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iPhoneからMacまでAIを組み込むアップル MacでiPhoneミラーなど新提案も WWDC2024

アップルのティム・クックCEO

アップルは10日(米国時間)、開発者会議「WWDC 2024」を開催し、OSに統合された新たなAI機能「Apple Intelligence」を発表したほか、「Apple Vision Pro」を日本国内で6月28日から発売することなどを明らかにした。

ハードウェアの新製品の発表は無いが、iOS 18やiPadOS 18、macOS Sequoia、watchOS 11などの最新OSやプラットフォームの今後について説明した。

アップルのAI「Apple Intelligence」

最大の発表といえるのが「Apple Intelligence」。AI関連で“出遅れ”も指摘されていたアップルだが、iOS/iPadOS/macOSなどOSに組み込む形で、“パーソナルインテリジェントシステム”としてAIを活用していく。

メッセージやメモ(Notes)、メールなどの多くのアップル製アプリで、文章作成支援や画像生成、写真や動画の整理など、用途に応じたAI活用を行なうことで、ユーザーの利便性を高める狙い。また、ほとんどの処理をデバイス上で行なうなどプライバシーに配慮している点もアップルでは強調している。

基盤となるのは、OpenAIによるGPT-4oモデル。あわせて音声アシスタントのSiriもAIを活用して刷新するなど、大規模な変更が行なわれる。詳細は別記事で紹介している。

なお、現時点では夏から“英語”で提供開始となっており、日本語での対応は告知されていない。

Apple Vision Pro日本投入(60万円)

WWDC 2024の冒頭に登場したのが、ARヘッドマウントディスプレイ/空間コンピューターの「Apple Vision Pro」だ。これまでは米国のみでの展開となっていたが、日本を含む8カ国での発売が決まった。日本では6月27日から発売し、価格は599,800円から。

Apple Vision Pro

あわせて、Vision ProのOS「visionOS」の大型アップデートとなる「visionOS 2」を今秋に提供することも発表した。visionOS 2では、写真を3D化して「空間メモリー」に変換する機能などが追加されるほか、ホームビューやコントロールセンターなど、よく使う機能にアクセスできる新しい手のジェスチャーを追加する。

また、Mac仮想ディスプレイの解像度がより高く、サイズがより大きくなり、横に並べた2台の4Kモニターに相当するウルトラワイドディスプレイを実現。Magic MouseなどのBluetoothアクセサリとペアリングも可能になる。電車に対応したトラベルモード、Apple TVアプリの強化なども含まれている。

Safariでは、YouTube、Netflix、Amazonなどのビデオ再生に対応する。

iOS 18は写真やメールなど強化。RCS対応

iOS 18は今秋に提供開始予定で、7月からパブリックプレビューを実施する。

新たなカスタマイズオプションを採用するほか、写真アプリを大幅に刷新。また、メールの受信ボックスの新しい管理方法や、衛星通信経由のメッセージなど多くの機能を追加する。

iOS 18

iOS 18では、画面のカスタマイズに対応。ユーザーは、ホーム画面上の任意の空きスペースにアプリやウィジェットを配置できるようになるほか、ロック画面の下部にあるボタンもカスタマイズ可能になる。

ホーム画面の任意の空きスペースにアプリやウィジェットを配置できるため、アクセスしやすようにDockのすぐ上に配置したり、壁紙を最適なフレーミングに調節できる。アプリアイコンとウィジェットは、ダークな色合いのエフェクトにしたり、アイコンの基本色を変更したりと、自分好みのホーム画面を作れるようになる。

iOS 18

写真では、写真ライブラリが自動的に新しい1つのビューに整理され、便利な新しいコレクションによって、お気に入りにアクセスしやすくなる。

メッセージとメールも強化。メールでは、デバイス上のAIを使ってEメールをカテゴリごとに分類することで受信ボックスをシンプルにできる。

iMessageには、予約投稿(Send Later)やアンダーライン下線などの文章表現に対応。新しいテキストエフェクトも登場する。

「メッセージ」アプリはRCSをサポート。さらに、Apple製デバイスを持っていない連絡先とメッセージをやり取りする場合、RCSにより、SMSやMMSよりもリッチなメディアかつ、信頼性の高いグループメッセージングが可能になる。

