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NTT Com「アプレット搭載SIM」開発 自販機キャッシュレス化を拡大

NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、「アプレット領域分割技術」を活用したSIMを開発、4月からアイティアクセスが展開する自動販売機向けの決済端末に採用されたと発表した。SIM搭載型決済端末のセキュリティコストの削減が可能になり、さらなる拡大を推進していく。NTT ComのIoT向けモバイルデータ通信サービス「IoT Connect Mobile Type S」のオプションとして提供される。

NTTComが独自に開発し提供する「アプレット領域分割技術」を搭載したSIMは、通信事業者が情報を書き込み利用する部分(通信プロファイル領域)とは別に、約300KBの「アプレット領域」を設けて開放、独自に開発した通信以外のアプリ(アプレット)を搭載するなど比較的自由に利用できるというもの。SIM自体の高いセキュリティ(耐タンパ性)に守られた領域に事業者のアプリを格納できるため、決済端末の内部でコスト増の要因、普及・拡大の課題になっていたセキュリティ関連のハードウェアやソフトウェアのコストを削減できる。

アイティアクセスは、自動販売機向けなどの非対面のクラウド型決済端末では12万台展開するトップシェアの企業。今後、「アプレット領域分割技術」を採用したSIMを搭載する決済端末を20万台規模で展開する計画。

今後NTT Comは、アプレット搭載SIMを一元管理するプラットフォーム「アプレットコンソール」を提供する予定。またアプレット搭載SIMに対し遠隔でアプレットを更新する「アプレットOTA」も提供する。

シミュレーター上、画面左側のアプレット搭載SIMを搭載する端末から、事業者独自のアプレットで公開鍵を送信するデモンストレーション
画面右のアプレットコンソールでデータの受信を確認(オレンジ色の通知)

アプレット搭載SIMはNTT Comから独自に提供されるもので、「IoT Connect Mobile Type S」の有料オプション。契約内容は事業者ごとに異なるが、想定する平均的な利用では、1SIMあたり月額100円が追加されるイメージとしている。アプレットコンソールの利用料は月額15,000~20,000円台を想定する。

NTT Comでは、市場として飲料系自販機だけでも200万台が対象になるとしているほか、まだ決済端末が搭載されていない自販機の市場もあると指摘。当初のパイだけでも数万台はあると見込み、各事業者に提案していく方針。

なお、アプレット搭載SIMは決済端末のセキュリティコスト削減だけに限らず、ほかのユースケースも開発中。すでに「キャリア冗長化」として、1枚のSIMで複数の通信キャリアにアクセスでき、通信障害発生時に自動的に切り替えたり一定時間後に自動的に戻したりできる「Active Multi-access SIM」が開発され、特許を出願中。またアプレットで機器のデータを収集し保守・運用に活用するユースケースや、アプレット搭載SIMでルーターなどセルラー機器のAPN設定を自動化するユースケースが開発中になっている。

こうしたアプレット搭載SIMを使うユースケースは、今後もパートナー企業との連携や共創で拡大していく。