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Notion、日本エンプラARR 169%成長 AIの“コンテキストレイヤー”へ
2026年10月1日 18:37
Notionは、日本でのエンタープライズ事業を強化している。共同創業者兼CEOのアイバン・ザオ氏とCTOのマックス・ショーニング氏が日本で事業戦略を説明し、日本は米国以外で2番目に大きな市場と説明した。
日本国内のエンタープライズ領域におけるARR(年間経常収益)は前年8月比で169%成長。今後はAIエージェントの普及を見据え、企業内のナレッジやデータをAIが利用できる形で集約する「コンテキストレイヤー」を事業の中核に据える。
これまで米国で開発した製品を日本へ展開する形が中心だったが、日本企業と製品開発側が直接やり取りしながら、大企業向けの基盤を構築する段階に入ったという。
日本法人では8月から営業・支援体制も変更。従来の営業やカスタマーサクセスを中心とした体制から、導入初期から顧客とワークフローを構築するソリューションコンサルタントや、導入後の成果に責任を持つアウトカムズアーキテクトなどを組み合わせる体制へ移行した。
日本では66%がAI活用「レベル1」
Notionは企業のAI活用を4段階に分類している。レベル1はChatGPTなどのようにAIを質問相手として利用する段階、レベル2はAIが一定の作業を代行する段階。レベル3ではAIが独立した「チームメイト」としてバックグラウンドで仕事を行ない、レベル4では複数のAIが連携し、企業の業務システムそのものにAIが組み込まれる状態を指す。
Notionが示した調査では、日本の回答者の66%が現在もレベル1に位置するという。今後はレベル2から3、さらに4へ移行する企業を支援することを日本事業の重点領域としている。そこで重要とするのが「コンテキストレイヤー」だ。
AIエージェントが企業内で業務を行なうには、社内文書やデータベース、メール、チャット、業務システムなどに蓄積された情報へアクセスする必要がある。一方で、利用するAIやデータソースが増えれば、権限管理やガバナンス、コスト管理も複雑になる。
Notionは、こうした企業内の情報をAIエージェントと業務システムの間で管理する層をコンテキストレイヤーと位置付ける。Notionのページやデータベースに加え、Microsoft、Google、Salesforce、Snowflakeなど外部サービスの情報を接続し、人とAIが利用する共通の情報基盤を目指す。
同社によれば、AIエージェントと企業内のデータなどを接続するMCPは、Notionの製品群で成長が速く、約3カ月ごとに10倍のペースで伸びているという。
NECでは約500のプロジェクトをAIで把握
Notionは国内事例として、NECを挙げた。NECでは会議をNotionのAIミーティングノートで記録し、議事録やスケジュール、Microsoft Teamsで交わされた会話などをプロジェクトとひも付けている。
コーポレートIT部門では、注力領域だけで約500のプロジェクトが進行。CIOやCAIO向けのダッシュボードから各プロジェクトを確認すると、AIエージェントが議事録や更新されたスケジュールなどから情報を取得し、最新状況を更新する仕組みを構築しているという。
従来は現場から管理職、さらに経営層へと報告を積み上げる必要があったが、こうした報告業務をAIで自動化する取り組みを進めている。NECではプロジェクト管理やPMO業務を複数のエージェントで支援しており、青木氏は「極めてレベル4に近い」と説明した。
Notion AIもISMAP登録対象 政府・大企業への導入を強化
日本のエンタープライズ事業強化に合わせ、Notionは政府情報システムのためのセキュリティ評価制度「ISMAP」のクラウドサービスリストにも登録された。ISMAPは、政府が求めるセキュリティ要件を踏まえてクラウドサービスを第三者が評価・登録し、政府機関等がクラウドサービスを調達する際の判断に活用する制度。
登録対象は、Notion AIを含むNotionのコア機能であるワークスペース、ページ、データベース、コラボレーション機能とNotionカレンダー。Notionはすでにデジタル庁でも利用されており、職員の業務や組織の共有ナレッジとして活用されているという。
青木友氏は、ISMAP登録について、政府機関だけでなく、公共部門向けにサービスを提供する企業や重要インフラ、大企業などが導入を判断する際の材料になるとの考えを示した。
MicrosoftやGoogleとは「競争より協業」
MicrosoftやGoogleなども企業内データとAIをつなぐ機能を強化している。この点についてNotion側は、MicrosoftやGoogleとは「競争よりも協業」に近い関係だとする。
Notionが競合と捉えているのは、プロジェクト管理、チケット管理、ナレッジベースなど複数のSaaSに企業内情報が分散している状態。MicrosoftやGoogleの基盤を置き換えるのではなく、Microsoft Teams、Google Drive、Slackなどと接続し、その上位で企業内情報をまとめる中立的なコンテキストレイヤーを目指す。
特定のAIモデルを自社で提供していないことも強みと位置付ける。コンテキストレイヤーをAIモデルから独立させることで、企業が利用するモデルを切り替えやすくし、ベンダーロックインを避けられるとしている。
AIエージェントの開発に取り組む企業が増える一方、青木氏は、日本企業ではコンテキスト層まで考えている企業はまだ少ないと指摘する。日本事業では「エージェント開発に取り組んでいる顧客にコンテキストを提供する」ことを当面の重要な目標として掲げる。







