリー」は約1,700店舗で提供されています。サービスの詳細については以前のレビューをご覧ください。

席で注文して商品が届く。マクドナルドの「モバイルオーダー」が便利

マクドナルドのモバイルオーダーでは、店外などでのメニューの決定と、店舗に到着した後のメニューの送信の2段階の注文になっています。到着後のメニュー決定も可能で、テーブルデリバリーに対応した店舗では、まず自分が座れる席を見つけて着席し、その席からメニューを決定し、送信することでオーダーが完了します。席で受け取る場合は席にある番号を入力することで、席から離れることなく商品を受け取ることができます。

商品をアプリから選択
テーブルデリバリー対応店舗は席で受け取れる
席の番号を入力
席に割り振られた番号

ファーストフードやカフェでは先に席を確保するよう依頼される店舗も多いですが、1人での入店では席を確保するために私物を置きっぱなしにするのも不安ですし、子連れの場合は子供だけを席に残すわけにもいきません。

商品が席まで届く

店内で食べるときだけでなく、テイクアウトでも待たずに受け取れる。ポイントが貯められない、支払い方法がクレジットカードとLINE Payのみ(4月7日時点)という細かな課題はあるものの、席から離れることなく注文と受け取りが完結するという点では非常に魅力的なサービスです。

商品はカウンターで受け取るバーガーキング。店内飲食に対応

同じハンバーガーチェーンのバーガーキングもモバイルオーダーに対応しています。基本的にはテイクアウトのためのサービスですが、店内飲食の注文も可能と記されています。

バーガーキングのアプリ

注文の大まかな流れはマクドナルドと変わりません。位置情報や検索機能を使って注文したい店舗を事前に決定し、その後注文したいメニューを選択。受け取り用の名前と電話番号を入力したのち、店内飲食か持ち帰りかを選べます。決済については現在のところクレジットカードのみとなっています。

メニューを選ぶ-店内飲食の場合も名前と電話番号が必要-クレジットカード情報を入力-注文を確定すると同時に店舗へオーダーが送られる

事前に注文できるという点では便利ですが、店内飲食の場合は、商品はカウンターまで受け取りに行く必要があるため、受け取ったはいいが座る席がない、席を確保したが注文を受け取るために席を離れなければいけない、という課題があります。その点は主にテイクアウト向けのサービスという印象です。

レシートには注文番号が記載される
受け取った商品

また、マクドナルドの場合は注文を決めてから実際に注文をお店に送るまで2段階の手続きになっていますが、バーガーキングの場合は注文を決めた時点で店舗に注文が送られます。そのため、できるだけ店舗に近い位置から注文を送るようにしましょう。

受取時間をアプリで教えてくれるスターバックス

カフェ大手のスターバックス コーヒーもモバイルオーダーを導入しました。こちらもテイクアウトと店内飲食にも対応しています。導入店舗は現在のところ東京都内の一部店舗のみで、順次拡大中です。

スターバックスのアプリ

ほかのサービスと同様、注文はアプリから行ないます。位置情報機能などを使ってお店を決めてから、商品をTO GO(持ち帰り)するのか店内飲食なのかを選択。商品をアプリから選び終わったら決済に進みます。決済は現在のところクレジットカードのみの対応です。

モバイルオーダーの注文画面で店舗と店内/持ち帰りを選択して、メニューを選ぶ

決済が終わると注文確定の確認画面が表示され、ここでOKを押すと注文が店舗に送られます。また、受け取り番号としてコーヒー豆の名前がついた番号が発行され、受け取り時間の目安も確認できます。

受け取り番号と受取時間の目安を表示-商品ができあがるとアプリに通知が送られる

商品の用意ができるとアプリに通知が送られる仕組みのため、席が確保できていれば商品のできあがりを待つことができます。ただし商品ができたのがわかるのは通知のみで、アプリ画面では表示できません。通知を間違って消してしまうと、今のオーダーの状態がわからなくなるので注意が必要です。

受け取り番号が記載されたシールが商品に貼られる

店内の場合は、カウンターへ受け取りに行く必要はありますが、できあがりをアプリで通知してくれるため、席で待っていることができるという点は細かいながらもうれしい配慮です。

商品を席まで届けてくれるすき家。課題は「支払いの証明」

牛丼チェーンのすき家も店内飲食で利用できるモバイルオーダーを提供しています。すき家の場合、ほかのサービスと比べて店内飲食に特化している点が特徴で、一部を除く全国の店舗で導入されています。

牛丼チェーンでは、吉野家もモバイルオーダーサービスを展開していますが、こちらはテイクアウト向けです。

すき家のアプリ

利用についてはほかのサービスと同様専用アプリから行ないます。位置情報などを利用して店舗を選択し、続いてメニューを選んでから、各テーブルに用意されているQRコードを読み取ることでオーダーが店舗に送られるとともに「どのテーブルで注文したか」も特定できる仕組みになっています。

店舗とメニューを選択。セットメニューは細かく設定できる
各テーブルに貼られたQRコード

また、モバイルオーダーの場合は該当するクーポンが自動で適用されます。サービスによってはクーポンを使う場合カウンター注文になる場合もあるため、自動で適用されるのは嬉しい仕様です。

クーポンが自動適用

決済方法はクレジットカードのみで、レジで対応する電子マネーやキャッシュレス決済は利用できません。また、利用できるクレジットカードは3Dセキュアに対応している必要があるため、3Dセキュア非対応のクレジットカードは利用できない点は注意が必要です。

座席を確保してから注文できるという点では非常に便利なのですが、マクドナルドのモバイルオーダーとの違いは、すき家の通常支払いが「後払い」だということです。すでにモバイルオーダーで支払いが済んでいたとしても、レジを素通りして店を出ようとすると「代金を払っていない」お客に見えてしまう可能性があります。

商品が席まで届く

実際、筆者も何度か店員に呼び止められて、その都度領収証の「会計済」を見せて理解してもらう、ということがありました。

レシートには「会計済」と記載される

このようなトラブルを避けるためには、店を出るときに店員に「会計済」のレシートを見せる必要があります。しかし、他のお客がレジで支払いをしていると、支払い済みなのにそれが終わるのを待たなければいけません。

また、すき家は席でメニューを見てから注文する方式のため、ほかのサービスと比べて「カウンターに並ぶ他のお客を気にせずじっくりメニューを選べる」というメリットもさほど大きくはありません。すき家のリリースでも「レジ待ち0秒!」と謳っているように、食事を終えた後のレジ待ち時間を短くするためのサービスとして活用するのがいいでしょう。

席で受け取りは便利。行列を避けられるモバイルオーダー

主に店内飲食に対応したモバイルオーダーサービスを紹介しましたが、店内でもテイクアウトでも待ち時間が削減できるのは便利です。一方、決済はクレジットカードのみのサービスが多く、普及が進んでいるコード決済などの対応は今ひとつ。この点は拡充を期待したいところです。

店内飲食の使い勝手では、席で注文できて席まで届けてくれるマクドナルドが便利です。先に席を確保した場合、オーダーを受け取るために席を離れなければならないのは、セキュリティの点でもいいことではなく、その点でもメリットが大きいと感じます。

また、すき家以外はテイクアウトに対応しています。テイクアウトで、行列や人混みを避けられるほか、さらに待ち時間を短縮できるという点で、モバイルオーダー対応の意義は大きいと思います。