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日産、運転しながら赤ちゃんをあやせるロボ「イルヨ」

日産自動車と赤ちゃん本舗は協業し、運転を妨げることなく赤ちゃんを見守ることができるロボット「INTELLIGENT PUPPET イルヨ」のコンセプトモデルを発表した。

チャイルドシートは、2023年9月の道交法改正において、その安全性能をより高めるべく、従来のR44に基づく規則からR129に基づく規則に変更された。具体的には、これまで生後12カ月まではクルマの進行方向に対して後ろ向きでチャイルドシートを使用することになっていたが、改正後は生後15カ月まで後ろ向きの装着となり、15カ月を過ぎても、身長が76cm未満の場合は、引き続き後ろ向きでの装着が必要とされている。

両社が共同で行なったアンケート調査によると、子供がいるドライバーの6割以上が、ドライバーと子供の2人のみでのドライブを週に1~2日以上経験している。そうした2人でのドライブでは、チャイルドシートは後部座席に設置している上、後ろ向きであることから、8割以上のドライバーが「赤ちゃんをあやせない」と回答。お互いが見えなくなる「チャイルドシートの壁」が生まれていることがわかった。実際に「赤ちゃんの様子がわからず不安」という声が、9割以上のドライバーからあったという。

イルヨは、こうした課題を解決しながら、運転の安全性も確保するロボットで、後部座席のチャイルドシート横に設置する「イルヨ」と、運転席横のドリンクホルダーに設置する「ベビー イルヨ」の2体で構成される。「イルヨ」の名称は、赤ちゃんを乗せて運転するドライバーが、ぐずりだした赤ちゃんに対して「ここにいるよ」という言葉をかけることが多いことから命名された。

イルヨ(左)とベビー イルヨ

ドライバーはベビー イルヨに「いるよ」「こっちだよ」などと呼びかけることで、後部座席のイルヨが反応し、腕や首を振りながらジェスチャーをして赤ちゃんをあやすことができる。

そのほか、「いないいない、ばぁ」という呼びかけでは、「いないいない」と言ったタイミングでイルヨが腕で顔を隠し、「ばぁ」と言ったタイミングで腕をどかすジェスチャーが可能。「お歌を歌うよ」という呼びかけをすると、イルヨが手拍子を叩き、赤ちゃんを喜ばせる。

いないいない、ばぁで赤ちゃんと遊ぶことも
運転席の横に設置したベビー イルヨ

イルヨはこれらのジェスチャーだけで無く、赤ちゃんの表情をみるセンサーとしての役割もある。イルヨは赤ちゃんの目の開閉を感知することで、助手席横のベビー イルヨがそれに合わせて目を開閉できる。これによって、赤ちゃんが眠ったことや、起きていることをドライバーが分かるようになり、眠っているのに歌を歌い続けてしまうようなことがなくなる。

センサーで赤ちゃんの表情をチェック
赤ちゃんが眠ってしまうとベビー イルヨも目を閉じる

開発段階では北里大学医療衛生学部による実証実験も行なった。実験には実際の親子に協力してもらい、ドライブ中を想定した車内環境でイルヨの有用性を試験。赤ちゃんの9割が、動作しているイルヨに注視することがわかり、赤ちゃんの関心を惹きつける効果があることが確認された。また、赤ちゃんをチャイルドシートに乗せた状態でも、イルヨが作動することで半数以上の赤ちゃんの感情がポジティブな方向へ改善されることもわかり、イルヨの赤ちゃんをあやす性能が実証されたという。

カラーバリエーションは、北里大学医療衛生学部 准教授 川守田拓志氏による「赤ちゃんの関心を惹き、かつ発達の早期に獲得する色として赤色が効果的」というアドバイスから、レッドを用意したほか、ビギニングファミリーを対象とした軽自動車「ルークス」のカラーバリエーションから、ピンクとバニラの淡い色彩2色をラインナップしている。

イルヨの体験会も実施。2月3日~2月4日は、日産グローバル本社ギャラリー(神奈川県横浜市西区高島一丁目1番1号)、2月10日~2月11日は、アカチャンホンポ ららぽーと横浜店(神奈川県横浜市都筑区池辺4035-1ららぽーと横浜2F)に軽自動車「ルークス」と「イルヨ」が展示され、実際にイルヨの機能を試すことができる。

イルヨの宣伝部長に就任した南海キャンディーズの山里亮太さん。山里さんの子供はすでに乳児ではないが「自分の子供が赤ちゃんのころにほしかった」とコメント
手にしているのは特別仕様のイルヨで、山里さんをイメージしたメガネをかけている。イルヨはこうしたカスタマイズにも対応する予定
会場には北里大学の実証実験に参加した6組のファミリーも登場
育児経験のある山里さんと、ファミリーを交えてトークショーが行なわれたが、あっというまに子供たちのペースに巻き込まれ、山里さんを中心としたキッズスペースのような空間に