レビュー

Google Pixel Budsのワイヤレス新体験。翻訳とAndroid密連携

Google版AirPods? 完全ワイヤレス「Pixel Buds」

Google Pixel Buds(Clearly White)

8月20日、Googleの最新スマートフォン「Pixel 4a」とあわせて販売開始された完全ワイヤレスイヤフォン「Google Pixel Buds」。左右をつなぐケーブルがないワイヤレスイヤフォンで、TWS(TrueWireless Stereo)とも呼ばれるタイプの製品です。

AppleのAirPodsシリーズをはじめ、他社からも同種の製品がでていますが、Pixel Budsの特徴は、Google アシスタントを始めとするGoogleサービスとの密接な連携機能です。リアルタイム翻訳など独自の機能を備えているほか、トレーニング用の音楽やPodcast再生、メッセージへの返信などが行なえます。

価格は20,800円(税込)で、カラーはClearly White、Almost Black、Quite Mintの3色が用意されます。

なお、ノイズキャンセル(NC)には対応していないので、(NC対応の)AirPods Pro(27,800円/税別)より、無印のAirPods(17,800円~22,800円/税別)に近い位置付けといえます。Pixel 4aとの組み合わせで、Googleの最新イヤフォンの実力を試してみました。

優れた装着感とかんたんペアリング

付属品は、本体と充電ケース、USB Type-Cケーブルなど。イヤフォンの外形寸法/重量は20.5×19.5×18.2mm/5.3g、充電ケースは63×47×25mm/56.1gです。

同梱品

本体は陶器のような質感でかなり高級な印象で、耳に固定できるアーチと3種類のイヤーピースによりしっかり耳に固定できます。ケースは少し重く感じますが、高級感は十分です。充電はUSB Type-C経由のほか、Qiによるワイヤレス充電にも対応します(充電器は別売)。

また、Pixel Budsの特徴といえるのが、ペアリング(機器連携)の簡単さ。Google独自のペアリング機能「Fast Pair」に対応しており、充電済みのPixel Budsをケースから取り出すと通知画面にPixel Budsが表示され、タップして設定画面を開くとPixel Budsの設定に入れます。今回はPixel 4aを使っていますが、Android 6.0以降であれば対応しているとのこと。

通知欄にPixel Buds
すぐにペアリングが行なえる

アプリ「Pixel Buds」を入れると、細かな設定も可能で、外音のレベルにあわせてボリュームを調整する「アダプティブ サウンド」などの設定や本体をタップした時の機能の確認などが行なえます。

iPhoneやPCなどでも通常のBluetoothイヤフォンとして連携できます。ただし、現時点ではiOSアプリはなく、細かなバッテリー残量や機能調整などはできず、一般的な完全ワイヤレスイヤフォンとして使えるだけ。Pixel Budsが本領を発揮するのは、Androidとの組み合わせ時です。

イヤーピースと固定用のアーチでしっかり耳に装着でき、そのまま歩いても落とす心配はなさそうです。個人的にはAirPodsが耳に合わない(右耳だけずれ落ちてしまう)ので、しっかりと固定できるPixel Budsの装着感は安心です。

IPX4相当の防滴仕様なのでスポーツにも使えそうです。試しにジョギングをしてみると、落下の心配はなさそうですが、風切り音を拾いやすく、スポーツには向かないように感じます。

・AirPods比較写真

イヤフォンだけで基本操作。Google アシスタントと密連携

音楽や通話などの基本機能はイヤフォンに触れるだけで操作できます。1回タップすれば再生と⼀時停⽌、2回で早送り、3回で曲戻しで、前方にスワイプで音量アップ、後方スワイプで音量ダウン。着信時にタップすると通話できます。

また、Google アシスタントに話しかけるときは[長押し]。この場合は、OK,Googleなどのお決まりの言葉(ウェイクワード)が不要で「今日の天気は? 」と尋ねれば、現在地付近の天気を教えてくれます。

また、[神保町までのルートを教えて]などでGoogle マップによるナビを起動したり、メールの確認なども行なえます。

操作はすぐに慣れますが、タップへの感度が高く、耳を少し掻いたら止めてしまうことも。AirPodsなどほかの完全ワイヤレスイヤフォンに慣れている人は、最初は少し戸惑うかもしれません。

ユニークな機能が「装着検知」です。Androidスマホとの連携時に使える機能で、イヤフォンの着脱を検知して、音楽を一時停止/再生できるので便利です。片耳からイヤフォンを外すと音楽が自動でOFFになるので、切り忘れを防げます。

装着検知

音質も良好。アダプティブサウンドに対応

Pixel 4aとの組み合わせで、Spotifyでの音楽再生やWebミーティングなどで使ってみましたが、音質も良好です。

Pixel Budsでは専用の12mmダイナミックスピーカードライバを採用していますが、低域から広域までバランス良く、クセの無い印象。特にボーカルなど“声”が聞きやすく、ポップス系の楽曲は気持ちよく楽しめます。低域もしっかり出ているように感じますが、イヤーピースの付け方の違いでも印象が変わります。3種類のイヤーピースから自分にあったものを選んだほうが良さそうです。

