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PayPay、次の拡大策は「お年玉」強化

PayPayは、「送る・受け取る」に送金する際に銀行口座に出金できる「PayPayマネー」を優先して送れる機能を21日から搭載した。受け取る側が銀行口座に出金できるため、利用範囲が拡大。「割り勘」や「お年玉」での送金利用を強化していく。

これまで「PayPay残高」を送金する場合、「PayPayマネーライト」を優先的に送る仕組みになっていた。その場合、送金を受けとった側が銀行口座から「出金」できない。お年玉や割り勘などで“お金”のやりとりをするために、より現金に近く、“出金できる”「PayPayマネー」を優先して送る機能を追加した。

なお、この機能は本人確認(eKYC)を完了したユーザーのみが利用可能。受け取り側もPayPayマネーで受け取りたい場合は、本人確認が必要となる。

PayPayはスマホ決済における送金回数で92%のシェアを獲得しており、複数人で割り勘の精算ができる「グループ支払い」、小遣いのやりとりなどを定期的に送金できる「スケジュール」機能などを追加している。

この冬に対応する理由は「お年玉」需要。お年玉は現金を子供や親戚に送るもので、長らく「現金」で行なわてきた習慣だ。しかし、PayPayの調査によれば、約4割は「キャッシュレス」でのお年玉を望んでおり、そのうち9割(89%)が「PayPayで受け取りたい」と答えているという。

そのため、2024年のお年玉送金を見据えて機能を導入。専用の「ポチ袋」も用意して、「PayPayでのお年玉」拡大を狙う。また、12月21日から'24年1月14日までPayPayのポチ袋でお年玉を送ると抽選で最大1万円相当があたる「お年玉くじ」などのキャンペーンも実施する。

「お年玉くじ」は送った後に表示される決済番号が後日発表する当選番号と一致すると、1等1万円相当(下5桁)、2等1,000円相当(下3桁)、3等100円相当(下2桁)のPayPayポイントを付与するもの。参加条件は、本人確認済みであることと、PayPayのお年玉専用ポチ袋で500円以上のお年玉を送っていること。送る側は18歳以上、受け取る側の年齢制限はない。

コミュニティ経由でPayPayユーザーを獲得へ

今回の送金機能の強化について、PayPay 執行役員 事業推進統括本部 マーケティング戦略本部の藤井博文 本部長は、6,100万ユーザーに拡大したPayPayの「次の飛躍の鍵」として、「個人間のお金のやり取り」を強化すると説明。

日本における個人間送金は、送金回数は6.2億回/年、送金金額は6.0兆円/年。このうちPayPayは個人間のお金のやり取り回数シェアでは30%で、現金に次ぐシェアを有しているという(PayPay調べ)。現金と異なり、ATMなどでの振込などが不要で、非対面でも送金できること、履歴が残ることなどで、送金の利用シーンは拡大を続けている。

一方で、人口の半数以上が使う状況まで普及したPayPayでは、今後のユーザー拡大ペースの鈍化も見込まれる。便利さやお得さ、マイナポイントなどの施策に伴いユーザー数を伸ばしてきたが、スマホ利用者(9,600万人)の6割がすでに使っており、積極的に使う人にはすでに行き渡った段階だ。

そうした中、約3,500万人のPayPay未利用者に、これからPayPayを使ってもらうために、コミュニティの中での「ネットワーク効果」を活用していく。それが個人間送金強化の狙いだという。

例えば、家族や職場、習い事、サークルなど、個人のお金のやり取りにおいてPayPayを積極的に活用してもらうように働きかける。PayPayを使い始めるのに抵抗感がある人や、はじめ方がわからないという人に対して、友達やコミュニティの力を使って、ユーザーを広げていく戦略だ。

すでに多くのコミュニティでPayPayユーザーがマジョリティ(多数派)となっており、割り勘や送金も使われているが、普及半ばとするのが若年層。若者のコミュニティでは、お金のやり取りが少なく、PayPayが使われるシーンも比較的少ない。ここに課題があるという。

小遣い以外の入金が少ない若者にとっては、年始の「お年玉」は大きなイベント。そこでPayPayを積極的に使ってもらうため、PayPayマネーを優先的に送れるようにするほか、お年玉にあわせたキャンペーンを実施する。

お年玉は若年層の巨大イベント
子供・親戚以外にもお年玉は広がっている