いつモノコト

象印のステンレスボトル「シームレスせん」はメンテが楽で汚れにくい

猛暑が続き、毎日のように熱中症による救急搬送のニュースが流れる今日この頃、ほんの少しの時間の外出であっても、水分補給は欠かせません。しかし水筒を持ち運ぶのが良いことはわかっていても、メンテナンスが面倒であきらめてしまっている、という方もいるのではないでしょうか? かといって、外出のたびにペットボトル飲料を購入するのは金銭的にもったいないですし、プラスチックごみの問題も気になります。

そんな方にぜひご紹介したいのが、象印マホービンの「シームレスせん」シリーズの水筒やタンブラーです。筆者が使用しているのはスクリュータイプで360mlの「SM-ZA36」ですが、現在は同タイプの後継モデル「SM-ZB36」(メーカー希望小売価格:5,500円)を購入できます。

筆者が使用しているマグタイプ

この商品のどこか画期的なのかは、分解してみると一目瞭然です。なんと、あの面倒でたまらない「パッキン」がありません。正確には、パッキンと水筒のフタが一体化した構造となっており、それで「シームレスせん」というわけです。

パッキンがないと何が嬉しいかと言えば、とにかくお手入れがラク!ということ。マグタイプだと洗い物は本体とフタの2つだけ。部品の数で比べれば、ペットボトルや、保温保冷機能のないシンプルなウォーターボトルと同じです。

パーツは本体とフタの2つだけ

一般的な保温保冷機能付きのステンレスボトルはパッキンも取り外して洗う必要がありますが、この時にどうしてもパッキンが行方不明になりがちです。ない、ない、と探して「もしかして……」と排水溝のゴミ受けネットをのぞいたらそこに紛れ込んでいて「うえぇ」となった経験はありませんか? 筆者は何回もあります……。

また、家族で一人一人が別の水筒を使っている場合、洗って乾かしている間に、どれがどの水筒のパッキンだっけ? と迷う事態も起こりがち。水筒とパッキンの組み合わせ以外にも、向きを間違えてしまったり、そもそも取り付けるのを忘れてしまったりして、カバンの中で飲み物が漏れてしまった! なんてことも。

筆者が所有する別メーカーの水筒。シームレスせんと比較するとパーツの数が多い

シームレスせんであれば、こうした「パッキンが本体やフタと別にあることによって生じるトラブル」を全て未然に防ぐことができます。メンテナンスの面倒くささがないので、水筒を使うことにも抵抗がなくなり、気軽に水分を持ち運ぶことができ、ペットボトル飲料の購入も減らせる、と良いことづくめです。

こんなに便利なのに、どうして今までなかったんだ! と思いますが、パッキンに使用されているシリコーンゴムはもともと接着が難しい素材です。それをフタと一体化し、実用に耐えうる強度で量産化したことには、様々な技術上のハードルがあったようです。

パッキンとフタが一体化した構造になっている

加えて、人々の考え方も背景にありました。ステンレスボトルが普及し始めた頃は、「分解してすみずみまで洗えること」が、清潔好きの日本人からは求められていたのです。しかしマイボトルが一般化するに伴い、水筒は一人一本の時代に。家族全員分の水筒を分解して洗って乾かして組み立てて、という手間の方がいつのまにか課題になっていました。いち早くその点に気づいて商品として実現したのは、顧客を大切にする象印マホービンならではの発想だったのかもしれません。

内側にコーティングがされており汚れがつきにくい

現在、シームレスせんのシリーズは、ワンタッチオープンタイプやキャリータンブラータイプなど、様々な型が展開されています。筆者が愛用しているのは、最もシンプルなマグタイプ。こちらは、内側にコーティングが施されており、茶渋などの汚れがつきにくく、またステンレスボトルでありながらスポーツドリンクを入れることができるのも嬉しいポイントです。一般的なステンレスボトルは、塩分によるサビが出てしまうためスポーツドリンクを入れて使用することを推奨していません。

安心の象印マホービン製なので、保温保冷機能も申し分ありません。冷たい飲み物を入れても結露しないため、在宅ワーク中にデスクの横に置いたり、寝る時に枕元に置いたりと、家の中で使用するのもおすすめです。

デスクワークのお供にも

これは筆者の個人的な使い方ですが、長時間の外出で持参した飲み物がなくなってしまった場合は、自販機やコンビニで購入した飲料をマイボトルに移し替えることもあります。ペットボトルを削減するという目的からは外れてしまうものの、飲み物の冷たさや温かさを長く保つことができる、結露でカバンの中を濡らさずに済む、といったメリットがあります。

「シームレスせん」シリーズは、バリエーションも豊富です。容量はコップ代わりのちょい飲みに便利な250mlから、スポーツ等で大量の水分が必要な時にも使える1.5Lまで幅広く用意されています。形もマグタイプのほか、オフィスワークとの相性が良いタンブラー型や、子供でも使いやすいワンタッチ式のフタを備えたものなど、目的やライフスタイルに合わせて選べます。

現在のところ使用する上でデメリットらしいデメリットは感じていませんが、強いてあげるとすれば、フタの細かい部分の溝が少し洗いにくい、ということでしょうか。私は気になる部分にはこすらずに洗える泡スプレー式の洗剤を使うようにしています。購入してから1年以上になりますが、今のところ目立った汚れはありません。

筆者は細かい部分の洗浄には泡スプレー式の洗剤を使用
1年以上使用して目立った汚れはない

最近では、使い捨て容器削減の取り組みとして、外出時に利用できる無料の給水スポットも増えています。その中でも無印良品は店舗数も多く、立地も良いので買い物の途中などに立ち寄るのに便利です。またスターバックスなど、マイボトル持参で割引が受けられるお店もあるため、そういった場所で利用することもできます。

水分補給が欠かせない夏は、マイボトル習慣のスタートにもピッタリのタイミングです。水筒を持ち運ぶメリットは理解しつつも、面倒で挫折してしまった、という方は「シームレスせん」で再デビューをしてみるのも良いかもしれません。

ヨシムラマリ

ライター/イラストレーター。神奈川県横浜市出身。文房具マニア。子供の頃、身近な画材であった紙やペンをきっかけに文房具にハマる。元大手文具メーカー社員。著書に『文房具の解剖図鑑』(エクスナレッジ)。