ニュース

ニュースプラットフォームは「優先的地位の可能性」 公取委

調査の対象事業者

公正取引委員会は21日、ヤフーなどのニュース配信プラットフォームと、記事を提供する新聞・雑誌などとの取引についての実態調査報告書を公表した。特にYahoo! ニュースについては、「ニュースメディア事業者との関係で優越的地位にある可能性がある」と指摘している。

調査では新聞・雑誌などニュースメディア220社と消費者2,000名のアンケート、ニュースメディア事業者やプラットフォーム事業者、有識者からの聞き取りなどを実施。ニュースに接触する機会として、ニュースアプリなどのプラットフォームが強くなる中で、記事を提供するメディアとプラットフォーム事業者の間で、公正な競争環境が確保されているかを調べている。調査の対象はYahoo! ニュースなどのニュースポータルのほか、検索も含まれる。

ニュースをプラットフォームに提供するメディア事業者では、ニュースプラットフォーム事業者との取引の重要性が増加傾向。2021年度のニュースポータル事業者6社の許諾料支払総額は、2019年度比で約1.3倍となった。

許諾料支払額は、Yahoo!ニュース、LINE NEWS、スマートニュースの順に多く、Yahoo!ニュースが4割以上を占める。

許諾料の支払割合
消費者がニュースを探すときに使うサービス

プラットフォーム側はメディア事業者にニュース提供の対価として、閲覧数(PV)に応じた利用許諾料の支払いを行なうケースが多い。この許諾料についても調査し、ニュースポータルにおける、1,000PV(閲覧数)当たりの許諾料は、2021年度は平均値が124円、最大値が251円、最小値が49円。なお、メディアが自社サイトで展開するデジタル広告単価の'21年度の水準は352円。

ニュースポータル上の広告収入総額に占める、ニュースメディア事業者への許諾料の支払総額の割合は、約8%から約50%とばらついている。1社あたりの平均値は約24%。

1,000PV当たりの許諾は平均124円

公正取引委員会では、許諾料支払額が最も多く、ユーザー数も多いYahoo! ニュースについて、4割のメディア事業者がポータルからの許諾料が事業継続や事業戦略上不可欠としたこととあわせて、「ヤフーとの取引の必要性が高いニュースメディア事業者が多く、ヤフーは、取引先であるニュースメディア事業者との関係で優越的地位にある可能性がある」と指摘。また、事実に基づいた契約交渉を実現するためにも、プラットフォーム/ニュースポータルは「許諾料の算定方法等の情報を可能な限り開示することが望ましい」としている。

今後の取組については、プラットフォーム事業者とニュースメディア事業者が相互理解の下で、交渉を通じて課題の解消に向けた取組が進められるよう注視し、今後の競争の状況によっては、競争環境の確保のため、必要な対応を検討していく。

また、生成AIなどの普及により、ニュースプラットフォームやメディアを取り巻く競争環境変化が見込まれることから、コンテンツ流通を含め、生成AI等が競争に与える影響について注視するとしている。