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ビル内に「お寺」 心斎橋に寺院・ホテル・商業施設一体型施設

東京建物は、三津寺との共同事業により、寺院・ホテル・商業施設一体型複合施設「東京建物三津寺ビルディング」を9月29日に竣工した。

地下鉄御堂筋線「心斎橋」駅と「なんば」駅の中間地点に位置し、1808年建立の七宝山大福院 三津寺の本堂を保存しながら、ホテル・商業施設も備えたプロジェクトで、三津寺の本堂・庫裏がホテル等と一体的に建設された建物。テナントとして入居する「カンデオホテルズ大阪心斎橋」は、11月26日の開業を予定している。

開発にあたっては、三津寺を持続可能な形で存続させていくため、東京建物がプロジェクトマネジメントを担い、事業スキームの構築および建物開発を主導した。三津寺の所有する土地に定期借地権を設定し、東京建物が借地権者となり、寺院・ホテル・商業施設一体型の複合施設を開発することで、三津寺が抱えていた本堂の保存・継承や庫裏の老朽化といった課題の解決を実現した。これにより、御堂筋の新たなランドマークとしてにぎわいを生み出し、観光客や地域の人々に仏教文化を体感してもらうことで、歴史や文化の次世代への継承に貢献する。

外観は、三津寺の本尊である十一面観世音菩薩像が放つ柔らかな光と、ホテルが冠する「カンデオ(ラテン語で「光り輝く」)」のイメージを結び合わせ、輝きを体現する特殊塗装の建物外装とライトアップを施した。

開発前
開発後

東西に伸びる三津寺筋から参拝客を迎えていた本堂は、曳家工事により御堂筋から開かれた境内空間を持つ本堂として再建。本堂・庫裏を訪れる参拝客と、境内空間を通ってホテルエントランスにアプローチするホテル利用者とが緩やかに交錯することで、建物を訪れる人にとって印象深い体験を提供する。

曳家工事により本堂を移動させた

本堂の再建は、1933年以前の姿に戻すため軒の修復、向拝(唐破風)の撤去を行ない、その部材の一部を境内の出入口に装飾として転用をすることで記憶、文化の継承を提案している。

三津寺庫裏には、「境内から連続するオープンな茶室」「密教寺院のお堂を思わせる仏像・仏画の展示ギャラリー」を配置し、檀信徒の交流の場としての活用が予定されている。

所在地は、大阪市中央区心斎橋筋二丁目7番12号。