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コロプラが世界に仕掛ける新ブロックチェーンゲーム「Brilliantcrypto」

コロプラの100%子会社であるBrilliantcryptoは、新しいブロックチェーンゲーム「Brilliantcrypto」(ブリリアンクリプト)を発表した。2024年2月を目標に日本を含む世界で正式ローンチの予定。クローズドベータテストは8月から10月にかけて3回実施予定で、受付を開始している。PCでのプレイが基本で、モバイルアプリでの提供は検討中。世界展開に関連してパリ・サンジェルマンとのパートナーシップ契約も発表されている。

世界中のプレイヤーが採掘者(マイナー)になり、宝石やトークンの獲得を目指してゲーム内の鉱山を採掘していくブロックチェーンゲーム。プレイすることで報酬を得られるほか、そうした仕組みが持続可能と謳う仕様も特徴になっている。

プレイヤーはマーケットでつるはしを購入、探知機などを使用しながら採掘を進め、トークンや宝石(原石)を入手できる。ゲーム内で宝石やジュエリーをデザインしたり売買したりすることが可能。将来的には宝石をNFT化して、ほかのメタバースに持ち込めるようにする計画もある。

ロードマップ

ビットコインに代表されるブロックチェーンを利用する暗号資産は、トランザクションに関する膨大な計算・承認処理に自身のコンピューターを参加(Proof of Work)させ、報酬としてビットコインを受け取れる仕組みがある。こうした計算は採掘(マイニング)に例えられ、参加する人や企業は「マイナー」と呼ばれる。

ゲーム「Brilliantcrypto」は「Proof of Gaming」を標榜するのが特徴。ビットコインのコンセンサスアルゴリズムである「Proof of Work」をゲームに置き換えたモデルで、世界中のプレイヤーがゲームをプレイすることでゲーム的にもアルゴリズム的にもマイニングが行なわれ、デジタル世界で採掘された宝石の価値を証明する。

近年は、遊びながらお金を稼ぐモデル「Play to Earn」モデルが注目を集めはじめているが、一部では先行者が利益を得やすい仕組みが指摘され、ネズミ講ではないのか、と懸念されることも増えているという。「Brilliantcrypto」が採用する「Proof of Gaming」モデルは「Play to Earn」モデルからの派生だが、ゲームプレイにおける鉱山での採掘が、採掘された宝石の価値を証明、他人の価値を創出することになり、“持続可能なPlay to Earn”を実現できると謳う。

なお、親会社が東証プライムの上場企業であるコロプラということもあり、コロプラの監査法人であるトーマツの厳しい監査を受けながら開発が進められており、当然ながら法令を遵守した内容になるとしている。また、監査を受けている上場企業(今回はその100%子会社)が「Play to Earn」のゲームを出すのは初めてとしている。

ゲームの内部的には、「Mining from Bitcoin's Block Hash」(ビットコインのブロックハッシュからマイニングする)と説明されるように、ビットコインのブロックチェーンのデータを応用・活用する仕組みを導入。これにより、ゲーム内で採掘される宝石は、1)事前に結果を予想できない、2)公開されたロジックで結果を再現可能、3)開発者であっても宝石を生成できない、という仕様を実現する。また日々行なわれるパラメータ調整にはAIを導入し、開発者であっても自由にはできない「非中央集権化」(ディセントラライズド)を進める。

ゲームのテーマもズバリ採掘に絞っており、4度の作り直しやバランス調整を繰り返しながら世界中でアルファ版のテストを実施、好評だったことを得て、今回の発表に至っている。遊びが面白すぎてプレイヤーが一部の要素に集中するとバランスが崩れるため、面白すぎず、面白くなさすぎず、という塩梅を目指したという。ゲーム内容も基本的に採掘に絞られているが、時間がかかるなど、採掘はそれなりに苦労するというバランス。採掘された宝石を売買するなど、マイナー以外でゲームに参加することもできる。

一方、アルファテストの段階で痛感したというのが、世界中での展開を目指すにあたって、現地での知名度・認知度がない点で、テスターを集めるのにも苦労したということ。日本国内ではコロプラ子会社ということでテスト参加者の数は目処が立つものの、ゲーム内容は各国のプレイヤーの嗜好を取り入れてバランスを調整する必要があり、各国のゲームコミュニティと連携してテストを実施している。

パリ・サンジェルマンと契約

そうした経緯もあり、「Brilliantcrypto」の正式サービスを控えて、フランスのプロサッカー、リーグ・アン(1部リーグ)で活躍するチーム「パリ・サン=ジェルマンFC」(パリ・サンジェルマン)とグローバルでのパートナーシップ契約(オフィシャルプレミアムパートナー)を締結したことが発表された。南米を含む各国からスター選手が集まる同チームのファン層とゲームのターゲットユーザーが重なるということで、プロモーションなどで連携していく予定。

クローズドベータテストでもすでに特典が用意され、参加してゲームをクリアすると、抽選でペア6組にチャンピオンズリーグのパリ・サンジェルマン戦ホーム観戦VIPチケットが航空券付きでプレゼントされる。

パリ・サンジェルマンはeスポーツなどデジタル分野との連携も積極的に進めており、今回のパートナーシップもそうした取組の一環。同チームが1年前に実施した来日ツアーをきっかけに、話し合いが進められてきたという。25日の発表会には、元パリ・サンジェルマン所属で元カメルーン代表のパトリック・エムボマ氏も登壇、「ゲーマーをクリプトの世界に導くもので、革新的だ」と感想を語っている。

“デジタル宝石”の存在と価値を証明

発表会に登壇したBrilliantcrypto 代表取締役社長の馬場功淳氏

Brilliantcrypto 代表取締役社長の馬場功淳氏は、ビットコインが世に登場したばかりの頃、個人的にマイニングを行なっていたという。マイニングそれ自体が楽しかったと振り返っており、今回のゲームにもそうした馬場氏の原初のビットコイン体験が反映されている。

一方、馬場氏は日本で2番目の“ルビーコレクター”というほど、(リアルの)宝石好きという一面も持つ。通常、絵画やブランド品はデジタル化してNFTを付与すればWeb3の世界でも価値を持たせられるが、宝石の場合は権利者にあたる存在がおらず、またリアルな宝石の真贋判定も難易度が高く気軽にはできないため、馬場氏は、Web3の文脈での“宝石のデジタル化”は難しいと感じていたという。

ブランドやアートは権利者がおり、メタバースでデジタル化してもNFTなどで価値を証明できる
デジタル世界で宝石を生み出し価値を証明

そうした宝石コレクターとしてのこだわりを発揮して、「デジタル世界で宝石を採掘する」というアイデアを元に開発されたのが「Brilliantcrypto」となる。100本以上のゲームタイトルを手掛けてきたという馬場氏にとっても、紹介に際して「感慨深い」と漏らすタイトルになっており、マイニングによる宝石の採掘とNFTによる真贋判定を組み合わせて「デジタル時代の宝石を作りたい」と意気込んでいる。

“ルビーコレクター”が宝石のゲームを発表するとあって、馬場氏の小指には巨大なルビーの指輪が装着されていた。普段、身につけることはほぼあり得ないという。1億円ぐらいするとのこと
デモプレイの様子。本格的な要素もある“採掘ゲー”になっている