なお、対応のBluetoothコーデックはAACとSBCのみ。より高音質とされるaptX系やLDACなど、高音質コーデックには非対応です。

通話時でも声が聞き取りやすいのが印象的。リモートワーク時の「ヘッドセット」としても使いやすく、マイクの性能など通話音質も良好です。

ノイズキャンセルは搭載していませんが、外音にあわせて音量を調整する「アダプティブ サウンド」を装備しています。静かな場所から騒がしい環境に移動すると、⾃動的に聞きやすい音量に調節してくれるため、ボリュームを意識せずに利用できるとのこと。試してみると、確かに外の音にあわせて、音量が変わることは感じられます。

アダプティブサウンド

穏やかにボリュームが変わるため、違和感もさほどありません。Pixel Budsの場合は、スワイプで音量を簡単に変えられますが、意識せずにいつの間にか音量が変わっているというのは便利です。なお、アダプティブサウンドは、アプリの設定でON/OFFが選択可能です。

使い方次第で実用的な「リアルタイム翻訳」

また、Pixel Budsの最大の“売り”とも言えるのがリアルタイム翻訳機能です。

Pixel Buds自体に翻訳機能があるわけではなく、連携したAndroidスマホのGoogle アシスタントを利用し、イヤフォンでの音声入力をスマホ側でリアルタイムに翻訳できるという機能です。

Androidスマホに[Google 翻訳]アプリが必要となります。

Pixel Budsを長押ししながらGoogle アシスタントを起動し、「英語に通訳して」と話すと、スマホのGoogle 翻訳が起動。再びPixel Budsを長押ししながら、翻訳してほしい言葉を読み上げます。

Pixel Budsからリアルタイム翻訳

とりあえず簡単な会話をイメージして、試してみました。

「日本の総理大臣教えて」

Tell me the Prime Minster of Japan

「明日、7時にモーニングコールお願いします。」

Please wake up at 7am tomorrow

モーニングコールは和製英語ですが、概ねこのままでも趣旨は伝わるかと思います(多分)。長々としゃべらず、端的に目的を伝えるような使い方だと、いい感じに英語にしてくれます。

そこでGoogle Pixel 4aのニュースリリースを日本語で読み上げ、Pixel Budsとスマホに翻訳してもらいました。

鮮やかな写真を撮影できる優れたカメラ性能、端末を常に最新の状態に保つ最新のソフトウェア、洗練されたデザインでよりお求めやすい価格、これら全てを備えた Google Pixel 4a が登場します。また、米国で昨秋発表したワイヤレスイヤホン、Google Pixel Buds も日本で販売を開始します。

Google Pixel 4a 新登場

少々回りくどい文章かつ、文章が長いため、前半と後半に分けて見ましたが、前半の長い文章は英語的ではない翻訳になってしまいました。

前半

日本語

若菜写真を撮影できる優れたカメラ性能端末を常に最新の状態に保つ最新のソフトウェア洗練されたデザインでよりお求めやすい価格これら全てを備えたグーグルピクセル4Aが登場します

英語

Excellet Camera Performance for Wakana Photography Latest software that keeps your device always up-to date Sophosticated design and mora affordable price Introducing Google Plxie 4 A with all these

「鮮やかな」を「若菜」と日本語入力段階で誤認識してしまいました。文章の区切りがよくないので、実用的な翻訳にはなりませんでした。

後半

日本語

また、米国で桜木発表したワイヤレスイヤホン、Google ピクセルバッツも日本で販売を開始します。

英語

In addition, the wireless earphone Google Pixel Butts announced by Sakuragi in the US will also be on sale in Japan

後半は、「昨秋」が「桜木」と日本語の段で入力ミスが起きていますが、それ以外は概ねよさそうです。

日本語入力の問題(話し手の滑舌等)もありますが、かなりの精度で英語化できることがわかります。

“翻訳”が上手く行かないこともありますが、実際に試してみると、それにも増して「日本語で文章を間違えずにきちんと音声入力する」ことが、とても難しいことがわかります。

変換スピードが高速なため、短い文章であれば、通訳としての実用性は大いにありそうです。タクシーをお願いしたり、レストランでの注文、観光地での簡単なコミュニケーションであれば、十分に使えそうです。

また、外国語から日本語にスマホで翻訳してもらう場合は、スマホの[Google翻訳]のマイクアイコンをタップして話しかけてもらうと、英語から日本語へ翻訳し、イヤフォンで聞けます。また、スマホの画面に翻訳文も表示されます。

Google Pixel Budsの製品ページには

リアルタイム翻訳機能を使えば、海外旅行先のレストランで食事を注文するときも、数か国語が飛び交うパーティーも、安心して楽しむことができます。

とあります。「ちょっとそれは大げさだろ」とは思いますが、それでもそういう世界が近づいていることは実感できます。

なお、iPhoneのGoogle 翻訳も試しましたが動作せず。Androidだけの機能のようです。

Androidと密接に連携したイヤフォン体験

1回の充電で最長5時間の音楽再生が可能で、ケースを使えば最長24時間利用できます。リモートワークで1日中イヤフォンを着けている場合は、一度充電が必要かもしれません。

Google版AirPodsともいえるPixel Budsですが、やはりAndroidスマホと連携させた時の使いやすさや機能の充実が非常に魅力的。Google アシスタントの連携や翻訳機能だけでなく、ペアリングからサウンド調整まで様々な機能がAndroidと密接に連携して使いやすく実現されています。

iPhoneで使っても、音質の良さや基本機能は使えますが、細かな作り込みや連携の良さが感じられるのは、Androidとの組み合わせ。Androidスマホのユーザーで、高機能な完全ワイヤレスイヤフォンを購入検討する人にとって、有力な選択肢と登場と言えそうです。

臼田勤哉