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パナソニック、コンセントで通信「Nessum」がIEEEで承認 海中通信も可能

パナソニック ホールディングスは、有線・無線・海中のハイブリッド通信が可能な通信技術「Nessum(ネッサム)」が、IEEE標準規格協会によって「IEEE 1901c」として承認されたと発表した。

「Nessum」は、電力線通信技術として知られるブランド名「HD-PLC」を、2023年9月に改名したもの。Wavelet OFDM方式をベースとする複数媒体で通信可能な技術で、同じ変復調方式を様々な通信媒体(有線、無線、海中含む)で利用可能。本規格に準拠した半導体IPコアを半導体企業へライセンス供与することで、グローバル市場への普及と展開を加速する。

今回承認されたIEEE 1901cでは、従来の「Nessum」の基本性能の向上と、活用範囲を広げるための機能の強化が図られている。まずは有線通信として、利用周波数を従来のメガヘルツ帯からキロヘルツ帯まで拡張することで、様々な通信媒体での更なる通信の長距離化を可能にする。

LANケーブルを使ったネットワーク構築では、100mごとにハブの設置が必要など、数km単位での設置には課題があるが、Nessumでは電力線や通信線などの一般のメタル配線を使い、数kmをカバーする長距離通信が可能になる。通常のネットワークよりも通信速度では劣るものの、Mbpsクラスのブロードバンド通信が可能。例えば、トンネルや地下施設など、遮蔽空間での設置に有利で、既存の電力線などを使って通信が可能になる。これにより工作機械やモニタ、IPカメラなどを同一のネットワークで管理ができる。

また、アンテナを利用した微弱電波を使った無線通信に適用することで、通信範囲を制限可能な近距離高速無線も実現可能。こうした無線通信への適用により、従来困難とされていた海中でのIoT通信の実現にも貢献する。海中・水中IoTへの適用は、情報通信研究機構(NICT)のBeyond 5G研究開発促進事業「研究開発課題名 海中・水中IoTにおける無線通信技術の研究開発(採択番号02301)」に採択され、技術開発とともに実証実験を進めている。

「Nessum」は既に、欧州やアジア地域におけるスマートグリッドGX化の通信インフラ、ビルや工場など大規模施設の空調機器やビル制御機器への採用が始まっており、IoT機器の導入コスト低減にも貢献することが期待される。