いつモノコト

理想のType-C充電器を購入遍歴から考えた さよならLightning時代の選び方

今回ご紹介するUSB Type-C充電器 5モデル。ここ3年かけて筆者が買ったものであって、どれもこれも最新という訳ではないのご注意ください

スマホを買ったけれど充電器が付属しない。いまや、それが当たり前の光景となりました。火付け役は2020年発売のiPhone 13だったと記憶してしていますが、サムスンやGoogleも後に追随。一大潮流となりました。

そして2023年、スマホ充電を巡る最大のトピックと言えば、iPhone 15におけるUSB Type-C端子の採用でしょう。アップル独自のLightning端子が、iPhoneシリーズで非採用となる流れが決定的となりました。AndroidではType-C対応が5~6年前から本格化していますが、これがいよいよ統一されようとしています。

そこで注目すべきは、USB Type-C対応の充電器です。1つあれば、AndroidでもiPhoneも充電でき、それでいて陳腐化しづらく、長く使い続けられるはず。用途に合わせて、こだわりの1台を選ぶ意義がますます高まっている訳です。

筆者はライターという職業柄、そしてAndroidのヘビーユーザーということもあって、ここ3~4年さまざまなType-C充電器を自腹で買ってきました。どんな理由で買い、どう使っているのか、具体的にご紹介いたします。少し古めの機種も混じっていますが、Type-C充電器選びのいちアイデアとして、ぜひご覧ください。

安くて小さなPD充電器「Anker PowerPort III Nano」

Type-C端子を1つだけ内蔵した、シンプルさが特徴の充電器です。デザイン的には、iPhone初期モデルに標準同梱されていた「Apple 5W USB電源アダプタ」にかなり近くなっています。すでに終売しており、2019年9月に購入した際の価格は2,000円でした。

「Anker PowerPort III Nano」。この通り小型です

プラグ(コンセントに差し込む部分)は折りたためません。出力は18W、急速充電規格の「USB Power Delivery(PD)」をサポート。今回紹介する中では最も安価かつベーシックな製品ですが、スマホの単純な充電という意味では、今でもほとんど機能不足を感じません。メインでバリバリ使う機会は減りましたが、空いているコンセントに取りあえず挿しておいたり、友人・知人が来たときに一時的に貸したりと、まだまだ活躍の場面は多いです。

なお、現在は「Anker PowerPort III Nano 20W」という、若干異なる名称の後継機種が出ています。サイズがほぼ同じながら、出力を20W化。iPhone 8以降でサポートされている“高速充電”の要件を満たしています。

まだまだいける?! 2ポート仕様でType-A対応AUKEY「PA-B3」

2020年4月の発売とほぼ同時に購入し、2年半近く使い続けた思い出の品。こちらも現在は終売しています。当時の価格は4,980円。Type-C端子と、USBメモリの端子としてお馴染みのType-A端子をそれぞれ1つずつ搭載する、合計2ポート仕様のモデルです。

AUKEY「PA-B3」。Type-C、Type-Aの端子をそれぞれ1つずつ搭載しています
2ポート内蔵のため、サイズも若干大きめ

Type-C端子とType-A端子が1つずつという構成は、2023年の現在でも多くの方にとってベターな組み合わせでしょう。筆者はよく旅行先に持参し、就寝中にスマートフォンとスマートウォッチを同時充電させる用途で使っていました。USB PD対応で、Type-C端子単独利用時は65W出力が可能。なお現在は、後継機種的な位置付けの「PA-B3T」が販売されています。

仕事で持ち歩くならこの1台! ベルキン「BoostCharge Pro」(65W)

2022年7月発売。仕事での外出時、宿泊旅行時に必ず持ち出しているのが、ベルキンのこのモデルです。ほとんど同じ外見の出力45Wモデルもありますが、筆者が購入したのは65Wモデル(WCH013dqWH)のほう。本稿執筆時のAmazon.co.jp販売価格は4,698円でした。

ベルキン「BoostCharge Pro」(WCH013dqWH)。細長い筒型と言いますか、コンセントに挿した状態の“飛び出し感”がやや強め

上述のPA-B3と仕様はかなり似ていますが、最大の違いはType-C端子を2つ内蔵しているところ(Type-A端子は非搭載)。愛用しているスマートウォッチ「Pixel Watch 2」の充電ケーブルがType-C接続のため、出張先でのスマホ同時充電を考慮すると、BoostCharge Proに軍配が上がります。なお単ポート接続時は65W出力できるので、一部ノートPCの利用・充電も可能です。

Type-C端子を2つ搭載。出力の強さが分かりやすく書かれているのが親切ですね

プラグ折りたたみで30W出力「Anker 511 Charger (Nano 3,30W)」

2022年9月発売。上記「Anker PowerPort III Nano」の完全上位バージョン的な位置付けで、価格は3,490円です。プラグを折りたたむことができ、かつ出力は30Wに高められています。ただし、サイズはこちらがやや大きめ。とはいえ、壁のコンセントに直接挿すのであれば、隣のコンセントとの干渉はかなり発生しにくい部類でしょう。

