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ドコモやトヨタら、車・人の位置のリアルタイムマップ表示に成功

NTTドコモとAGC、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)、トヨタ自動車は8日、建物の窓ガラスに設置したカメラで撮影した車や自転車、人などの移動体の映像を5G通信で伝送し、仮想空間のマップ上に表示する実証実験に成功したと発表した。

近年、現実の道路情報を仮想マップ上に再現し、安全運転を支援する取り組みが進められているが、その課題の一つが移動体をリアルタイムにマップに表示することが難しいということ。

今回の実証実験では、建物などのインフラからこれらの位置情報をリアルタイムかつ正確に把握し、デバイス上で可視化した。具体的には、建物の窓ガラスにカメラと5Gガラスアンテナを設置し、撮影した映像を5G経由でクラウドサーバーに送信。その後、AI動画解析技術を活用して移動体を判断し、それぞれの位置を高精度に把握し、仮想マップ上に表示している。

実証実験では、AGCのガラスアンテナ「WAVEATTOCH」とドコモの5G通信と「docomo MECTM」を活用して、リアルタイムに仮想マップ上に表示。利用者への送信した。利用者は走行車中など、さまざまな視点で仮想マップを確認でき、広範囲な危険情報を事前に予見できるという。

この手法では、GPSが届かないエリアにおける位置情報も正確に把握可能。また、5Gガラスアンテナを活用することで、カメラなどの設置場所の制約を低減できるとする。

実証実験は、静岡県裾野市のトヨタ東富士研究所内実験場に、可搬型の5G基地局を設置し、5G通信エリアを構築。小型カメラ2台を、ビルの窓ガラスを模擬した約8mの高さの窓ガラス(室内側)に設置した。小型カメラで取得した映像データは、5G通信(sub6帯と28GHz帯)経由で、ドコモのクラウドサーバ「docomo MECTM」へ伝送し、AI位置情報解析機能により移動体を判断。それぞれの位置情報を仮想マップ上に表示した。

実験の結果として、カメラ撮影から車中で仮想マップを表示するまでの遅延は約0.3秒、位置情報の誤差は約30cm以下となり、走行している車中で仮想マップを確認して、死角から車に近づく自転車や人を確認することに成功したという。実験期間は7月3日~9月8日。