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10月の食品値上げは4634品目 酒類など一部値下げも

帝国データバンクは、23年10月の「食品主要195社」価格改定動向調査を発表した。23年に値上げされた食品の累計は31,887品目(前年比123.7%)、1回あたりの平均値上げ率は15%で、昨年の14%を上回った。

調査によると、消費者の低価格志向が強まっていることから、一部のプライベートブランド(PB)で値下げが実施されているほか、ナショナルブランド(NB)品でも生缶ビールを中心に約800品目が値下げとなるなど、値上げが中心だった22年以降の価格戦略に比べると異なる状況がみられるという。

食品メーカーでも値上げ後に売れ行きの伸び悩みや、原材料価格の一服感、値上げ浸透による収益改善なども加わり、値上げ機運は年初に比べて足踏み局面にある。

ただし、今後は、1ドル140円台後半の円安水準長期化により、国際相場で下落した食用油など輸入食材では値下がりの恩恵を受けにくくなる可能性がある。物流費や包装資材の価格高騰も続き、高止まりが続く電気・ガス代、原材料では国産海苔の不作など食品価格が安定化するためのプラス要因は見当たらず、24年以降も断続的に値上げが続く可能性がある。

10月は4634品目が値上げ 前年比6割の水準

主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした10月の飲食料品値上げは4,634品目。酒税引き上げが影響した第三のビールや発泡酒、日本酒など酒類・飲料が約7割を占めたほか、ハム・ソーセージなど加工食品やアイス・氷菓類、チョコレート菓子など再値上げとなった食品もあり、単月としては年内で3番目、22年以降では4番目に多い水準となった。

一方、10月としては過去最大級だった前年の7,864品目に比べて3,230品目減・6割の水準にとどまり、3カ月連続で前年同月を下回った。

ほぼ全ての食品が一斉に値上げされた22年10月当時に比べ、値上げされた食品分野の構成に大きな変化はないが、「値下げ(実質を含む)」が10月に約800品目発生するなど、品目によって対応が分かれた。また、調味料ではマヨネーズ類やだし製品などのまとまった値上げが見送られたことも、全体の値上げ品目減少に影響している。

23年通年の値上げ品目数は、既に実施されたものや今後予定するものを含め、累計で31,887品目。年間累計としては22年の水準(26,237 品目)を大きく上回り、バブル崩壊以降で類を見ない記録的な値上げラッシュとはなったが、急激に値上がりした前年の原材料価格の上昇分について一定の価格転嫁ができた企業が増えていることから、値上げの勢いは23年後半にかけて後退傾向にある。

そのため、値上げは10月を一旦のピークとして23年末にかけて小康状態が続くと想定され、当初の年間予想(35,000品目)をやや下回る32,000品目台にとどまるとみられる。

値上げは酒類・飲料が最多 原材料高騰も続く

23年10月の値上げは、「酒類・飲料」(3,194品目)が年内最多。全食品分野で最も多かったものの、前年同月に比べると8割の水準にとどまった。「加工食品」(890品目)や「調味料」(209品目)なども、前年同月に比べて大幅に減少した。

一方、「菓子」(173品目)と「原材料」(118品目)、「乳製品」(50品目)の3分野はいずれも前年同月を上回った。菓子では、輸入小麦粉や生乳、粗糖、チョコレートなど原材料高の影響を受けて再値上げとなった製品が多くみられた。「原材料」では、熱波や干ばつなど生産国の天候不順による影響を受けたゴマ製品やオリーブオイル製品の値上げが顕著にみられた。