「Anker 511 Charger (Nano 3, 30W)」
「Anker PowerPort III Nano」(左側)との比較。まさに“一回り大きい”といった感じ

プラグをたたむと、カバンの内ポケットに難なく仕舞っておけるサイズ感なので、ここ最近は日帰りレジャー時、モバイルバッテリーに加えてこの511 Chargerも持ち歩いています。モバイルバッテリーがあれば充電で困ることはないのですが、大手カフェチェーンなどでは座席に電源が用意されているケースが増えたため、「あるならせっかくだから充電してみようか」くらいの心もちの際、実に都合がいいのです。

Steam Deckも充電できる「Anker Nano II 45W」

2021年2月発売。筆者はそれから遅れて2023年3月に買いました。価格は3,990円。品名どおり、Anker製の45W充電器です。Anker 511 Chargerよりさらに一回り大きなサイズ感になっています。

Anker Nano II 45W

何故買ったのか?  ズバリ携帯型ゲーム機「Steam Deck」の付属充電器が大きすぎるから、です。Ankerをはじめとした各社の小型充電器に慣れた身からすると、Steam Deckの標準充電器はとにかく大きく、自室のコンセント環境的にはどうしても合わない。そこでSteam Deckが要求する45W出力をサポートする、なるべく小型の充電器が必要になったのでした。もちろん、普段はスマホの充電にも流用しています。

左側の、ケーブルが直接出ている充電器が携帯型ゲーム機「Steam Deck」の純正アダプター。「Anker Nano II 45W」は幅・奥行きはほぼ同じものの、高さが抑えられています

出力、本体サイズ、価格のベストバランスを求めて

今回は、筆者が実際に購入した5モデルを紹介しました。買った理由・選び方の基準を箇条書きすると、以下のようになります。

  • コンセント挿入時の周辺物干渉を避けるため、なるべく小型の筐体がいい
  • USB PD対応はもう絶対
  • Type-C端子はできれば2つ欲しいが、筐体が小型なら1つでもOK
  • 今から買うなら最低30W、仕事で使うならノートPC対応を考えて65W出力
  • プラグは折りたためた方がいいが、優先順位は低め

とにかく優先しているのは、本体のサイズ感です。最近のトレンドとして、部材に「窒化ガリウム(GaN)」を採用している充電器は発熱が少なく、結果としてコンパクトなデザインになっています。小さければその分だけ、持ち運びしやすいですし、隣のコンセントにぶつかって結局挿せないという心配が多少なりとも減ります。ちなみに、今回紹介した5モデルのうち、4モデルは窒化ガリウム採用製品です(Anker PowerPort III Nanoについては確認できず)。またUSB PD対応も、iPhoneでのサポートを考えれば必須の要素でしょう。

正面から見たところ
側面を見ても、各機種の特徴がよく分かります
もちろん、いくらコンパクトな充電器を選んでも、コンセント側(テーブルタップ側)のデザインによっては、この通りデッドスペースが出かねませんのでご注意を

それ以外の端子数や、プラグの折りたたみ可否については、まさにケースバイケース。極論すれば、1ポート仕様の充電器を2つ用意するという手だってあります。電流の出力についても、今から買うなら余裕をみて30Wあったほうが良いでしょうが、その分サイズは大きくなりがち。売り場で極端に値段差があるなら20Wもアリでしょう。ちなみにGoogleのPixel 8では27W、Pixel 8 Proでは30W充電をサポートしています。

今回紹介したのは、あくまで筆者がここ数年で買ったものであって、より高機能な新製品が各社から出ています。ただ冒頭で述べたとおり、充電器はスマホほど陳腐化のペースが早くなく、長く使えます。それだけに、持ち運びやコンセント事情、そしてコストも考慮しながら、じっくりと自分にベストな製品を探してみてはいかがでしょうか?

なお、高出力・急速充電のためには、充電器の対応はもちろん、USBケーブル側の対応も必要です。望んだとおりのスピードが出ない場合は、ケーブルが悪さをしてないかもチェックしてみてください。

森田秀一

1976年埼玉県生まれ。学生時代から趣味でパソコンに親しむ。大学卒業後の1999年に文具メーカーへ就職。営業職を経験した後、インプレスのウェブニュースサイトで記者職に従事した。2003年ごろからフリーランスライターとしての活動を本格化。おもな取材分野は携帯電話、動画配信、デジタルマーケティング。「INTERNET Watch」「ケータイ Watch」「AV Watch」「Web担当者Forum」などで取材レポートを執筆する。近著は「動画配信ビジネス調査報告書 2021」(インプレス総合研究所)、「BtoB-EC市場の現状と販売チャネルEC化の手引2020」(共著、インプレス総合研究所)。