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高速道路の深夜割引見直しで意見募集 国交省とNEXCO3社

国土交通省と、NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本の3社は、1月20日に発表した高速道路深夜割引料金の見直し案にともない、「深夜割引の見直しにおける無謀な運転の抑止策(案)」についての意見募集を行なう。深夜割引の見直し案では、割引対象時間内に走行した距離に対して割引が適用されるため、時間内に長距離を走行しようとする無謀運転を引き起こす可能性があり、割引適用距離に上限を設定する必要がある。意見募集はこの内容について行なうもの。

これまで、高速道路の深夜割引は、0時~4時の間に高速道路へ乗り降りした車両を対象に、高速道路料金が3割引となるものだった。例えば、3時59分に高速道路の料金所を通過して高速道路を走行すれば、以降はどれだけ距離を走っても3割引が適用された。高速道路を降りる場合も、それまでどれだけ日中に走行していても、0時を過ぎてから高速道路を降りれば割引が適用される。

現行制度のイメージ

しかし、近年ではこの割引を目的として、0時直前に料金所付近で滞留する車両で大混雑が発生することが問題となっていた。深夜料金の見直しでは、これを解消するため、あらたな運用ルールが設定される予定。

発表されている概要によると、見直しのポイントは、適用時間帯の拡大と、割引を適用時間帯のみの走行分を対象とすること。

新たに想定されている割引対象時間は、22時~翌5時で、時間帯は合計で3時間延長される。大きく変わるのは、22時~翌5時の7時間の間に走行した距離のみが割引対象となること。これまでのように、0~4時の間に高速道路へ乗れば、どれだけ走行しても3割引が適用されるということは原則としてなくなり、割引が適用される走行距離にも上限が設定される。

今回の意見募集は、この上限設定の考え方について行なわれるもの。車両区分毎に適正な上限距離を設定することで、「時間内に長距離を走行したほうが安くなる」という状況を防ぎ、無謀運転を抑止するのが狙い。

たとえば、軽自動車や普通自動車などの場合、割引対象距離は、1時間あたり100km+5kmが上限。速度計の誤差を考慮して1時間あたり+5kmが設定される。利用時間が4時間を超える場合は、休憩時間として利用時間30分に相当する上限距離を差し引く。大型車・特大車については、1時間あたり80km+5kmが上限距離になり、休憩時間の適用などは同じ。

割引対象となる一晩あたりの最大距離は、普通自動車等では、682.5km分、大型自動車等では552.5km分となる。ただし、400kmを超える走行については、深夜割引以上の割引を昼夜問わず適用する「長距離逓減制」が拡充される予定で、長距離利用の場合は深夜割引を狙う必要性が低くなっている。

国交省らはこれら無謀運転の抑止策案について、広く一般の意見を募集する。募集期間は11月7日~11月20日17時まで。Webサイト上の意見フォームか、郵送で誰でも意見を送ることができる。

長距離利用者には「長距離逓減制」を拡充

深夜割引の適用は事実上縮小される形となるが、この救済策として、長距離走行時の割引制度である「長距離逓減制」が拡充される予定。深夜割引とは別の制度で、昼間問わず利用可能。従来は100kmを超え、200kmまでは25%割引、200kmを超える場合は30%割引でそれ以降は一律だった。今後はこれをさらに拡充し、400km以上からも割引を強化。400km以上で40%、600km以上で45%、800km以上で50%の割引が適用されるようになる。

これにより長距離利用者は、深夜割引を待つことなく割安な料金が適用されるようにする。深夜割引の見直しと長距離逓減制ともに、2024年度以内の適用を予定している。