いつモノコト

音楽も生活音も聞こえるソニーのオープンイヤーイヤフォン

元々音楽を聴くのはけっこう好きな方で、イヤフォンの音質にもそれなりにこだわりを持っていたのだが、最近、その傾向が変わってきてしまった。

まず、イヤフォン業界は猫も杓子もカナルタイプ。どこを見てほとんどカナル。筆者はカナルタイプのイヤフォンが苦手なのだ。

耳に入れた時の圧迫感と、歩いている時のゴソゴソ感。有線タイプなどは特にひどく、服とケーブルが擦れる音が耳にダイレクトに入ってくる不快感で音楽どころではないと思う。これがワイヤレスなら多少マシにはなるのだが、圧迫感は変わらないし、セパレートタイプのワイヤレスだと、どんくさい筆者は装着時に落としそうになる。駅のホームとかでは怖くて装着できないチキンである。

そんなわけで、筆者が最近気に入っているのはソニーのオープン型ワイヤレスイヤフォン「SBH82D」だ。購入時の価格は8,696円(税込)。

有線タイプもあるが、筆者が購入したのはワイヤレスタイプ。左右のイヤフォンがケーブルでつながっているのも気に入ったところ。これなら落とすこともあまりなさそう。

左右がつながっているワイヤレスタイプ

これはカナルではない時点で100点満点なのだが、最大の特徴は「外の音が聞きやすい」ということ。一見すると装着方法が謎なイヤフォンだが、耳たぶに挟むような感じで装着し、イヤフォン自体は耳の中には入らない。耳元に超小型のスピーカーを置いたような感じになる。

耳たぶに挟むような感じで装着

装着感は独特だが、強く挟まっている感じではなく、そっとぶら下がっているような感じ。個人差はあると思うが、筆者はよく付けているのを忘れてしまうくらい。寝る間際になって「あ、そういえば付けてた」と思い出すこともしばしば。

カナルタイプでいろいろと不満があったところにこの装着感は、端的に言って感動である。

イヤピースの形状は独特

「外の音が聞こえる」という便利さ

耳を塞がないので周りの生活音が普通に聞こえる。音楽も聴けるというイヤフォン。前述のとおり、耳元にスピーカーを置いているようなイメージだ。これが今の筆者のライフスタイルにはとても合っている。

一番影響が大きいのは、犬を飼ったこと。犬は家の中で放し飼いだが、これをしていれば犬が何かを「やらかして」いるときも、音が聞こえることで対処しやすい。最近はそうでもないが、ちょっと前までは、目を離すとバリバリビリビリという解体音が響き渡っていた。音が聞こえればすぐに駆けつけて止めさせることもできる。音が聞こえた時点で手遅れの場合が多いが……。ただ、これ以外にもなるべく犬の動向は把握していたいのでやはり音が聞こえるに越したことはない。

ペットに限らず、小さい子供が居る家庭でも似たような状況ではないだろうか。据え置き型のスピーカーと違って、移動しながら音楽を聴き続けられるのはメリットだ。

また、リビングなどでスマホやタブレットをいじっている時も、家族とのコミュニケーションは普通に取れる。家族がテレビを見ていて、自分はタブレットで別の動画を観ている、という場合でも、孤立しない。さすがにテレビと手元の動画を同時に見るのは、脳も眼球も対応できないので厳しいが、話しかけられれば反応はできる。

外の音が聞こえるというのは、いろいろなシーンでありがたい。犬の散歩の時も車の音などは普通に聞こえるので安心だ。電車の車内放送もきちんと聞こえるので乗り過ごしもしにくい。特に知らない場所に電車で行く場合には重宝する。

思ったよりも耳の穴は塞がっているように見えるが外の音は意外と聞こえる

音質はほどほど、だが問題はなし

ちなみに、音質は良い方では無い。これは構造上仕方の無いところ。だが、個人的な感想としては、もっと「スカスカ」な音を想像していたので、思ったよりは音が良いと感じた。勿論、本気のカナルタイプに比べるべくもないのだが、そもそも比べることに意味が無い。これは音楽を楽しむだけのイヤフォンとは別の用途のガジェットなのだ。

だから筆者はこのイヤフォンを一番よく使っているし、音楽を聴いても動画を見てもゲームをやっても特に不満は感じない。外の音が聞こえるメリットの方が大きい。

構造的に音漏れがしそうだが、以外とそんな事もなく、一般的なイヤフォンと同程度ではないだろうか。一応製品ページによると「周囲の音が聞こえるくらいの音量であれば、音漏れを気にせず使えます。」とあり、筆者も同感である。

ちなみに、音を大きくしすぎると普通に外の音は聞こえない。もちろん音漏れもするのであしからず。

充電コネクタむき出しなのがむしろ良い

充電はUSB Type-Cで、この点だけでも非常にありがたいのだが、さらに気が利いているのは、充電コネクタにラバー製のキャップなどが無く、むき出しなところ。

埃の混入などを考えると本来はあったほうがよいのかもしれないが、充電したいときにサクッと挿して充電できるのは本当に楽。しかも本製品はUSB Type-Cなので表裏関係なくすぐ挿せるが高ポイント。

むき出しの充電コネクタ

以前買ったワイヤレスイヤフォンにはキャップが付いていて、しかも裏表を確認しないと差せないmicro USB Type-Bだったので、それだけで充電が面倒に感じて使わなくなってしまった事がある。

もう他のイヤフォンに戻れない! というほどもないが

冒頭からカナルタイプをディスっているが、筆者もお気に入りのカナルタイプイヤフォンを持っている。きちんと音楽を聴きたいときはそちらを使うのは今も変わらない。が、普段使いは本製品が遙かに多い。個人的には、シーンを選ばず使いやすいのはこちらの製品だと思う。

音楽のみに集中したい、高音質で聴きたいという用途には向かない。

音質にそこまで拘らず、作業時のBGM的な使い方をするような場合にはぜひオススメしたい。特に自宅でテレワークをする場合などでも、筆者のようにペットがいる場合や、子供が居る家庭では、家族の生活音を聞きながら作業用BGMを聴けるのは有効ではないだろうか。

清宮信志