コントロールセンターも再設計。また、携帯電話通信やWi-Fi接続を利用できない場合でも、メッセージアプリで衛星通信経由でコミュニケーションをとれる機能が追加される。そのほか、マップの刷新や、多くのApple Intelligence関連機能を追加予定。

衛星通信経由でのメッセージなどに対応
マップを強化

ウォレットには、「Tap to Cash」と呼ぶ新機能を追加。iPhone同士をかざして、送金できる機能で、ディナーの「割り勘」などに活用できるオンラインでの支払手段。支払先は銀行やカードなどが選べる。また、イベントガイドなどの送信も可能。

iPadOS 18

iPadOS 18もApple Intelligence関連の多くの機能強化が行なわれるほか、計算メモを備えた「計算機」アプリが追加される。ユーザーが数式をタイプ入力、もしくは手書きで記述すると、瞬時に数式の答えが自分の手書きで表示される。

メモアプリを強化するほか、Apple Pencilで書いた手書き文字を読みやすくする「スマートスクリプト」も搭載。カスタマイズの強化や写真アプリの刷新なども行なう。

macOS SequoiaはiPhoneミラーリングに対応

macOS Sequoiaは、iPhoneミラーリング、Safariの大幅なアップデート、ゲームの強化などが特徴。

macOS Sequoia

もっとも目立つ機能といえるのが「iPhoneミラーリング」だ。Macから直接iPhoneに完全にアクセスして操作できる機能で、Macの画面でiPhoneのほぼ全ての画面が確認でき、操作も可能。

ユーザーはMacのキーボード、トラックパッド、マウスを使ってiPhoneを操作可能で、音声も再生される。またiPhoneとMacの間でシームレスにドラッグ&ドロップ可能となる。

Safariは、人、音楽、映画、テレビ番組について詳しく知るための、経路、要約、クイックリンクなど、ウェブ上の情報をさらに簡単に見つけられるハイライトを提供する。リーダーには、要約機能も追加する。

さらに新しいパスワードアプリを追加。パスワード、パスキー、Wi-Fiパスワード、その他の認証情報を集約して管理できる。パスワードはSafariと連係し、iCloud for Windowsアプリを使って、AppleデバイスとWindowsの間でシームレスに同期できる。

そのほか、ゲーム関連の機能強化やビデオ会議のアップデートなども行なわれる。

watchOSとその他

watchOS 11は、新しいバイタルアプリを提供。健康に関する主要な指標と状況を表示し、トレーニングの負荷を測定できる機能により、ワークアウトの体験を改善する。

アクティビティリングのカスタマイズに対応するほか、スマートスタックと「写真」文字盤はAIで個別化される。「ヘルスケア」アプリは妊娠中のユーザーのサポートを追加する。また、到着確認、翻訳アプリ、ダブルタップジェスチャーの新機能が追加される。

イヤフォンの「AirPods Pro(第2世代)」は、首を動かすだけでSiriに応答できるようになるほか、通話時に「声を分離」が利用可能となる。AirPods Proユーザーは、「はい」なら首を縦に、「いいえ」なら首を横に優しく振るだけでSiriの読み上げに応答できるようになる。今秋のアップデートを予定しており、「混雑した場所や静かな場所で声を出したくない場合には特に便利」だという。

Apple TVの「tvOS 18」は、Apple TVアプリに、Apple TV+の作品に登場する俳優や音楽に関するタイムリーな情報を画面にリアルタイムで表示する「InSight」を導入。また、Apple TV 4Kで音楽、アクション、背景ノイズよりも話し声をよりクリアに聞こえるようにする「対話を強調」も追加する。